14話
「肉祭りじゃあああああああああああああ!!」
オーク肉うめええええええええええええ!ほんと魔物の肉って美味い。脂がいい感じで乗ってるのにクドくないし、絶妙な火加減でいい感じに焼けてる。それに、魔物は魔力を少なからず持ってるから寄生虫とかを全く気にしなくていいらしいし。あー、いつかこの世界の刺身食いたい。
ゴリアテの周りが騒がしい。あの後、サイモはなにかを諦めたような顔をしてゴリアテに指導を願った。それでゴリアテが稽古をつけるようになったんだが、街から見ていた他の冒険者も指導を受けに来て、今ゴリアテはやいのやいのと剣術教室を開いている。
ハスミンは街のむすめに片っ端から声をかけている。マジでハーレム作ろうとしてやがるよ。何人かは一応捕まえてはいる。元の世界で考えたら可愛い部類に入るだろうが、まぁうちのアルラウネの方が美人ですね。
ユックリーンは黙々と肉を焼いている。解体してくれる他の冒険者からオーク肉を受け取り、それはもう黙々と淡々と焼いていく。料理人ジョブMAXが活きてますね。むちゃくちゃ美味いです。ゲームでは料理が、音ゲーミニゲームとして使われていたため、当時音ゲーにはまっていたユックリーンは極めていた。結果料理人ジョブMAX。街の料理人に尊敬の眼差しで見られている。
そんななか、俺はアルラウネやエルダートレントと会話をしていた。
「それじゃあお前たちはゲーム時代の記憶は朧げながらあるということか?」
「はい、ハッキリと覚えている訳ではありませんが」
サワサワサワ……
エルダートレントは本当は喋れるんだけども、受け答えをアルラウネに任せているようで、肯定に頷いたり、否定で幹を振ったりしている。999体だからかなりサワサワしてるんだよね。桜がいい感じで散っています。風情よのうぉ〜
「アルラウネ、俺と同化していたのだから、俺がこの世界に来てからの出来事とか知ってたりするか?」
俺が思ったのは、魔封室に閉じ込めてしまっている魔物ではなく、俺の魔力に同化している召喚獣(召喚人?)ならば、俺の見た聞いたことを理解しているのではないかということだ。
例えるなら、ゴテンクスで倒した相手は悟天とトランクス両人とも覚えているでしょう。ということである。
「はい、理解しております。主人様の感覚からして見るならば、テレビ?というものが近いと思います。第3者視点として見ている。という感じでしょうか。」
「なるほど。それは他の者も一緒か?」
「おそらくそうではないかと。」
それならば他の召喚獣たちも呼び出しやすくなる。まぁ他のは強すぎるから滅多なことでは呼び出せないんだけどさ。
「主人様」
「ん?」
色々と思案中のところにアルラウネから話しかけられた。なんだろうか。アルラウネは俺の後ろに目を向けている。誰か来たかな?
俺も振り返って見ると、そこには豪奢な格好をした少し痩せ気味のおじ様ダンディメンがいらっしゃった。OH、これはこれはお若い時はさぞオモテになられたことでしょうて。
「君が、“黒桜旅団”の団長さんかな?」
ダンディメンが話しかけて来た。まぁこの周辺俺ら以外トレントしかいないから用があるなら俺くらいだろう。それにしても声も渋くてイイなぁ。あ、俺はホモじゃない。断じて違います。
「ああ、私が黒桜の長だが、私に何か用かな?」
イケオジは、一瞬、安心したような顔をしてすぐにもとのキリッとした顔になった。
「私は、この一帯を統治している、エルタ・レアンコスマだ。この街を救ってくれた君たちに是非お礼が言いたくてね。」
ほっほうなるほどなるほど。ここらの領主さんでしたか。そりゃ用ありますわ。ないわけないでしょ。俺が召喚士ってのはステータスチェックのが行ってるだろうから知ってるだろうし(てか戦闘見てりゃわかる)、Sランを軽く超えてく強い奴がいたらそりゃ顔の一つも見たくはなるでしょ。それに今回は街の危機っぽかったらしいからね。
「この街が無傷だったのは君たちのお陰だ。どうだろう、私の屋敷に君たちを招待したいと思うんだが。」
おぉっとぉぅ!これは危険シグナルびんびんですね。大抵のネット小説ではこれは国に取り込みたいフラグ!これはちゃんと折っていくのが主人公!
