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異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜  作者: 青山喜太


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グレン卿対ドンキホーテ

 少し前のこと、重傷を負ったドンキホーテは、グレン卿の聖剣に腹を貫かれ、聖剣が腹から引き抜かれると同時に、地面に仰向きに倒れた。


「あっけないものだ、これで終わりとはな」


 グレン卿はそう呟き、最後にとどめとして、首を跳ねるべく、ドンキホーテのもとに近づいていった。


 その時である。グレン卿の顔に、天井から黒い蛇が飛びかかった。


 グレン卿は、顔にまとわりついた蛇を、引き剥がそうと、するが手こずる。だがそれは不意をつかれたためであり、左手で強引に、黒い蛇を引きちぎり地面に叩きつけた。


「くっ、何なのだ、野生の蛇ではないな」


 グレン卿はそう呟き、黒い蛇がきた、天井を見上げた。あの蛇は一体何だったのだと。しかしグレン卿は思い出す、それよりもドンキホーテにとどめを優先せねば。

 グレン卿は、ドンキホーテが倒れているであろう、床に目をやると――


 そこにドンキホーテの姿はなかった。


「な…!!」


 グレン卿は背後から殺気を感じ、咄嗟に振り返り剣を構えた。それと同時に上段からの剣による一撃、グレン卿はそれを受け止め、衝撃により体が引きずられるように後退した。


「よう、グレン卿、痛かったぜ、さっきの一撃はよう。」

「ドンキホーテ!」


 グレン卿はドンキホーテの腹を凝視する、すると先程まであった、深い傷が癒えて血が止まっているではないか、グレン卿の頭の中に疑問が浮かぶ。


 一体どうやってあの短期間であの傷を治したのだろうかと。


「あんた良いもん持ってるよな?この赤い水、役に立ったぜ」


 グレン卿はハッと、自身の懐を探る。ドンキホーテの持っていたのはエリクサーと呼ばれるどんな傷をも治してしまう秘薬。

 以前ドンキホーテに腕を切り飛ばされたグレン卿が、腕を再生できたのもこの薬のおかげである。

 その薬が、常に持ち歩いていた、その薬が懐にないのだ。グレン卿は忌々しそうに叫ぶ。


「貴様!いつのまに!」

「さあ、いつだろうな?まあ良いじゃねえか、これでまた正々堂々と勝負ができるぜ、今度は同じ条件でな…!」


 同じ条件、その言葉にグレン卿は意味を探る、しかし答えがでない。


「同じ条件だと…笑わせるな君と私では、戦いにならんとわからないのか、聖剣でも持ってこない限り――」

「へぇ、じゃあこれで良いわけだな」


 ドンキホーテはそう言い、どこからともなく全身が白銀の短剣を取り出す。


「それは…まさか!誰がそれを、その剣は行方不明の筈だ!」

「持ってきたのさ、僕が」


 ドンキホーテの肩にいつのまにかいた、黒い蛇がそう喋った。


「マリデか…!貴様……!!」


 苛立つグレン卿を横目にドンキホーテが剣に向かって語りかけた。


「行くぜ、ゼーヴェリオン……!!」


 その言葉とともに短剣はまばゆい光と共に変形していき、直剣へと姿を変える。

 その直剣は全身が白銀の色をしており身幅は通常の剣よりも広く、鍔の中心から刀身に伸びるように青いラインが入っていた。


「おお、マジに変形したぜ、ボスの言う通りだな」


 呑気なことを言うドンキホーテに対し、グレン卿は内心で焦っていた。


 ――聖剣に認められたか!


 それは自分と同じ土台に、この男が立ったと言うこと。この勝負、どちらが勝つかこれでわからなくなってしまった。

 しかしだからといって、自分が負けたわけでないとグレン卿は剣を握り直す。ドンキホーテも同じく右手でゼーヴェリオンを構え、左手の盾で自分の体を隠すように構えた。


 そして両者とも同じタイミングで地面を蹴る。聖剣同士がぶつかり合い、まるで楽器を鳴らしたかのような高い音が塔内に響き渡った。


 互いに鍔迫り合いとなり、しばらく拮抗状態が続くと思われたが、ドンキホーテが蹴りを繰り出し、グレン卿を蹴り飛ばす。

 蹴り飛ばされたグレン卿は、しかし体勢を崩すことなく、再び地面を蹴り剣をドンキホーテに向かって振るった。

 そこからは両者、猛撃の嵐だった。剣の切っ先が描く光の弧はまるで複雑に絡み合う糸同士のように混じり合い、ぶつかり合うたびに甲高い金属音が鳴り響いた。

 剣を盾で受け、弾き、剣を剣で受け、軌道を逸らす。そんな攻防が何回か続く最中。


 ――このままでは埒があかぬ!


