ネージュ外でお茶会をする
「ネージュ一緒にお茶しよう」
今日は、外でお茶日和の良い晴天だった。涼しくなったためか木も紅葉をしている。
「うん、する! セッティ呼ぶね」
「お茶とお菓子は俺が準備したから大丈夫。行こう」
ヴィオが手を差し出すと遠慮なく手をつないでくるネージュに微笑んだ。
少し歩くと森の中に空けた場所があり野外用のテーブルと椅子が置いてある。テーブルには、赤と黄色のチェック柄の布が被せてあり、白い茶器がより生えた。
ヴィオは、椅子を引いてネージュを座らせると自分も対面に座る。
「どうぞ、ネージュ」
「うわぁ、美味しそうありがとうヴィオ」
ネージュの前にスコーンにクロテッドクリームと苺のジャムを添えて出すと喜んで食べている。テーブルには、他にクッキーやパイが一口大になって並んでいる。
「ヴィオ美味しいからあげる!」
「えっ、俺はいらないよ」
ネージュの目が食べてほしいとヴィオを見ているのがとても恥ずかしいような嬉しいような不思議な気持ちになる。最終的に根負けして差し出されたスコーンを食べるといつも以上に甘いが嫌な甘さではなかった。
「美味しいよ。ありがとう」
「よかった。ヴィオ明日帰っちゃうからさみしいな。王都でも会える?」
「ごめんね。でも俺は、王都に行けないんだ」
「どうして? なんで?」
「うーん、俺はネージュにとって知ってる人だけど王都の人たちにとって知らない人だから恐くないよーって教えてからじゃないと入れないんだ」
「ヴィオ悪い人じゃないのになんでとおせんぼされちゃうの?…そうだ!ネージュと一緒に王都に行けばネージュがヴィオがいい人だって教えてあげられるよ。いい考えでしょ!」
胸を張って自信満々に答えるネージュの頭をヴィオが撫でた。
「でもね、遊びに行くときはちゃんと先に教えてあげないと準備出来ないから大変なんだ。ネージュは、セッティを困らせるお客さんは嫌だろう」
「うん、いやだけどヴィオにあえないのもいや。そうだ!ヴィオもセッティと同じようにネージュと一緒に住めばいいの。いい考えでしょ」
「俺には、俺の帰りを待っている家族がいるから帰らなくちゃいけないんだ。」
「ヴィオの家族?どんな人」
「いっぱいいるんだけど全員大事な家族だよ」
「そっかぁ、家族って大事。ネージュあんまりおとうさまとおにいさまに会えないの。嫌って思ったからしょうがないのね」
目に見えて落ち込んでいるネージュにヴィオは頭を撫でた。ふわふわとした髪が手の動きに合わせて形を変える。手を離すとそこに手があった
「ごめん、さみしい思いをさせたくないよネージュ。だけど絶対に行くから。その時は、また会って遊ぼうか」
「ヴィオもネージュの家族だったらずっと一緒にいれるのになぁ」
「そうだね。そうしたらネージュの旦那さんに俺をしてくれるかな」
「旦那さんってお父様ってこと?ネージュのお父様はもういるから駄目だよ」
「旦那は旦那だけど…そうだ。夫にしてほしいっていえばわかるかな」
ネージュは、意味がわからなかったのか首を傾げてから疑問を口にした。
「ヴィオ、ネージュと結婚したいの?」
「ずっとずっと好きだから結婚したい。けどね、それにはネージュの一番大事な人にならないと駄目なんだよ」
「お父様もお兄様もセッティもヴィオも大事なのみんな一番」
「それじゃあ駄目なんだ。ネージュが俺のお嫁さんになるとみんなとさよならしないといけなくなる。だから…」
ヴィオは、ネージュの手を握ると自分の手と見比べる。白くて細いだが少しぺんだこの跡があった。王妃となるため公爵家の令嬢として頑張ってきた彼女の証だ。
「ネージュがそれでもいいと思ってくれるまで待つ。ごめんね」
「ヴィオは謝らなくていいと思うの。いっぱいいっぱい考えて言ってくれたの。でもネージュ難しくてわかんない。大きいネージュならわかったのかな」
「それはわからないな。でも困ったことがあったらヴィオレットって言ってほしい」
「ヴィオレット? おまじない?」
「そうだよ、おまじない。覚えておいてね」
「うん、わかった!」
そう言ってネージュは、紅葉が始まった木々の間を駆けていった。その姿は、冬の訪れを告げる雪の精のようだとヴィオは思った。
「本当に中身幼女なのね。あんなに美味しそうにお菓子食べる令嬢初めて見たわ」
ネージュがいた席に、オリヴァーが座り持参したカップにお茶を注ぎお菓子を摘まんだ。本日は女装せず男装していた。女装の時のような話し方はそのままだ。
「ネージュはやらん」
「お前のもんでもないでしょ。せっかく俺がお茶とお菓子準備したのにあれじゃ手応えなし。いきなりがっつきすぎ」
「反省はしている。でも時間がない。ネージュが俺を選ばないと俺は何も出来ない」
「友人よりも婚約者候補の方が立場が安定するね。異性の友人を助けるよりも相思相愛の婚約者を助けるの方が外聞がいいわ」
「それもあるが……お前食べるの早いな」
見映えよくセットされた数種類のお菓子が半分に減っていた。
「残したらもったいないでしょ。食べたいなら食べれば?」
「食べるなとは言わないが他のものに多少はやれ。護衛連れてるんだろ。これにつつんでいけ」
ヴィオがハンカチを机に置くとオリヴァーは、皿の中身をざらっと流し入れた。
「適当すぎるだろ」
「甘ければ砂糖でも気にしない連中にお菓子あげるならこんなものよ」
護衛騎士もオリヴァーからすれば蟻のような扱いだった。
「せいぜいありがたがって仕事を頑張ってもらいましょう。この国荒れるわよ」
「あぁ、深海の宝玉が荒らされたからな。嵐がくる準備をしないと」
「頑張ってよね」
「もちろんだ」
お互いにお茶を飲みきるとその場を跡にする。お茶日和の晴天だったのに空は曇天になっていた。




