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ネージュはお花つみ中です

ネージュは、領地に着くと驚かれたが好意的に受け取られた。

中身が3歳のネージュは、気高き公爵令嬢というより愛される幼い令嬢の側面の方が強かったためだった。

人目を気にせず伸び伸びと過ごし1ヶ月経っていた。


「ネージュお嬢様。本日は、この淡いピンクのドレスにいたしましょう」


「うわぁ、可愛いドレス。ありがとうセティ」


ネージュは、ご機嫌な様子でくるくる回っている。そのドレスは、以前のネージュならば高貴な令嬢らしくないと着ない色合いであった。

セッティは、もう少し明るい色合いの方がネージュに似合うと思っていたので念願叶ったと笑顔だ。


「お髪も整えますね」


「セティ、今日はいい天気だから外に行きたい!」


「ならきっちり結びますね。また花摘ですか?」


「うん、今日のはセッティにあげるね。だから今日は、セッティついてきちゃメよ」


「わかりました。でもお庭の外へ出ては駄目ですよ」


「はーい」


ネージュは、精神が幼くなっていてもいい子であったため庭くらいなら警備がいるため問題なかった。


「セッティには、しろつめくさの花冠あげよう! 白くてふわふわでかわいいからきっとセッティ好きだよ」


庭で鼻歌を歌いながらネージュは、シロツメクサを摘んでいく。


「ネージュ」


ネージュの頭上から声がした。その声は、屋敷にいた誰の声ではない。しかしその声は、屋敷にいた人と同じで優しそうな響きがあった。

声の方を向くと茶髪の男がいる。父親より若く兄より老けた男で警備のように大きな体をしていた。


「こんにちは、おじさん」


ネージュが男に笑いかけると男は、目を見開いた。


「俺がわからないのかネージュ姫」


「ごめんなさいネージュね。記憶がなくなっちゃったんだって。だからあなたのこと覚えていないの」


「そうなのか、俺のことは」


「きれいな紫色の目だからヴィオって呼んでいい? ネージュの好きなビオラと同じ色なの。どうしたの? 嫌だった?」


ヴィオは、唇を結び顔を隠した。ネージュは、突然の出来事に摘んでいた花を手放してヴィオの顔を見る。


「記憶にないネージュも俺をヴィオと呼んでいたからびっくりしたんだ。俺は君の前ではヴィオだ。スノープリンセス」


「えー、白雪姫だとこわーい継母に虐められて毒林檎食べなきゃいけないから嫌ー」


「俺がいれば毒林檎なんて食べさせないしネージュにこわい継母はいないから大丈夫」


「本当?」


「うん、こう見えて俺はとても強いんだぞ。だからお前がこわいものから守ってやるから安心しろ」


「うん。ヴィオちょっと頭下げて」


「ん? こうか」


ヴィオが頭を下げるとシロツメクサの花冠を載せた。


「約束の証にあげる」


「誰かにあげるつもりだったんじゃないのか」


ヴィオは、頭の花冠が気になるのかつついていた。


「また作ればいいの。だからいいの」


「ありがとうネージュ。……そろそろ戻らないといけないな。また明日もいるかな。もっとネージュと話がしたいんだ。でも俺のことは秘密にしてくれ。秘密の友達だ」


「すごい秘密のお友達! ネージュもヴィオとおしゃべりしたい。雨じゃなかったらまたお外いるよ」


「また明日ネージュ」


「また明日ヴィオ!」

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