カルエ遺跡
プロペラが風を裂き、船は雲の上、月の下を行く、ここは奪われた軍事用飛空挺、死人が操る船だ。デッキにはリーダーと呼ばれていた少女、アンがいる。アンは夜空に浮かぶ、大きな月を見つめていた。
「へへッ、寒くねぇのか?リーダー、体に毒だぜ」
そう大鎌を背負った男が語りかける。
「ジャンこそ大丈夫?体切られたけど。」
「おいおい、へへッそれはリーダーの方がわかってるはずだぜ。」
「一応本人にも聞く必要があると思ってるの。どう?調子。」
ジャンは肩ごと腕を振り回しニヤリと笑った。
「この通り大丈夫だぜ。」
アンはそれを見て顔を綻ばせた。
「それぐらい元気なら私の処置も完璧だったみたいだね。」
そういうとアンは再び月を見始める。
「何か心配事かい?へへッ、リーダー?」
「私たち、エイダを追わなくていいのかしら?」
「言われたろ?リーダー今は休むべきだってよ?それに代理には強力な奴が行くらしいじゃねえか心配いらねぇって。」
時はエイダを取り逃がしたところまで遡る。切られたジャンの体をアンは修復していた。
「ジャン!しっかりして!」
アンは取り乱していた。このままでは家族を一人また失ってしまう。その一念であった。しかしエイダも追わなければならない。ジャンの体を最低限、修復した後、アンは立ち上がった。
「エイダを追わないと!」
「リーダー正気?!」
「カミルはジャンを見てて!私の死霊術で!」
その時だ人間にしては異様に高い声がアンを呼び止める。いつのまにかデッキの上に全身が白い羽毛でできていたの奇妙なオウムが止まっていた。
「よせ、アン・テラーン」
オウムはそう喋った「あの人だ」アンは一瞬で理解してその奇妙なオウムの言葉に耳を傾ける。
「君は今までよくやってくれた。この軍事用の飛空挺をほぼ無傷で手に入れただけでも、エイダの追跡に多いに役立つ。君は今は休みたまえ。」
そうオウムは言い放った。
時はまた戻り月夜の飛空挺へと戻る。アンはあのオウムの言葉を再び思い出すと迷いを断ち切るように「そうだね」とジャンに返事をした。その直後
「ご飯できたわよー!早くしなさい!」
カミルの声が聞こえてきた。ジャンとアンは笑い合うと飛空挺の食堂へと向かった。
カルエ遺跡、1900年前つまり魔王との戦いから100年後の時代に存在していた、村の跡地である。およそ100年ほど前は当時カルエ遺跡の周りを統治していた部族からご禁制の領域として入れなかった。
しかし当時の魔王討伐から比較的近い年代の遺跡であるため、歴史的な価値が高い。なにせ魔王討伐時代の遺物はほとんどは風化してしまっている。そのためカルエ遺跡は魔王討伐の時代に関する、重要な手がかりがあると期待されて部族の反対を押し切り調べ尽くされてきたのだ。
何故ご禁制の場と、なっていたかは未だにわからない、しかし当時の学者によると疫病か何かではないかいう説が有力であるらしい。パールの街はその調査の過程で発展してきた街であり今やカルエ遺跡は重要な観光資源となっているそうだ。
そんな今や観光地とかしたカルエ遺跡にドンキホーテ達は向かっていた。しかも、夜に。
「ああ、全く夜の遺跡なんてよ。どうしてこんなとこ選んだんだ?」
ドンキホーテは気が乗らないようだ。言葉の端々から少しの恐怖が篭っている。それを見てアレン先生は笑い声のような鳴き声を口から漏らす。
「情けないのぅドンキホーテ。エイダを見習ったらどうじゃ?」
エイダは二人とは付かず離れずの距離だが、遺跡に目を闇夜に光る月とともに輝かせ、鑑賞していた。
カルエ遺跡に残る、人々の痕跡は1900年と言う時間に耐え、様々な痕跡を残している。疫病が原因で村が全滅したというのも状態が良い原因なのだろうか。
そうして怖がる物とそれを見て呆れる者と楽しむ者の3人は約束の場所へと向かう。「ボス」マリデ・ヴェルデが待つ教会へ。
この教会はカルエ遺跡の中で1番保存状態の良かった建物であり、また観光資源を目的に復元をした建物でもあった。他は手を加えられていない建物が多い中、から復元をされただけあって、異彩を放つ建物とかしていた。
「夜の教会か…」
「ビビるでないドンキホーテ。エイダを見習え!エイダは早く中を見たくてウズウズしておるぞ。」
「そ、そんなことないよ。」
そんな会話を交えつつドンキホーテは教会の両開きの扉に手をかけた。ドアを開ける時の特徴的な音が漏れる。すると誰かが、教会の中央で座り待っていた。
「やあドンキホーテ、アレン、そしてエイダ待っていたよ。」
黒い羊たちのボス。マリデ・ヴェルデだ。
感想や評価などいただけましたら幸甚です。




