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リッド怪文書を読む…?

ネージュは、外が雨で出れないので書庫室で絵本を読んでいた。読めない文字が多いが絵が綺麗なので何度も読んでいる。

そこへ見慣れない人物が入ってきた。


「おじさんだあれ?」


「ネージュさま、俺はおじさんじゃなくてお兄さん☆だよ。セッティのお兄さんなんだ。名前はリッドよろしくね」


リッドは、栗色の髪にグレーの瞳、人懐っこそうな柔和な顔立ちの男だった。顔が整っているためよくいる色合いにも関わらず目立つ。


「セッティのおにいさん?おにいさまといっしょのりっくん?」


「そうそう! リッドって言えないからりっくんって言ってましたね。なつかしい」


リッドは、昔を思い出しているのか目を細めている。

しかしすぐに思い出すのは、昔から頭がよく可愛げのないグラソン。そのグラソンの後ろでグラソンの知的好奇心が、他人の迷惑にならないように見張り被害を被ったことばかり思い出す。


「りっくんしわしわじゃないね」


「しわしわ? ………あぁ、メイド長たちと違って俺は成長しただけだからね。かっこよくなったでしょう」


ネージュは、自慢気に胸を反らすリッドを見て首を傾げた。


「うーん、ネージュね。りっくんはおおきくなったけどなかみがすかすかだとおもう」


「中身がスカスカ……だと。重たいとは言われたくないけどスカスカも嫌だな」


「えっとね、そう、けーはくなの」


「ネージュさま軽薄を覚えてるんですね。偉いですね。でも俺のガラスのハートが割れそう」


リッドは、ネージュの頭を撫でながらちょっと泣いていた。


「そういえばりっくんなんでここにいるの? おにいさまはおーとでしょ」


「ネージュさまとセッティの顔を見に来たんです。セッティは今月誕生日だから早いけどプレゼントを渡しにね」


「セッティ誕生日だね。今月って言われたけどいつー?」


「23日ですよ。ってわからないか。2週間後です」


リッドは、ネージュにピースして見せる。ネージュも真似してピースを作るが向きが逆だった。


「"2"しゅうかん? 月より短い?」


「そうです」


「なら急いでプレゼントよーいしなきゃ」


「たぶんネージュさまがセッティに用意したいって気持ちだけで喜びそうですけど。それかそうですね……。セッティの好きなように着せ替えされる券とかどうでしょう」


リッドは、元手がいらずネージュが出来ることとして意見してみた。他の思惑もあるがセッティが喜ぶのは間違いない。


「きせかえけん?」


「たぶん大喜びしますよ」


「きせかえつかれるからいや。でも……セッティよろこぶならがんばる」


中身が3歳の少女が一瞬悲壮な顔をしたが決意を新たにしたようだ。


「ネージュさま、お医者さまがいらっしゃったので診察を受けてください」


「はぁい」


ネージュが書庫室から出るとリッドとセッティが残り微妙な雰囲気になる。険悪な仲ではないが兄妹とはいえ男女の差か些細なことでよく口喧嘩していた。


「お嬢様のアレ治りそうか」


「わからないわよ。ヤブ医者いわく心因性の記憶喪失だって言われたけどたいてい1年とか2年程度だっていうのよ。お嬢様は、14年間の記憶と知識を失くしてしまったわ。あんなに頑張ってたのにっ」


5歳でシュバルファン王子と婚約してあの日まで、王妃教育を最上の結果で修め人脈も築いてきていた。そのために好きでもない勉強を頑張り、苦手な人物にも分け隔てなく接してきた。

恋した5歳からずっと好きな人のために頑張ってきたのにあの男爵令嬢が入学すると目に見えて贔屓した。


「お前の怒りはもっともだが今泣くな。お嬢様が心配するだろ」


「泣いて……ない!」


「そうだな。ここ本痛むから締め切って暑い部屋だし汗だな」


リッドは、泣き止まないセッティを抱き締めて頭を撫でる。辛く厳しい修行生活でよくやったなと昔を思い出した。

しかしセッティが落ち着き泣き止むとお互いに気まずい。


「そういや、変な手紙貰ったって聞いたけどどんなの」


「見てどうするの」


「文字の癖見ればどんな奴か見当つくぞ?」


「まぁ、いいでしょう。コレよ」


「なんか偉そうに言うな。……これ文字か? でも見覚えある??」


リッドは、怪文書を見て誰かを思い出しそうだった。


「えっ、誰」


「見覚えあるけど誰だか思い出せないな」


「ちっ、使えない」


「ねぇ、今舌打ちした!? さっきから態度ひどくない?」


「セッティとりっくんなかよしね」


いつの間にか戻って来ていたネージュが笑顔で見ていた。


「「うちのお嬢様が可愛い!」」


結局似た者兄妹だった。

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