17話
第2章突入!
☆
俺らは、野宿をするとき、なるべくモンハンのベースキャンプに似せるようにしている。何故かと言われたら雰囲気作りである。雰囲気って大事だよね。ファンタジーisジャスティス!
「今日のはいい感じだな。」
「86点ってところだな!」
「森にいい感じにマッチ!」
「満足」
さて、拠点ができたならば…
「「「「狩りだな!」」」」
まずは探知スキルを使って偵察!大きい反応が二つ!!
「1番乗りはいただきだ!」
「む!俺では速さが足りん!」
「おせぇ!“加速”!」
「忍び寄る影…(スゥ)」
よし、一匹はもう射程圏内!
3人はもう一方に行ったようだ。俺の速さに恐れを成したな!
とりあえずこいつを仕留める!くらえぇい!!
「唸れ俺の拳!“ただのゲンコツ“!」
俺は拳にいい感じに加速していた体重を乗せ、そのまま魔物の頭へズドンとゲンコツを食らわしたった。
そういえば獲物を見てなかった…猪か。魔物の猪は、牙が異常発達してて随分と太く長かった。体は大きく、よく俺のゲンコツは一撃で倒せたなと自分に感心してしまうほどだ。
「やっぱステータスの補正やばいなぁ。」
「うおおおおおおおお!」
ん?もう一方がなんかうっさいぞ。
…獲物を引きずり近ずく。
俺が見たのは、奇妙な光景であった。
俺の猪よりやや大きめの熊の死体の側で呆れた顔した3人のとなりに、
「僕の!僕の獲物ぉぉぅぉぅぉぅ」
尻すぼみな言葉でちょろちょろ泣いてる変な男がいた。
「誰?」
「「「さぁ?」」」
「ぉぅぉぅぉぅぉぅ…」
☆
なんか変な男にあってしまった。歳は18くらい?童顔なんだよな。背は俺と同じくらいだろうか。いや、ちょっと高い!ちくしょうめっ!
よく見ると、いい装備を付けていて、騎士のお坊っちゃんのように見える。けど…緑だな。騎士って白ちゃうん?あ、“属性騎士”か。
“属性騎士”
騎士職の上位職だ。この世界でいう第1ジョブが、騎士となるが、第2第3は属性を色として分けられ、
火属性なら、赤騎士、紅赤騎士
水属性なら、青騎士、群青騎士
風属性なら、緑騎士、深緑騎士
土属性ならば黄騎士、雄黄騎士となる
土属性の雄黄ってマイナーすぎる!って当時は思いましたよ。ええ。ただサンドイエローとか横文字よりはマシかって納得したけどね。
「ぐすっ。先程は、無様なところを、お見せしました。ぐすん。」
お、復活したっぽい。
「僕はぐすっ、深緑騎士団団長の、ひっく。ロフト・ペイルと言います。」
童顔青年は、涙を拭いさり、自身なさげに言った。それは俺たちを驚かせるもので…
「「「「騎士団長!?」」」」
こんな泣き虫ひよっ子同然のやつが騎士団長……と、俺たちはビックリした。
覇気もなくへたり込むこの青年は、俺たちが描いてた騎士像とは全くの別物で、悲しみさえも覚えた。
「そんな意外そうな顔しないでくださいよぉ僕だってなりたくてなったんじゃないんですからぁぁ」
またもや泣きそうになりながら青年は嘆く。
なりたくてなったんじゃない、か。なんか抱えてるんだな。ワケありだな!面白そうだな!
俺がニヤリと笑うと、他3人も同じような人の悪い笑みを…訂正、ゴリアテだけ真剣な表情だ。
首、突っ込んじゃいましょう!
「なりたくてなったんじゃないってどういうことかね?」
「それは…僕の養父が、この国の騎士団長だったんです。養父さんは、僕を育ててくれた人なんですが、先日帝国の刺客から王を守るために負傷して、騎士職を続けられなくなってしまって…第3ジョブの“深緑騎士“が僕だけだったので、成り行きで僕が団長にされちゃったんですぅ…。」
んなっ!?こいつ泣き虫のくせに第3ジョブだと!?
この国のレベルの低さを鑑みても随分強い。見た目の割にやるようだ。
ちなみに第1ジョブが“騎士”、第2ジョブが“緑騎士“、第3ジョブが“深緑騎士”だ。レアンコスマの街では、第3ジョブは1人も見なかった。それに、このロフトの話ではこの国の騎士団にも、ロフト以外の第3ジョブはいないようだ。案外意外につええ奴やんけ…もうちっと舌戦で情報引き出してやろうかいな!
……素直に鑑定しよ
ロフト・ペイル
人族男性
年齢:20歳
職業:深緑騎士
Lv:5
HP:1020 MP:410
筋力:620
敏捷:811
体力:680
知力:501
魔力:356
魔耐:532
運 :11
うっっわぁ第3ジョブ成り立てやんけ。それに運が低い!低すぎと言っても良い。あのフルボッコハンネより低いよ…てか17〜18かと思ったら20歳だったわ。童顔って顔が当てにならんな!
俺が鑑定して見た内容に色々思っていると、ハスミンがおもむろにしゃがんだ。そしてロフトと無言で目を合わせる。腐女子が喜びそうな構図だ。もう一度言おう、腐女子が喜びそうだ!!大事なことなので二回言いました。
イケメン(キャラ)のハスミンと、童顔泣き虫騎士。中身を考えなければ腐女子人気たかそう(小並)
けどまぁ、ハスミンの行動がいきなりすぎてよく分からんのだが…
「小僧、いい目をしているな。」
ズギューーーーン!
今、なんと言った?ハスミンよ、なんと言った?“いい目をしているな”だと!?
ラルさあああああああん!
ハスミンの一言は、俺の胸に突き刺さったでござる。。
尚、それはゴリアテとユックリーンも同じようで、
「「うふぉう!?」」
変な一言と共に、どこぞのジョジョのようなポーズを取っている。
まさかファンタジー世界で二次元名言を使うとは…やるな、ハスミン。
今度俺も使お。
ハスミンが言った一言からの一連の流れに、ロフトは1人、ポカンとするのであった。