「いや、気にすることはない。いい肉が取れそうだったから参戦したまで。そんなのでもてなされるなど流石に過ぎたこと。それに我々はこの世界を旅したい。明日にはこの街を出るつもりだ。」
はい、ちゃんと断りましたよ。ええええ、貴族のお料理とか興味あったけどね!断腸の思いですけども、ここで断らないで国の子飼いになって戦争に駆り出されたりなんだりよりかはマシ!まぁそうなると決まってる訳ではないがね。
「そうか。それならばしょうがない。ただ私達が多大なる恩を受けたのは事実だ。次にこの街に来た時は是非もてなさせてくれ。」
そう言って、イケオジは下がっていった。あれ、意外とあっさり。拍子抜けである。
「どう思われるかねアルラウネくん。」
「なんと言いますか、主人様が敵対しないように気を使っていた雰囲気がありましたね。それにあの目は普段から面倒ごとを抱えているような目でした。」
なるほど。たしかに、俺らに敵対されたら終わっちゃうもんね。けどまぁ面倒ごとを抱えているような目かぁ〜俺の周りにはそんな人いなかったからわっかんないわ。
「それと、あの者の名ですが、神樹の村の村長が言っていた名と一致します。」
ああ〜あそこで愚痴垂れ流してるって人ね!元老院議員だとか!そらめんどいことたくさんあんだろうなぁ〜
「ありがとう参考になった。」
「勿体無きお言葉にございます。」
んじゃ、そろそろお開きにしますか!いい感じに腹も膨れたし、酒もいい感じに入ったしね!
エルダートレントを回収して、アルラウネの召喚を解除!
「また主人様に呼ばれることを楽しみに待っております。」
伸び放題だったツタもアルラウネと一緒に消えてゆく。そして、光の粒子みたいなものが俺にあたり、溶けていった。片付け終了。さ、帰ろう。
「お前ら〜〜撤収〜〜!宿に帰るぞ〜〜」
「「「Oh Year」」」
☆
次の日の朝
「あ〜昨日は久しぶりに飲んだ。」
「果実酒だけど美味かったなぁ〜てかあのくらい薄めのがちょうどいいわ。」
「酒は苦手」
三人は意外と飲んだらしい。頭を抑えていた。ユックリーンも苦手なら飲まなきゃいいのに。あ、飲まされたんですか。それはお気の毒に。お疲れ様です。
「エリアキュア」
魔法で二日酔いもさっぱり。魔法って便利ね。
☆
「じゃ、サイモさん、また会いましょう。」
「ああ、元気でな。」
俺たちは、サイモさんに別れの挨拶をしに来ていた。
「お前たちは台風のような奴らだと思っていたが、何処からか来るのが突然だったらどこかへ行くのも突然だな。滞在期間何日だ?」
「「「「2日!」」」」
「早すぎだ!!全く。お前たちは天災として記憶しておく。近くに来た時は寄れよ。」
「はいはい。それじゃ行きますね。」
「ああ、またな。」
☆
「いやぁ〜案外いい街だったな。」
「だなぁ」
「女の子はあんま釣れなかったけどね。」
「調味料の補給ができた。」
女の子釣れなかったのは知らん。ハスミンお前、前の世界ではそんな女好きじゃなかっただろうに…
「そこはまぁ二次元に嫁求めてたからで、今はその二次元の中みたいなものだから、狙って当然でしょ。」
「「「たしかに」」」
俺らDT四人組。今日も今日とて道無き道を行く。
これで一章完結です!2章完成まで暫し待たれよ…