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異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜  作者: 青山喜太


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死霊術師

  切り離された腕は宙を舞い、嫌な音を立ててデッキに落ちた。


「これで終わりだぜ。」


 ドンキホーテはそう呟き剣をしまおうとすると、あることに気がついた。剣についているはず血がないことに、返り血が全くないのだ。ありえないことだ人体の一部を切断したのにもかかわらず剣には血が帯びず、よく考えれば鎧にもついていない。

  その疑問に答えるようにジャンは起き上がる。


「だぁーつい油断しちまったぁ!」


 その様子はまるで痛みなど感じていないようだ。

 驚くドンキホーテをよそにジャンは黒いゲルを懐から取り出し腕の切断面にかけた。そして落ちた腕を拾うと、もとのあるべき場所に腕を戻したのだ。すると黒いゲルは切り離された腕を接着しジャンの肉体を五体満足に戻してしまった。

  その黒いゲルにドンキホーテは見覚えがあった。


「お前…死人か?」


「へへッ、それもご名答。」


 ありえない、心の中でドンキホーテは心の中で叫んだ。


(この目の前にいる野郎は明らかに生きている人間のように話し、動いている。こんなことが可能なネクロマンサーなんぞ聞いたことがない。)


 ドンキホーテは剣を構え直し様子伺う。ネクロマンサーによって作られた死体の兵士ならどこかにコアがあるはずなのだ。

  すると唐突にジャンが口を開く。


「なあなんであんた、俺の腕を狙ったんだ?腕じゃなくてよゥ。首や心臓狙えば殺せた確実に殺せたはずだぜ?まぁ生きてる人間の話だが。」


 ドンキホーテは間合い測り、ジャンを中心に弧を描くように移動している。


「なあ、あんた、「四肢狩り」だろ?」


 ドンキホーテはデッキの床を上がれるほどに蹴り上げジャンとの距離を一瞬で詰める。剣を振るう狙うのは今度は四肢ではないコアだ。


「やっぱりそうか「四肢狩り」か!やりあえて光栄だぜ。騎士さんよぉ!」


 ドンキホーテはただ無心で切る。耳を傾けることなく

 、その太刀筋は、先程までとは比べ物にはならない速さと力強さがあった。


「オラァ!」


  ドンキホーテは一撃のもとジャンを吹き飛ばす。デッキの手すりにジャンは激突した。


「おしゃべりが好きな野郎のようだな。とっととかかってこい。」


「四肢狩りって呼ばれるのはそんなに気にくわないかい、騎士さんよぅ。」


「いや、ただお前ごときに正体がバレたのがイラついただけさ。」


 ジャンの顔が歪む、やっぱり合ってた、と。

 ドンキホーテは剣を構えたまま、姿勢を低くしまるで獣のようにジャンに飛びかかる。デッキ上で再び火花が舞い散った。


 飛空挺内を少女が歩む。周りにはボディガードである傭兵や冒険者を連れている。向かっているのは飛空挺内の避難場所に指定されているフロアだ。少女が求めるのはただ1人、エイダ・マカロだけだ。だというのに。


「そこで止まれ、ガキ!」


 そう叫んだのは、傭兵の男だった。どうやら避難場所までの通路を守っていたらしい。当然のことだ敵は唐突に観光用飛空を襲う人物、狙いは上流階級の人間だと勘違いしているのだ。ため息をつきながら少女は歩き始める。


「お前ら何をぼんやりしてる!ここまで連れてきたのかその女を!乗船客の顔は全て見てないがそいつは明らかに客じゃない!おい!ガキ止まれ囲まれているのが見えないのか!」


  少女の周りには傭兵たちが集まっている。しかし囲まれているというのは大間違いだ、囲まれているのは、少女に声をかけた傭兵の方だった。


「お前ら何をしてる!早く…!」


 言い切る前に、傭兵は仲間に刺し殺される。まるで大量の鳥に啄ばまれるかのごとく、剣を刺され傭兵は死んだ。死んだ傭兵は再び立ち上がり列へと加わる。

  さあエイダのいるところはもう直ぐだ。少女は扉を開け放した。そこは巨大なダンスホールだった。豪華なシャンデリアに広いフロア、ここで多くの人が踊るのだろう。しかし今はただの避難所として利用されているようだ。そこにいた上流階級の住民たちは少女を一斉に見る。助けが来たのか、そう目が語っていた。

  少女はそんな期待の眼差しを無視しエイダを探す。

  見つけた。皆が期待の眼差しを向けている中、1人だけ訝しげにこちらを見ていた。

  (頭の良い子だぁ。)

  すると上流階級の1人が異変に気付く、傭兵の1人が明らかに様子がおかしい事に、体中におぞましい刺し傷があるのに立っているのだ

  1人が短い悲鳴をあげると、連鎖し次々と悲鳴が上がる。傭兵たちは少女の指示に従いエイダに迫る。地を撒き散らしながら迫る傭兵たちに、上流階級の住民たちは恐れおののき逃げ惑う。エイダはただ恐怖し固まってしまった。死人の、腕がエイダに迫るその瞬間、死人は氷の彫刻へと変わる。


「そこまでじゃネクロマンサー」


 止めたのはアレン先生だ。


「魔女アレンね。」


 少女はそう言って微笑んだ。

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