絶体絶命
魔王の巨大な光の剣と、エイダの妖精の剣がぶつかり合う。一見、大きさから見て魔王の光の剣の方が有利に思われるも。
エイダの剣の才能とでも言うべきなのか、彼女は巧みに魔王の剣を捌ききっていた。
――攻めきれん!こんな娘に!なぜ!
魔王の心の中には焦りが見え始めていた。しかしその焦りを内心に収め、魔王は努めて冷静に剣を振るう。
しかしここで信じられないことが起きる。
魔王の一撃、一撃をエイダは巧みに受け止め続ける。そして何回か剣を打ち合っているうちに魔王は痺れをを切らし、上段から大ぶりの強力な一撃は見舞った。
エイダはそれを受け止め弾き返したのだ。
「何…?!」
魔王は思わず、驚愕を言語化してしまう。魔王の握った巨大な光の剣は、大きく弾かれ体制を崩してしまう。
その瞬間魔王はエイダの剣の秘密を理解した。
エイダは剣に魔法を流していたのである。それも風の魔法を。剣が妖精の剣に触れる直前、風の魔法を発動させ魔王の剣を防ぎまた、弾いたのだ。
「そんな小細工で!」
魔王は苛立ちを抑えようともせず、再び体勢を立て直し、剣を振るう。しかし、剣の刃が届く前に、エイダは密かにある魔法の詠唱をアレン先生の補助のもと、完了させていた。
それは、アレン先生の得意なる魔法にして、最も強力な魔法、三つの属性を合わせ放つ、白銀の閃光だ
エイダはその魔法の名を叫ぶ。
「デルタ・レイ!」
その光線は、魔王の胸にあるコアに向かって放たれた、ライジェル王はその身に光の奔流を受け、そのまま魔王の体を貫通してコアの外に吹き飛ばされた。
「ぐっ…!!」
声にならない声をあげて、ライジェル王は空中に放り出され、そのまま落ちていった。
落ちる刹那、王は考える。
――勝てん!このままでは!悔しいが、コルナの聖剣から受けたダメージがまだ回復しきっていない!どうすればいいいのだ、私は!
ふと視界の端に、塔が映る。瞬間、王は閃く、逆転の策を。それは今までの魔王の力を過信しきっていた王ならば出ない妙案だった。
王は光の翼を展開する。
「なんじゃ、あやつ、急に塔の方向に!」
ライジェル王の不審な行動に、アレン先生は顔をしかめる。王は塔に向かって羽ばたいていた。
「どうして急に…」
エイダもまた呟く、しかしここで黙って見ているわけにもいかない。エイダは感じていた、王にもおそらく不死の力があると。
生半可な攻撃ではすぐに再生されてしまう。つまり完全に勝つためには、動きを封じなければならないのだ。
王が背を向けている今、チャンスは今だとエイダは考える。
「アレン先生、ライジェル王を捕縛する!」
「わかった!ワシに任せておけ!最高級の封印術で動きを止めてやるわい!」
エイダは音を超えたスピードを出し、王に迫っていく。速度はエイダの方に分がある、だが今まさに王に追いつくと言ったところで、王は黄金の翼を羽ばたかせる。
羽がちり、それが無数の光の剣となり、エイダに向かっていく。
エイダはそれをみて一旦、速度を落とし、自身もまた五対十枚の羽を羽ばたかせ、光の剣を生成する。そしてそのまま放つ、光の剣同士がぶつかり合い爆発を起こした。
光の剣を相殺したのはいいものの、速度を落としたせいで王はすでに塔の頂上に到達していた。
ライジェル王は口の端を歪めた。
「私の勝ちだ…!」
王はそう言うと、塔の頂上の崩れかけた床に手をつけなにやらボソボソとつぶやき始めた。
「いかん!離れるのじゃエイダ!」
その呟きが魔法の詠唱だと気づいたのはアレン先生だった、しかしもう遅い。
「封印魔法、発動!」
ライジェル王のその掛け声とともに翡翠色の光が塔から出で、エイダの四肢を触手のように絡め取った。
「これがなんだかわかるか?!エイダ!これは塔にあらかじめあった魔王を封印する魔法だ!」
ライジェル王は勝利を確信して言う。
「今度封印されるのは、君の方というわけだ!」
「エイダなんとか振りほどくのじゃ!この封印魔法、まだ完全に発動しきっておらん!実行者であるあやつに一撃を喰らわせれば、この魔法解けるぞ!」
アレン先生の言う通りだこの魔法は今はまだ完成しきってはいない、おそらく今、ライジェル王に魔力を遮断させられるだけの攻撃を与えればこの魔法も解けるだろう。
「なんとかやってみる、先生!」
エイダは必死にもがく、だがこの時点でライジェル王は勝ちを確信していた。
「ムダだその魔法は、君の足を止めるだけでよかったのだ」
「何ですって…?」
エイダの驚きを、横目に王は塔の頂上から浮かび上がり、再び、魔王の体を生成した。
「…!エイダまずいぞ!」
アレン先生の顔に焦りの色が見え始める。しかし魔王は、人差し指の指先に赤い閃光を灯し、それをエイダに向ける。
「足を止めるだけでよかったのだ、この一撃さえ、当てられるだけの余裕があればな、さてエイダ、君は耐えられるかなこの一撃を!」
今まさに、その閃光が放たれようとした、エイダは思わず目を瞑る。
その時だった。
「ゼーヴェリオン!」
その誰かの聞き覚えのある掛け声とともに、魔王の体が白い炎の奔流に包まれた。
「な、に!」
王は気がついた、塔の頂上に群青のマントをたなびかせ、白銀の剣を携えている騎士がいることに。
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