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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

猟奇的なエミちゃん ~血染めのエミちゃん番外編~

作者: 山本若沖

この作品には、凄く汚ない場面や残酷なシーンが多数あります。

心臓の悪い方やエググロが苦手な方には、お勧めできません。

それでも読まれる方は、覚悟して読んで下さい。

         1章  愛しのエミちゃん


 愛しのエミちゃん、かわいいエミちゃん、僕の愛しのエミちゃん

 僕の天使、僕の女神、君はなんて美しいんだ。

 あのつぶらな瞳。

 可憐な花の様な真っ赤な唇。

 少年の様にすらりと伸びた脚。明るい黄緑とピンクのストライプに染めた派手な髪。

 ど派手な化粧―君の美しく澄んだ瞳に僕はどう映っているのか。


 日焼けした小麦色の肌は陽光に照らされて黒光りしている。

 彼女はノースリーブのワンピースを着ている。

 それに比べて僕はスーツにネクタイといういでたちだ。

 仕事柄いつもスーツにネクタイという僕に比べて彼女はいつも夏用のワンピース姿だ。

 一年中夏の格好でいるらしい。

 僕と彼女が出会ったのはほんの3ヶ月前。

 電車の中で目と目が合って、それから食事をして付き合い始めたというわけだ。

 彼女はピチピチの12歳。それに比べて僕は48歳という超年の差カップルだ。

 どちらが先に声を掛けてきたかって。  

 勿論彼女に決まってるじゃないか。

 なぜなら僕は女の人と話した事も付き合った事もない48歳童貞男なのだ。

 彼女とどうやって付き合う様になったかって。

 知りたいか。

 彼女はあのかわいい顔でにっこり笑い、「はーい、おじさん遊ばない!」 と言って、僕は、「うん、いいよ!」と答えたのがきっかけで付き合い始めたわけだ。

 そうそう、僕の名前は神田 悟。

 彼女の名前は広中エミと言うそうだ。

 僕は万年平社員の、しがないサラリーマン。

 彼女はと言うと、自称魔法使いだそうだ。

 つまり魔女って事で念じればお金が降ってきて生活には困らないのだそうだ。

 この前彼女と海へ行った。

 彼女は凄く楽しそうだった。

 僕はと言うと、凄く暑かった。

 彼女は、「ねえ、おじさん。泳がないの?」 と言って、超ミニのビキニで、海へ駆け出して行った。

 彼女の姿はマーメイドの様に美しかった。

 僕は砂浜の上にスーツ姿で座って彼女が泳ぐのを眺めていた。

 彼女にいつも「英国紳士らしく常にスーツ着ていなければダメだよ!」と言われているので、砂浜でもスーツ姿なのだ。

 プールへ行った時も、彼女はヒモの様な超ビキニの水着姿なのに、「暑い、暑い!」 と言っているのだ。

 スーツを着ている僕はどうなるのだ。

 あまりにも暑いので、「上着脱いでもいいかな?」と言うと「ダメよ着てなきゃ!」と強く言われる。

「だって今日は、40度を超えるらしいじゃないか。暑くて死んじゃうよ!」と、僕が言い返すと、「言う事聞かないと、お仕置きよ!おじさん!」と言って顔を強くつねってくる。

