4話
オーガを倒した後、厳かな扉は開いた。その先にあったのは、なかなかの量の財宝と、魔法陣だった。
「財宝キターーーーー!」
「根こそぎ奪おうか。」
「盗賊じゃないよ冒険者だよーっと」
「略奪」(ニヤリ)
「コノテイドノザイホウデハアルジニハタリマセヌナ」
「主人様、良ければ、私におひとつ下さいませんか?」
スケルトンジェネラルが不敵にカラカラと笑い、ハーピーは上目遣いで隆輝におねだりした。速攻で隆輝はハーピーに似合う、大きめのルビーの付いたチョーカーをプレゼントしていた。
「あ、ああいうのもいいな。。」
「そ、そうだな。」
「けど俺らハーピー持ってないし。」
「ワタシデハフフクデスカナ?」
「いや、そういうわけじゃないぞ!断じて!」
そして、ここの財宝を4人で山分けした。一撃で仕留めた隆輝は多めだ。
残るは、謎の魔法陣。
「気になるよな。これ。」
「鑑定スキル使えばいいんじゃないか?」
「そうだなぁ。“鑑定”」
「“鑑定”、、、」
隆輝は、自分でも調べるのが常なので、特に何も言わない。
「これは転移系の魔法陣だな。それも俺が持ってない魔法だ。もしかしたら、世界が違う分、魔法も少し違うのかもしれない。これは特定の場所に飛ばす系だ。」
「補足。俺のスキルで罠感知も併用したら、これは地上に飛ぶってことがわかった。」
隆輝の暗殺者としてのスキルは極められているので、転移先がわかったりする。ゲームの時彼らは、これで待ち伏せPKを奇襲して滅ぼしたりしていた。
「地上に飛ぶのか。それはいい。是非とも利用しよう。」
「異世界の、プロシア大陸の空ってんのを拝もうか。」
「お前らの従魔出したまま地上行って誰かに見られたらパニックにならないか?」
「琢磨にしてはいい気付き。」
「「それもそうだな」」
「ジェネラル〜また今度呼んでやるからな。」
「オマチシテオリマス。」
「クロちゃん、中でみんなと仲良くしてるんだよ。」
「クゥゥン」
「またな。」
「はい。失礼します。」
俺たちは従魔を魔封室にしまった。
そして、4人は地上へと転移した。
「「「「ここは」」」」
俺たちが転移してきたのは、“土の賢者の一軒家”と言う名の廃屋だった。寂しいくらい家具の少ない部屋によくわからぬ本が大量にあり、いかにも賢者って感じの家だったが、荒らされてたうえに、埃カビでボロボロだった。
「とりあえず、“鑑定”!」
俺たちは目についたものを片っ端から鑑定して行く。
「ほとんどが読めなくなった本だな。」
「ああ、めぼしいようなものはない。この荒れ様からして盗賊でも入ったのだろう。」
「新しい魔法とかあればよかったんだけどなぁ〜」
「ぐぬぬ。」
「ゴホッゴフッ」
「大丈夫か?」
「ああ、ありがとう、埃っぽくって、、、ん?」
堅治の足元の穴の空いた床から、なにか見えた希ガス。
「堅治、足元の床を剥がしてみてくれないか?」
「お?ちょっと待っとけ。」
堅治は一度、バスターソードで床に穴を開けてから、ベリッと剥がした。そこには大きめの金属塊があった。
「なんか良さげじゃね?」
「だな。」
「どーすんのこれ。」
「貸して。」
隆輝が金属塊を手に取った。なにやら考えがあるらしい。
「“錬成”」
“錬成”
錬成術師のスキル。魔力を使い、金属を思いのままの形に変えることができる。隆輝は、鍛治師として金策していた時、どうせならと、錬金術師のジョブも取得していたので、使うことが可能だ。俺ら3人は生産系ジョブはほとんど取ってないので無理。
隆輝が錬成をすると、金属塊がウネウネと動き始めた。そしてドロリと溶け、中から一冊の本が出てきた。
「取って。錬成中は金属は動かせるけど本は動かせない。」
「おけ」
本を取ると、隆輝はドロドロの金属を短剣の形に変えた。
「金属、鉄の質的にこんなもんかな。鍛えなおしたりすればまだ良くなるだろうけど。」
(鑑定!)
鉄の短剣(品質:普通)
魔法を付与しやすい
異世界初武器作りで初っぱなからこんなん作りやがったよ。魔法が付与しやすい“鉄”の剣とか結構やばそう。まぁ俺らはこれくらいはゴロゴロ持ってるからたしかに“こんなもん”だけど。。。
「巷に鑑定スキル持ちがいるかもわからんから、それ売るときは俺らに一言声かけろよ。」
「で、これはなんぞ?」
「鑑定」
“土の賢者の日記”
「日記だって。」
「ふむ。仮にも賢者の日記なのだから見てみる価値はありそうだな。」
「魔法とか乗ってっかな。」
「興味はある。」
ではでは早速読んでいきましょう!