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融合世界  作者: らる鳥
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第三領域と先駆者『ファーストプレイヤー:イオ・アガリス』10



「リザルト」



『戦闘に初勝利:達成

 複数の敵(小規模)に初勝利:達成

 初仕事をこなし収入を得る:達成

 現地住人からの名声(小)を入手:達成

 グリフィード王国に関しての情報を得る:達成

 アンデッドに関しての詳しい情報を得る:達成☆


 六つの目標を達成しました

 有益な情報の入手が含まれています

 前回階位上昇時の繰り越し分と合わせ、階位の上昇が二回発生します


 階位3→5

 階位の上昇により能力値のランク上昇が二回可能です

 階位の上昇によりスキルのランク上昇が二回可能です

 能力値を二つお選びください

 スキルを二つお選びください


 またこの操作は後程ステイタス確認でも実行が可能です』



 まだ序盤だからだろうけれど、階位の上昇が随分と早い。

 有り難い事ではあるのだけれど、きちんと考えずに身体の性能を上昇させれば、振り回されるのは目に見えている。

 取り敢えずはゆっくり考える為、後回しにしてしまおう。

 重要な情報と有益な情報の違いとか、どう言った基準で階位の上昇が起きているのか、不明な事は多いけれども、多分考えた所で答えは出ない。



 まぁそんな事はさておいて、銅貨三枚の食事の内容だが、黒パンは据え置きでスープが深皿のシチューに変わっていた。

 肉や野菜がごろりと入ったシチューは、味が濃いにもかかわらずどこか優しい。

 私にとって刺激が強い事には変わりがないが、それでも、そう、少し変な言い方だが安心して食べられる。

 恐らくこれが美味しいってやつなのだろう。

 と言っても、多分今の私より貧乏舌な人はあまり居ない筈だから、他の人が食べても美味しいのかどうかはわからない。

 ただ、私がこの食事にとても満足出来た事だけが事実だった。


 食後にコップ一杯の水を飲み、落ち着いてから宿の娘を呼んで身体を洗う為の湯を頼む。

 今夜も夜間警備の仕事を引き受ける予定の為、身を清め終われば就寝だ。

 部屋に置かれた水差しの中身を飲み干してしまっていた為、湯を運んで来てくれた娘にその補充もお願いした。

 まあ裏の井戸から水を汲む位の事は自分でしても良いのだけれど、宿の娘が用事をくれと言わんばかりの、もう少し正確にはチップが欲しいと言わんばかりの目で見て来るから仕方ない。

 少し大きな稼ぎもあったので、それ位はお安い御用である。


 しかし一体貰ったチップは何に使っているのかと、さりげなく聞いてみた所、貰った銅貨を溜めて月に一度、蜂蜜を生地に練り込んだ焼き菓子を買うのが楽しみなんだとか。

 焼き菓子、私も興味があります。

 どうやらこの領域では甘味の類はそれなりに高級品らしいが、それでも手が届かないと言う程では無い。

 次に大きく稼げた時はその焼き菓子の店に案内して貰う約束を、宿の娘とは交わした。

 一応は何を期待されているか位は理解しているが、うん、今の私はそう言ったやり取りも楽しいと感じている。




 さてさて、それから二日が過ぎた。

 夜は警備の仕事に出、朝になって宿に戻って食事等を済ませたら睡眠を取る。

 そんな風に過ごしていたら、仕事と宿の往復しか出来て居ない事に気付く。

 夜間警備はそれなりに拘束時間の長い仕事だし、昼間に寝ていると夕方以降に置き起き出す為、町を見て回る事も難しい。

 それにアンデッドもそう毎日出る物ではないらしく、初日の警備以降は戦闘も発生していなかった。


 つまり、そう、日銭を稼ぐだけでこの二日間は特に何の進展もないのだ。

 まあ金銭を稼いで生きるだけでも、この身体、この領域、この世界に馴染んで、次の町に旅立つ為の準備をしているとは言えるのだけれども。

 私は折角動き出したばかりなのだから、出来る限り停滞せずに前に歩き続けたい。

 なので今日は、別の依頼を受けてみようと思う。

 

 アンデッドの脅威が身近なコフィーナの町では、絶対に備蓄を欠かせない物資がある。

 勿論食料等も大事なのだが、それ以上に大事な物が、火を焚く為の燃料だ。

 町を狙うアンデッドを近付けない為、襲って来た際に撃退する為、町の人間では対処し切れない数が来た時に籠城する為に、人々が生活で消費するよりも遥かに多くの薪を備蓄しておく必要があった。

 すると当たり前の話だが、薪の元になる木材を切り出して来なければならない。


 しかし余りに大量の木を森で切ると、いずれは森が死んでしまう。

 長い時をアンデッドと戦いながら暮らすこの領域の人々は、森の木々を絶やさぬ為に植樹する事を覚え、町から少し離れた場所に人工の林を幾つも拵える事を常識としていた。


 ではここからが依頼の話なのだが、そんな木材採取用の人工の林でも、野の獣が入り込む事は割とあるそうだ。

 私がこの領域にやって来た初日に襲って来た狼の様な、人を餌と見る獣は少なからずいる。

 故に木材調達を行う木こりの安全を確保する為、定期的に林の中に獣が棲み付いていないかを見回り、発見した場合は排除する依頼が宿に持ち込まれるのだ。

 当然傭兵よりも狩人、ハンター向けの依頼になるので、私が受けたいと言えば宿の主人には歓迎された。



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