「いててて、わかった」と言ってなんとか許してもらう。

彼女の爪は、魔女の爪の様に長く、ど派手なネイルを施しているのだ。

 それは、指から3センチ以上も伸びて、鋭利な刃物の様になっている。

 あの爪が、顔に食い込んだらたまったものじゃない。

「今度口答えしたら、おもいっきり引っ掻いてやるから!」と強い口調で言われる。

 ひえ、勘弁してくれ。

 あの爪で引っ掻かかれたら、顔の肉が抉れて骨が出てしまう。

 僕は、ゾーとした。

 元来僕は、暴力には、凄く弱い方だ。

 小学校、中学、高校と、よく悪がき連中に、プロレスごっこだ、カンフーごっこだ、と言ってよくいじめられたもんだ。

 いつも、学校から家に帰る時は、ああ、今日もなんとか無事に生きて帰れる!と思ったものだ。

 悪口や無視、物を隠されるだけで終わった日はああ今日は平和ないい1日だったな! こんな日が毎日続けばいいのにな! と思ったものだ。

 あんなの、僕にとってはいじめられた内には入らないのだ。

 それ程、生きるか、死ぬかの、瀬戸際のいじめを受けてきたのだこの僕は。

 あるクラスで、悪がきからバックドロップをモロに食らって再起不能の重体になった奴がいた。

 バックドロップをした悪がきは1ヶ月の停学処分を食らっただけで済んだ。

 色んなプロレス技をかけられたり、カンフーキックを顔に食らわされてきたけど、バックドロップだけは食らわされなかったのでよかったと思っている。

 僕が食らって一番苦しかった技に逆エビ固めというのがある。

 あれは、息が出来なくてとても苦しかった。

 脚四の字固めというのは、涙が出る程凄―く痛い。

 後は、顔面への飛び蹴りだ。

 あれを顔面にモロに食らって鼻血を出したり口の中を切った事もある。

 あんな恐ろしい無法地帯の世界を、僕は生きてきたのだ。

 よく今まで無事に生きてこれたと思っている。

 そんな気が弱い僕だから会社では、いつも使い走りをやらされている。

 課長からはよく「おい神田タバコ買ってこい」「ジュースを買ってこい」と言われる。

「課長お金は?」と尋ねると、「ツケで頼むわ」と強く言われ、しぶしぶ行ってくる始末。

 年下の若い社員からコピーを頼まれたり、夏の暑い日に外回りに行かされた事もあった。

 又、今日僕デートなんで僕の替わりにこの仕事をお願いしますと仕事を押し付けられた事もある

 ある日の事“今日は定時上がりで飲みに行こう” とみんながはしゃいでいる時に、課長から「おい、神田これやっとけ」 と山の様な仕事を机の上に積まれた事もあった。

 課長はよく自分の仕事のミスを僕に押し付けてきた。

 他の社員達も、自分がやった仕事のミスを僕がやった事にした。

 特に課長からは、毎日ねちねちイビられる。

 ある日、こういう事があった。

「おい神田ちょっとこい」

課長の怒鳴り声が聞こえた。

「はい、何でございましょうか?」

 僕はすぐに立ち上がると、上司の元へ駆け出した。

「お前なんやこりゃなめとんのかい」

 課長はまるでヤクザみたい。

「これはでも僕がやった事ではないのです」 

「この見積書の担当はお前だろうが。ほらここにかいてあるだろう! このうすらバカ」

「え、いつの間に僕の名前に」

「どう見てもお前が担当だろうが神田」

「いえ、違います! この見積書の担当は確か中村さん」

「いいわけを聞いてるんじゃないんだよ。少しは反省の気持ちを現したらどうかね! とにかく明日の朝が納期だからな! 徹夜でもしてなんとかするんだな! もしできなかったら始末書もんだぞ! それだけじゃないこの損失の責任も取ってもらうからな」

 後ろで何人かの、クスクス笑いが聞こえた。

「ところで神田、今日の会議で使う書類のコピーは出来てるか」

「いえ、実はまだなんです。忘れてました」

「バカかお前、小学生の宿題じゃないんだ! 忘れたで済むと思っているのか」

 課長は、バン!と勢いよく机を叩いた。

 半分禿げた頭からゆげが出そうだ。

「どうするつもりだ。もうすぐ重役会議なんだぞ。カバみたいにデカイ図体して、もう一回小学校からやりなおしたらどうだ」 

 後ろのクスクス笑いは更に激しいものになっていた。

 とまあこういう事は日常茶飯事なのだ。

 でも僕はあまり気にしない。

 なぜなら僕はあの地獄をくぐり抜けてきたのだ

 つまりいじめられる事に慣れているのだ。

 そして愛しのエミちゃんからもよく顔をつねられていじめられる始末。

 そんなエミちゃんの一番のお気に入りのデートコースは遊園地 特にジェットコースターに乗った時はキャーキャーと怪鳥の様な声を張り上げる

 目がくるくると回ってふらふらな僕に、彼女は全く容姿しない。

「ねえ次あれ乗ろ!」と言って、フリーフォール バイキング フライングカーペット コーヒーカップと連続で付き合わされる。

 怖がりな僕に彼女はお化け屋敷を見つけると「ねえ、入ろ!」と言って入らされ、「おじさん早く行ってよ!」と後ろから押されるのだ

 又アイスクリーム屋を見つけると「ねぇアイスクリームが食べたい買って!」と言ってねだってくる。

 エミはアイスクリームが大好きなのだ。

 食べ終わると、まだグロッキーでダウン寸前の僕の腕を引っ張って「ねえ、次あれ乗ろ!」と言って閉館近くまで絶叫マシンに付き合わされるのだ。

 そんな彼女が、ある日僕に聞いてきた。

「ねえ私の事好き?」

「うん、好きだよ!」 

 と答えると、

「どんな所が?」

「かわいい所かな」

 僕は答えた。

「じゃあ私おじさんのためにもっと可愛くなるようにがんばるね」

「がんばらなくてもそのままで十分かわいいよ」

 と僕が言うと、

「違うもん、もっともっと可愛くならないと嫌なんだもん! もっともっとおじさんのために」

 エミは駄々をこね始めた。

「そうかエミちゃん、どこまで可愛くなるか楽しみだな!」

「本当?おじさんがそう言ってくれて私すっごく嬉しいわ! だったら毎日裸でいたらもっと可愛くなるかな?」

「裸で歩いたらエミちゃん、警察に捕まっちゃうじゃないか」

と僕が言うと、彼女は急に立ち上がり目を宝石の様に輝かせて

「だったら私毎日水着で過ごすわ。おじさんのために」

 と胸を張って言った。

「はは、エミちゃん水着なんてそんなバカな事…」

 するとエミちゃん口を尖らして言った。

「バカとは何よ? ねえおじさん。いい事教えたげようか! 私小学生の頃すっごいいじめっ子だったのよ。これからはしっかりいじめまくってやるからね。覚悟してなさいね!」

