23話
「お、戻ってきたか。」
「心配した。」
「心配かけたな。俺、完全復活だ。」
「キオさん!大丈夫ですか?」
スッキリしたようなイケメン童顔が目の前に現れた。
イケメン!イケメン、イケメンは…敵!
「イダダダダダダダダダ!」
ガッと掴んでグッと力を入れる。
「ちょ、キオさん!?ロフトに何やっていますの!?」
「あ、姫さん、すいませんついうっかり」
テヘペロ(*´∀`*)
「ロフトすまん、いきなりイケメンが現れるとガッとやりたくなってしまってなHAHAHA」
「ははは〜じゃありませんよ…」
(((ロフト、不憫な子!)))
「さて、狂王殿も戻ったことだし、黒桜式パワーレベリングやるとしますか!」
ゴリアテが場の空気を変えるために大きめの声で言う。
というかオイ。狂王言うなや。いや、いいけどへんに怖がられたり萎縮されたり恐縮されたりしたくない。と言うの気持ちを込めてゴリアテにジーっと視線を送る。
すると、その視線に気づいたゴリアテ。
グッと意味有りげなサムズアップ+ウインク!!
あいつ絶対わかってねぇ。
「コクオー式パワーレベリングとはなんですの?」
狂王をスルーして姫さんが問いかけてくる。
……気にしてねぇな。豪胆というかなんというか。
「ふむ、一回やってみるのが早いでしょう。ロフト、バットを持ちなさい。」
ゴリアテ指導で始まって行く。
「は、ハイ!」
「軽く説明しますと、まず私が森にいる魔物を挑発して、たくさん率いて連れてきます。」
「「は?」」
お、見事に姫さんとロフトの声がハモったw
「その後、ハスミンの魔法によって、“土壁”を二枚設置。私がここを通ることにより、魔物がある程度一列になって来ます。」
二人はポカーンとアホヅラをかましている。おっと、お姫様にアホヅラは言い過ぎか。
お可愛らしい御顔を晒していらっしゃいます。
「それを、ユックリーンと狂王殿が峰打ちをし、ロフトの前にHPギリギリで飛ばします。それを、ロフトはバットでぶっ叩けばいい。」
なんともわかりやすい説明ですねぇ〜
「さ、やりましょうか!」
「「ええぇぇぇ〜〜!!!!」」
驚く二人を置いて、ゴリアテはスタコラ行ってしまった。魔物集めに奔走だ。つっても、ちょっと森の奥行って“戦技:挑発咆哮”(プロボーククライ)を使うだけなんだが。
「ゴリラも行ったことだし、俺も準備するわー」
「りょー」
ハスミンも、ちょっと離れたところに土壁を設置しに行った。
ちなみにユックリーンは何をして行くかと言うと、、、
「……(シュッ)……(フッ)…」
黙々とシャドーボクシング。
ちなみに、峰打ちで使うのは、武闘家で手に入る、“戦技:峰打ち“又は、吸血鬼固有スキル”ハイドレインキス“が一般的だ。
どちらもHPが1%以下にならないため、ギリギリ残すのには丁度いい。まぁ俺らは魔人族ではあるが吸血鬼じゃないので“ハイドレインキス“は使えないんだが。使えても魔物相手にぶちゅーなんてしたくないけどな。
それでもゲームでは最後に倒した人に経験値が入ったため、これが使える。キスするのも画面の中のキャラなので、自分にダメージはなかったし。
友人がキモおっさん吸血鬼作って、女キャラに“ハイドレインキス“しまくるってことやってたけど、ある日、相手も中身おっさんだった時があったらしく、虚しくなってやめたらしい。
この世界では経験値が最後の一撃を加えたやつに入るのかどうかわからないが、ゲームの時と一緒だと願おう。
だってしょうがないじゃん。俺らレベルマだから経験値入らねぇし、大体一人で狩れるから経験値分配とかあまり気にしなかったし。魔王だからって万能ではない。この世界のことなんて知らないことばかりなんじゃあああああああ!
俺が脳内で一人言い訳をしている間、ロフトと姫様は、
「私たち、どうなっちゃうのかしら…」
「わかりません…」
「そ、そこは僕が守るとか言うところじゃないの!」
「そ、そうですね。すみません…」
「謝って欲しいんじゃないのよ!」
痴話喧嘩してた。
ユックリーンは、これから来る魔物にウキウキしていた。
その様子を見て、土壁を立てて来たハスミンは、
「なにこのカオス。」
呆れた顔で呟いたと言う。