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融合世界  作者: らる鳥
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第三領域と救国の聖女『セカンドプレイヤー:レナ・アガリス』4


 わたくしがコフィーナの町に来てから、つまりミルノーシェ領域にやって来てから、もうすぐ一年間が経過します。

 少し前に案内人様に伺った所、イオ様はそろそろミルノーシェ領域を踏破しそうな位置まで旅を進めておいでだとか。

 嬉しそうにその事を教えて下さった案内人様を見て、わたくしも負けては居られないと、強く思います。


 コフィーナの町は、わたくしの感覚では緩やかに、けれども現地の人の感覚では急速に発展を遂げてる最中です。

 わたくしの拠点は、コフィーナの町の宿こと大鹿亭から、譲り受けた古い寄合所を改築した、礼拝堂になりました。

 と言っても、毎日の夕食は大鹿亭に食べに行き、看板娘のメーレさんとは今も親しくお付き合いがあります。

 礼拝堂を構えたのは、わたくしが創設した名もなき宗教に、祈りを捧げる場所が欲しいと信徒の方々からの希望があったからでした。


 そもそも敢えて名乗らぬ偉大なる御方、要するに案内人様への祈りは、感謝の心さえ伴えば別に場所も作法も時間も問わないのですが、目に見える何かがあった方が気持ちが高まり易いのも確かです。

 故にわたくしは大鹿亭の御主人の紹介で、使われなくなった古い寄合所を譲り受け、気の良い木こりの方々に御手伝い戴きながら、礼拝堂を完成させました。

 ここに住み始めてから数度、火を付けられそうにもなりましたが、我が家と言うのは良い物です。

 まぁこの礼拝堂、どんなに頑張っても火付けじゃ燃えませんしね。



「レナ様が仰られた通りに頑張ったら、彼とお付き合い出来る事になりました! 本当に、本当にありがとうございます!!」

 その礼拝堂で、飛び付いてこんばかりの勢いで礼の言葉を捲し立てる信徒No858、もといパン屋の看板娘であるセラフィマさん。

 あまりの勢いに気圧されながらも、わたくしは半歩だけ後退りながらも笑みを浮かべて踏み止まります。

 笑顔、引き攣ってないでしょうか?

 慈愛に満ちた笑みに、ちゃんと見えてるでしょうか?


「お礼を言われる事ではありません。わたくしは切っ掛けを作り、セラフィマさんの背中を押しただけです。願いが叶ったのは、セラフィマさんが正しく努力をなさった結果でしょう。そしてその正しい努力を、偉大なる御方は見守って下さったのです」

 わたくしは、わたくしへの感謝を、信仰の対象である案内人様への感謝へと誘導します。

 実際、わたくしが使った縁結びの加護を与えてくれたのは、他ならぬ案内人様ですから、この誘導は何も間違っていない筈。

 それに縁結びの加護は、確かに切っ掛けを作ってはくれますが、そこから好意にまで発展させたのは、セラフィマさん自身の力です。

 彼女の努力が空回りせぬように多少のアドバイスは致しましたが、それをちゃんと聞き入れて、真摯に努力なさったからこその成果でしょう。


「えぇっ、勿論です! あぁ、私を見守って下さった御方よ、感謝いたします!」

 形式も何もないセラフィマさんの感謝は、それでも紛れもない祈りでした。

 感謝の心、祈りと共に、セラフィマさんの身体からは魔力が発せられ、そして宙に吸われて消えます。

 魔力視でそれを確認するわたくしの視界の片隅に、37895と言う数字が現れ、その幾つかがカシャリと回転して37948になりました。

 53ポイント。

 わたくしの一回のお祈りで得られる信仰ポイントが1なので、実はこれはかなり大きな数字です。

 意中の方と恋仲になれたのが、よほど嬉しかったのでしょう。


 けれども当のセラフィマさんはそんな事に気付く筈もなく、

「でもレナ様が居て下さったからこそ、私は諦めずに頑張ろうって気持ちになれたんです。あの、お金じゃなくて申し訳ないんですが、うちのパンを寄進させて貰って構いませんか?」

 少し申し訳なさそうにしながらも、そんな風に尋ねられます。

 既に対価となる感謝の心は戴いているのですが、礼拝堂を構えてからは、こんな風に寄付、寄進を行って下さる方が増えました。


 因みに信仰ポイントは、わたくしのスキルである祈祷により、案内人様に奇跡を願う際に使用する物です。

 例えばこの礼拝堂には5000ポイントを消費して奇跡を願い、わたくしや名もなき宗教に悪意のある方が立ち入れず、攻撃を弾くという加護が付与されました。

 この加護により、油を撒こうが魔術で火を放とうが、礼拝堂には焦げ一つ付かず、暗殺者の類も踏み入ろうとすると意識を失って倒れます。

 つまりわたくしにとっての絶対の安全地帯ですね。


 万一コフィーナがアンデッドの大軍に攻め落とされても、この礼拝堂だけは残るでしょう。

 それ位に信仰ポイントを使って願う奇跡は強力でした。

 もっと多くの信仰ポイントが溜まったならば、アンデッドの大軍が攻め寄せた時、コフィーナ全体を加護で守る事も可能です。


「勿論です。セラフィマさんのお店のパンはとても美味しいと評判ですから、わたくしとっても嬉しいです」

 セラフィマさんのお店のパンは本当に評判も良くておいしいですから、最後にわたくしが浮かべた笑みは、紛れもない本物だったでしょう。

 わたくしの聖職者は、プレイでありキャラ作りの一環ですが、思った以上に大変で、実はめげる事も多いです。

 でもこんな風に感謝を向けられた時の喜びは、きっと他では得られない感情だと思うのです。

 後やっぱり、目に見えてポイントが溜まるのって、なんだかとても楽しいですよね。



 名称:レナ・アガリス

 年齢:15(0)

 性別:女

 階位:8

 主職:魔術師 副職:聖職者 複合:僧正


 能力値

 筋力:E 頑健:D 敏捷:D 知力:C 魔力:B


 主職スキル

 魔術:B 魔力視:E 魔術抵抗:E 魔力隠蔽:E 錬金術:E  


 副職スキル

 祈祷:C 説法:D 結界:D


 複合スキル

 万物鑑定:E


 その他スキル

 棒術:E 槌矛:E 


 絆の加護:EX


 信仰ポイント:37948



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