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自己紹介

  バクバクと凄まじいスピードで目の前の皿の腸詰め肉がなくなっていく、エイダはその光景をまじまじと見ていた。


「ああ!うまいなこれ!」


  男はそう言って食べ続ける。先ほどまで山のようあった、腸詰め肉はもう存在していなかった。


「エイダさんは、どうだ?俺が作ったんだが美味しいかな?」


「え、はい、美味しいです・・・」


 ならよかったそう言って男はいつのまにかテーブルに座っていた猫にたいしても話しかける。この白猫をエイダはどこかで見たことがあった。

 

「先生は食べないのかい?」


「わしは良い、そんなに腹が減ってないしの。」


「しゃべって・・・?!あ!」


 エイダは思い出した。おそらく昨日古城にて自分を助けにきてくれた白猫だ、しゃべっていたのは自分が疲れや混乱からなら幻聴だと思っていたエイダは心底驚いた。


 混乱してほとんど朝食の味は分からなかったが、空腹を満たすことができた。エイダは食べ終えた食器を混乱したまま片付けようした。すると、男がそれを止める。


「俺が片付けるから良いよすこし休んでてくれ。そのあと君の疑問に答えよう。」


  エイダはわかりましたと言い先ほど朝食を食べていたテーブルに座りなおす。しかしなにもしないというのもどこか居心地が悪い、何かできることはと探しているうちにどうやら片付けは終わってしまったようだ。


  男も再びテーブルに座りなおす、男は自分の短い黒い髪をかいて、何か考えているようだ。すると先ほどまで考えてしかめっ面をしていた顔が不意に綻んだ。何か思いついたようだった。男はちょっとまっててくれと言いドタドタ隣の部屋に行ってしまったすぐに戻ってくるとその手には陶器の瓶を持っていた。すると男は瓶の蓋を開け空も良いしてないというのに中身を開ける。エイダは思わず身構えてしまった。

  しかし瓶の中身は床やテーブルにこぼれず。空中にとどまり文字の形を成した。花文字だ。花文字はエヴァンソ・ドンキホーテという誰かの名前を形作る。

「ジャジャーン!こうして自己紹介をするのは初めてだよな。俺の名前はエヴァンソ・ドンキホーテ。遍歴の騎士だ!そしてこっちの白い猫が・・・」


 再び瓶の中身をこぼす。今度はアレン・シンディと花文字が作り出された。


「アレン・シンディ先生だ。これでも立派な魔女なんだぜ。」


「よろしく頼むぞエイダ。こう見えても結構な年寄りでの魔法に関することならそこらの若造には負けん。何か教えてほしいことがあったらなんでもいうんじゃぞ。」


  アレン先生は自己紹介が終わると伸びをし寝転がった。この花文字はおそらくエイダの不安を払拭させようとドンキホーテが考えた工夫なのだろう。そう思うとエイダは少しだけ不安が和らいだこの人達なら大丈夫そうだ。信頼できる。そんな想いがエイダの心の中に芽生えかける。

 エイダはふたたび黒髪の男にドンキホーテに向き直る。


「あのドンキホーテさん。」


「ドンキホーテで大丈夫だ。」


「は、はい、ドンキホーテあのわたしは、なぜ襲われたんでしょうか」


  「正直にいうとだな。まるで分からない。なぜ君が襲われたのかそれは多分君のお母さんが知っているんじゃないかな?と俺は思ってる。多分俺たちの組織に保護してほしい。なんていうぐらいだ何か大事なことなのだろうな。」


「母さんからは何か聞いていないんですか?」


「残念ながらな。俺たちに知らされているのは君の母さんが君の保護を求めてきたということだけだ。」


「そう・・・ですか。」


 どうして母さんは自分になにも話さなかったのか、そればかりが頭の中で渦巻いた。そもそもエイミーはエイダにとって本当の母ではない。自分の出自はエイミー自身話したがらなかったためエイダも深くは追求してこなかったがここに来て自分のルーツを知る必要があるとエイダは感じ始めた。


(知りたい。なんであんな目にあったのか。知らないまま終わりたくない・・・)


 エイダは深くそう思った。

 

「あ!」


 エイダはあることに気がつく。自分の自己紹介を忘れていたのだ。


「あの私も自己紹介するの忘れてました。」


  その言葉を聞くとドンキホーテは思わず吹き出し、アレン先生も笑みをこぼしたた。


「わ、笑わないでください!エイダ・マカロです。エイダって呼んでください。」


 頬を赤らめながらエイダはそう自己紹介をした。

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