 グレン卿はしびれを切らし聖剣・破壊剣の力を解放させた。至近距離での戦闘中、急にグレン卿の聖剣が光を放ち出したのを見たドンキホーテは思わず距離を取る。


「なるほどな、一気に決めるつもりかよ!だったらこっちも!ボス!やり方はぶっ倒れてる時に呟いてくれた通りでいいんだな!」


 肩に乗った蛇は答えた。


「ああ!かますんだ、ドンキホーテ!」


「よしきた!」とドンキホーテはゼーヴェリオンを目の前に掲げ、詠唱した。


「其れは、闇夜に輝く希望の光、闇を切り裂く夜の太陽――」


 同時にゼーヴェリオンも白き光を放つ。その光景を見てグレン卿は笑う。


「受けて立つか!よかろう!どちらの剣が強いか勝負といこうではないか!」


 そしてドンキホーテは詠唱の終わりを口ずさむ。


「白夜の剣、ゼーヴェリオン!夜を切り裂きやがれ!」

「破壊剣、ディセメンド!怨敵を八つ裂け!」


 両者のその掛け声と共に、剣は振り下ろされ、白き光と紫色の光の奔流がぶつかり合った。


「くっ!」


 ドンキホーテは、光の奔流越しに押されている感覚を肌で感じた。無理もないこちらは初めて聖剣を使ったのだ。聖剣を長年使ってきた、グレン卿に敵うわけがない。


 ――だがなグレン卿!


 やがて白き光は紫色の光に押し負けついに、ドンキホーテの目の前にまで破壊剣の光が迫ってきていた


 ――俺は最初から聖剣で勝負するつもりはねぇ!


「ボスすまねえな!」

「え?」


 ドンキホーテはマリデは肩から引き離し地面に投げ捨てた後、その紫色の光の奔流の中に飛び込んでいった。


「ドンキホーテ!?」


 マリデは驚愕するそれはグレン卿も同じであった。


「気が狂ったか!ドンキホーテ!」


 光の中に入った瞬間ドンキホーテは自身のアビリティを発動させる。

「不変」のアビリティ、それは常時展開型のアビリティであり普段は、精神を防御を担い、外部からの干渉を一切防ぐと言うものものだが。

 この能力はさらに自身の肉体に対しても効果を発動することができる。


 自身の肉体に発動した場合、ドンキホーテの肉体には一切の物理的なまたは、魔法的な攻撃を受け付けなくなるのである。


 しかしそれは一定の時間内だけだ、その制限時間が切れる前に、光の中、ドンキホーテは駆け抜ける。


「うおおおおおおおおお!!」


 そしてついにドンキホーテは破壊剣から放たれる光の奔流を抜けた。


「なにぃ!?」


 グレン卿は驚きが隠せないまさか、破壊剣、必殺の一撃の光の中からドンキホーテが現れたのだから。


「終わりだぜ、グレン卿!」


 ドンキホーテはグレン卿の両腕を、切り飛ばした。


「グアア!」


 グレン卿は叫び声をあげながら、床に転がる。

 ドンキホーテはグレン卿にゆっくりと近づき、剣を冗談に構えた。


 ――これで私も終わりか…


 グレン卿は覚悟を決め目を閉じ言った。


「誇れ、貴様は、私の知る限り最も強い騎士だ、さあ殺せ」


 ドンキホーテは剣を振り上げ――


 床に突き刺した。


「何を…?!」

「ボス、グレン卿の動きを封じる魔法を」

「わかった」


 黒い蛇はドンキホーテの提案にのり、グレン卿に束縛の魔法をかける。そしてドンキホーテは赤い水、エリクサーをグレン卿の口に垂らした。


「なんのつもりだ……」


 グレン卿は訝しむ。


「俺が言われたのはあんたの捕縛なんでね」

「貴様情けをかけるつもりか!」


 ドンキホーテはそのグレン卿の慟哭に振り返り言う。


「勘違いするんじゃねぇ!いいかお前を裁くのは俺じゃない!俺以外に適した奴がいるって言うだけさ!それまでお前を生かしたいやる!それだけだ!」

「何を……まさか、エイダのことか?エイダは死んだはずだ!」


 それを聴くとドンキホーテはニヤリと笑った。


「それはどうかな?ボスの言葉によれば、今魔王と戦っているのはエイダなんだぜ?」

「なに!?どういうことだ!」


 ドンキホーテは言った。


「俺もどういうことかわからねぇ、だから今から、見に行くんだろが」


 不敵な笑みを浮かべたまま、ドンキホーテは黒い蛇をつれて、グレン卿に背を向け、塔の頂上に向かった。





 そして塔の頂上、白き炎に包まれた魔王は、その炎を放った男を、睨みつけ言った。


「ドンキホーテェェェェェェェ!」

「ようライジェル、我が友よ」

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