表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
FEATHER  作者: 「S」
第一章 フェザー襲来編 ―その羽は何より美しく―
14/60

第一章6  『導きの羽①』

「――あれか……」



 とある屋上。


 背中に日差しの温もりを感じながら、男はそこに開けられた風穴の奥、瓦礫の広がる屋内へと目をやる。


 そこに横たわる一人の少年。

 それを見つけると、フードに隠した顔を隣に佇む仲間へと向ける。


 互いにローブを身に纏い、表情はわからないが内心ここまで誰にも気づかれずに来れたことに安堵し、作戦決行の相槌を打つ。


 屋内へと飛び降り、瓦礫の土を踏む。

 一人は少年へ颯爽と近づき、その後を追うように男はゆっくりと進む。


 うつ伏せに倒れ込んだ彼の身体をそっと抱き寄せ、息があることを確認すると、彼女は持ち物である回復薬を取り出し、一滴ほどその唇へと垂らしてやる。


 その光景を確認すると、男は辺り一帯を見回し、感慨深く佇む。


 瓦礫の山。壁のめり込み跡。床のクレーター。

 何かしらの魔法を使ったであろう形跡。


「ん……?」


 そこには一枚の羽が落ちていた。


 黒く消えかかった光。

 その上へ覆い被さるように、舞い降りた白い羽が重なり、泡のように散った。


「皮肉だな……」


 それを眺めながら思う。


 この世界の歪さ。

 互いが互いを思いやり、逃げ場など無く、共に犠牲となった。


 一人は憎悪を燃やし、一人は愛を育んだ。



 まるで、人のように――。



「……」


 振り返り、彼女へと視線を移す。

 背負われた少年を目に、ゆっくりと瞬きをして、


「行くぞ」


 そうやって、光射すこの場を後にした。



 ――瀕死の状態から救ってくれて。

  今更だけど、ありがとう――

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