7話
いやぁオーク美味かった。アホみたいに美味かった。あの味はじいちゃんの家で食ったしゃぶしゃぶに出てきた国産高級豚肉に近いな。やっぱ異世界転生モノの小説に書かれてるオーク豚肉説は有効だったということだ。
ちなみに、俺たちはあの血抜きしてない三匹目も、堅治が“吸血“で血抜きしてから食った。指の先まで美味いとは流石に想定外だったけどね。
流石に睾丸やら“あそこ“やらは食ってない。いや躊躇うわ。無理無理。そんな趣味ないですハイ。腰回りのみ切り取って従魔達にあげた。美味そうに食べてたよ。
ただハーピーが睾丸を丸呑みしようとしたのはビビったな。主に下の意味で。隆輝が全力で止めてました。代わりにうちのブラックネスキマイラの蛇ちゃんが丸齧りにしました。
「あー食った食った。それじゃあこっからはうちのキマイラに乗って森を走破するってんでいいか?」
「ああ、それでいい。」
「頼むわー」
「よろ」
俺はライオンの首に、堅治はヤギの頭にしがみつき、琢磨と隆輝は胴体に乗っている。
“ブラックネスキマイラ“
俺の従魔の一体だ。先ほど魔封室から出して、オークの内臓やらの残飯処理をしてもらった。
名の通り漆黒のキマイラで、大きさは全長11mもある。(おっと、キマイラってのはライオンにヤギの頭が付いてて、尻尾が蛇な魔物だ。)個体値選別をし、大きさが最大だったのがこいつだ。強さは通常のドラゴンと同等。しかし、空を飛べないことから、他の調教者の間ではあまり人気のなかった魔物だ。何故俺がこいつをテイムしたかと言われれば一つ。見た目だ。目が紅くて実に厨二心をくすぐられた。漆黒のキマイラっていいよね!以上。
俺たちは森を駆ける。キマイラに乗って。
それにしてもキマイライオンの鬣がフッサフサで気持ちいい。ドラゴンテイマー達は硬い鱗でこんな感触は無いんだろうな。あ、一応だけども、俺もドラゴン持ってるよ?けどボーンドラゴンだから骨なんだよねぇ〜。スケルトンジェネラルと合体させて使います。あ、合体か!実際はどうなってるのか見るのもいいな!あとでやろーっと。
「それにしても輝御は気持ち良さそうでいいな。」
ありゃ、堅治に見られてた。変わってくれとか言われたくないからここは強引に話を変えてしまおう。
「その輝御ってのどうするよ。呼び名。こっちで日本人モロバレルな呼び名やめとかね?」
「む、そうだな。」
堅治が思案顔になる。そうなのだ。勇者であるイスルギコーイチが今も現存している可能性があるため、下手に名を開かせない。いや同じ元日本人だし、協力しても良いっちゃ良いんだけど、俺魔王だし。あいつ勇者らしく魔族憎しらしいし。
「使ってたハンドルネームでいいじゃないか。」
話を聴いてた隆輝が話に乗ってきた。
「ハンドルネーム、つまり、俺はゴリアテ、琢磨がハスミン、お前がユックリーンってことか?では輝御はどうする?」
せやった。俺のハンドルネームは狂王エノモト。エノモトって思いっきり日本人の名前だよな。
「いや、あいつはキオでいいでしょ。それくらいこの世界でもいそう。」
「「たしかに居そうだな」」
居そう。でもせっかく異世界に来たんだからロールプレイしたいよなぁ〜ジョブだって魔王だし。
「そこは黒桜の団長ってので我慢してくれ。“さすらいの冒険者黒桜旅団の団長”これで良くないか?」
「む、黒桜旅団はこのまま行くのか?」
「俺らが揃っていてそう名乗らないのか?」
ほう、いいな。
「我は黒より黒き黒桜が王、狂王エノモト!」
「我は黒より黒き黒桜が守護神、ゴリアテ!」
「我は黒より黒き黒桜の雑魚狩り職人、ハスミン!」
「我は黒より黒き黒桜が暗殺者、ユックリーン。」
「「「「ふふふ、はははははははは!!」」」」
「ねぇ、俺変えていい?」
「「「ダメ」」」
「なんでやあああああああああ」
楽しい。やっぱこの4人がいるところに黒桜有りだな。
「さて、キオや、そのフワッフワな鬣をモッフモフさせてくれまいか」
「ダメ」
「ぐぬ。」
ふふふ、ゴリアテや、このモッッフモフは俺のものだぜ。
キマイラは、ドラゴンズドグマのキマイラをモデルとして思い浮かべてください。