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異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜  作者: 青山喜太


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黒幕

  「大丈夫かい?」


 マリデが声をかけた時始めてエイダは自分が泣いているのだと気がついた。


「はい…大丈夫です…」


「もう休むといい、色々と話したいことはあるが、まずは休むことが大切だ。」


 エイダは思い出す。そういえばもう深夜と呼べる時間だったことに。エイダはその提案に素直に受けることにし、再び自分の部屋に戻っていった。

  翌日、エイダは手紙の内容を全員に公開することに決めた。エイミーの遺言の通り、頼れる人々がいる時に頼ろうと思ったのだ。

  エイダは話したいことが有ると、マリデに全員を集めてもらった。

  マリデに呼ばれてドンキホーテ、アレン先生が昨日の執務室に集められる。

  エイダは手紙の内容をそのまま読み上げる。ホムンクルスのこと、グレン卿のことそして、自分自身のことを。

  その内容にドンキホーテは、驚く。


「ホムンクルス?!エイダが?それにグレン卿だと?!」


  うーむと彼は腕を組み考え込む。そのままその事実を飲み込むのに時間がかかるのか、ドンキホーテはしばらく黙り込む。

  アレン先生もまた悩むそぶりをしたが、ドンキホーテよりは早く結論が出たのか口を開く。


「ともかくじゃエイダよ、お主がホムンクルスとはな。」


  アレン先生は対して動揺もなく、話を続ける。


「お主が何者であろうとも別にワシは気にせんよ。」


「ありがとう…先生。」


  それにと、ドンキホーテの方にアレン先生は顔を向けると。


「こやつも恐らくそんなこと気にしておらんからな。」


 と言った。ドンキホーテはしばらく考え混んでいたが話を振られたことに気がつくと。


「なんだグレン卿のことか?」


 と返した。


「違うわいアホ!エイダがホムンクルスだという真実についてどう思うか聞いておるのじゃ。」


  ドンキホーテはそれを聞くと、不思議そうな顔をした。そして当たり前のことを言うかのように


「ん??エイダはエイダだろ?なんだホムンクルスだと何か不都合なことはあるのか?」


 と彼は言った。その返事を聞きアレン先生は呆れたように笑った。


「この通りじゃ、気にしてなどおらんよ。」


 エイダは肩の力が抜けた。無意識的にどうやら力が入っていたようだ。アレン先生とドンキホーテがこうもあっさりと重大な真実を受け止めてくれた為、嬉しさと可笑しさがエイダの心の中にあふれていた。

  そんなエイダをよそにドンキホーテは未だに悩みを抱えているようだ。


「問題はグレン卿だな。」


  彼はそう呟いた。「そうだね」とマリデが話に入る。


「よりにもよって僕たちのことを知っている人が黒幕とはね。」


  エイダは驚く、手紙のグレン卿と黒い羊に接点があるのかと。


「知っているんですか?」


「ああ、前にも言った通り僕たちはあまりいい評価を受けてるわけじゃない。グレン卿もその一人さ」


 マリデは事務机の上、置いてあった紅茶の注がれたティーカップを持つと一口飲みながら話を続けた。


「10年ほど前にねグレン卿は僕たちの活動をどこからか知ったのか、国の会議で黒い羊を批判したのさ。いやぁあの時は焦ったね!なにせ直々にソール国内王様に呼び出されてさ。身の潔白証明しなきゃならなくてね!何とかなったけど大変だったなぁ。」


「初耳だぜ、それ。」


  ドンキホーテは驚きながら言う。それと同時にアレン先生はなにかを思いついたようだ。「なるほど」と口を開く。


「10年ぐらい前か、エイダがちょうど逃げ出した時と年が近いの。」


 エイダはハッと気がつく。


「じゃあグレン卿は私を探すために黒い羊に?」


 マリデは頷く


「可能性は充分にあるね、とりあえず僕たちは何かに関与してると疑われやすいからねー。」


  ドンキホーテは紅茶を飲みカップを丁寧に皿へと戻す。先程まで悩んでいたようだがどうやら、結論に至ったらしい。


「ボスどうする。俺はこのままグレン卿の身辺調査を行いたい。この手紙に書かれてることを俺は止めたいからな。」


  ドンキホーテは冷静だったが、少なからず怒りがあった。あの手紙の内容が本当ならドンキホーテとしては許してはおけない。そもそもエイダの身に降りかかる。災難の元凶もグレン卿なのだ。知ってしまった以上ドンキホーテは力になりたいと考えての提案だった。


「グレン卿は多分エイダのことをただの道具としか見ちゃいねぇ。だからこそ傷つけても何も思わねぇし、抵抗なく部下にそう言う指示が、飛ばせるんだろうぜ。俺はエイダを助けてぇ、ダメかボス?」


  マリデは思い悩む。たしかにドンキホーテの騎士としてのツテがあれば調査も楽だろう。しかし危険が大き過ぎる。相手はあの大貴族なのだ。


「うーむしかしねぇ。」


 悩むマリデに、さらに追い討ちが掛かる。


「だったら私も行きたいです。」


 その発言をしたのはエイダだった。


「なんだって?」


 マリデは流石に困ってしまった。守るべき対象がわざわざそんな巣窟行くのは自滅行為に等しいと思ったからである。


「私も役に立てます。戦いだっていざとなればできるし!」



 マリデは頭を抱えて言う。


「どうして君はそこまでするんだい?もう安全は確保された。君はここで過ごせばいいじゃないか。あとは僕たち任せればいい。」


 エイダはきっぱりと言う。


「それが私は嫌なんです。皆んなが頑張っている中、一人だけ安全な場所にいるのは。それに私の魂の秘密だってこの問題を、解決するのに重要な鍵じゃないんですか?」


「そうじゃのう」


 アレン先生は付け足す。


「今回のグレン卿の企みはただホムンクルスを量産するだけではないようじゃ、エイダに適合した別の魂とやらも気になる。そして何より覚えておるか?マリデ、ワシらの道中を敵は次々と襲ってきよった。恐らくじゃがエイダを追跡する術を持っておるのではないかの?」


 それはマリデも考えていたことだった。


「その可能性は考えていたよ。君たちが魔法で転移した。隠れ家が真っ先に狙われたのは僕も気になっていた、恐らくアレン先生の言う通り何か探知できる方法があるのだろう。」


「多分なんじゃが、今まで使ってきた人除けの結界の魔法が効かなくなってきておるのではないかの?」


  マリデは悩み悩んだ末に一つの考えが浮かんだ。


「ではこうしよう。エイダくん明日から地獄の特訓だ!」




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