 エミちゃんの言葉に僕は不思議な恐怖を覚えた。

 


 フフあのオヤジの顔ったらなかったわ。

 エミは不気味に笑った。

 久しぶりにいじめ甲斐のあるカモを見つけたわ。

 あのオヤジ全然怒らないんだもん。

 海水浴場やプールでずっと背広姿でいさせてやったわ。

 あいつ暑くて死にそうな顔してるんだもん。

 そして顔をつねってやったら泣きそうな顔するんだもん。

 そんなに私が怖いのかしら。

 ならいいわ。

 これからはもっともっといじめまくってやるから。

 おじさん覚悟なさい。

 今度はサウナの中で背広姿でいさせてやろうかしら。

 あの人私が魔法使いだと思っているのかしら。

 私は人の財布を抜きとるのが凄く得意なの。

 あまりにも速すぎて誰も財布を取られた事に気がつかないんだから。

 私は小学生の頃たくさんのクラスメート達をいじめてきたわ。

 特に3・4年生の時がピークだったのよ。

 いきがっている男の子や強そうな男子。

 怖そうな男の先生が私の標的だったのよ。

 金たまを蹴ってうずくまった所を顔面蹴ったり、いきなり飛び蹴りで顔蹴ってやったり、平気でやってきたの。

 体育だけはみんなよりもずば抜けていていつも5だったわ。

 他の教科はオール1だったけど。

 テレビでカンフー映画を見て、カンフーキックを覚えたわ。

 毎日キックの練習ばかりやってたっけ。

 それと私には、強力な武器があるの。

 この長い爪よ。

 ある日、学校の番長だとか言っていつも大勢の子分を引き連れて歩いている6年生の体の大きな男の子とぶつかった事があるの。

 その大きな子、確か相撲大会の少年チャンピオンだとか。

 廊下を大勢で風を切って歩くんだもん。

 他の子達は廊下の隅に避けて大名行列を見るみたいにしてこの様子を眺めていたわ。

 でも私はこいつらの前に立ち塞がって 「通れないじゃないの」

と言ってやったの。

 そしたらこの図体のデカイ番長指をポキポキ鳴らして、私に殴りかかってきたの。

 でも勝負はすぐについたわ。

 私の飛び蹴りがそいつの顔面にモロに決まったの。

 私は親の顔を知らない施設っ子。

 だから親が呼びだされる事もないし、施設のスタッフ達もみな私のいいなりだったわ。

 子供なので、例え人を殺しても刑務所に入る事はないでしょ。

 だから私に逆らう奴には、きついお仕置きをしてきたのよ。

 その番長は鼻が折れ顔面血だらけになって泣き叫んでいたわ。

 そのガキ大将の1の子分が私に突っ掛かってきたので、そいつの顔を長い爪で引っ掻いてやったのよ。

 凄い叫び声を上げてその子は顔を押さえたんだよ。

 そしてキャーッ!という悲鳴があちらこちらから聞こえたの。

 その時怖そうな先生がやってきたわ。

「エミちょっとこい」 と言って先生は私の手を引っ張ったのでその先公の顔を思いっきり引っ掻いてやったの。

 ギャーッと叫んで先生も床に突っ伏して顔を押さえたわ。

 私に引っ掻かれたバカと先公は、額がバックり割れて白い骨が見えてたっけ。 

 ざまあ見ろって思ったわ。

 私に逆らう奴はみんなこうなるのよ。

 あれから救急車が来て学校中大騒ぎになったっけ。

 みんなから鉄拳三鷹と言われて怖れられている空手三段の先生がいたの。

 この先生は、みんなの前でよく瓦三枚割りを披露していたわ。

 ある日私は、鉄拳三鷹に呼び出されて、校舎裏まで連れていかれたの。

 私と闘いたかったのか、この先生は、いきなり私に勝負を挑んできたわ。

 でも勝負はあっけなくついたの。

 私の飛び蹴りが先生の鼻柱に決まったのよ。

 この鉄拳三鷹、鼻血をいっぱい流しながら私に謝ってたっけ。

 私が 「今度は引っ掻いてやるわよ!」 て言ったら、「うわ、やめてくれお願いだ」と泣き叫んで土下座して誤ってくるんだもん。

 空手三段が聞いてあきれるわ。

 私が「足を舐めたら許してやるわ」と言ったら、この先生

「なめます、なめます」と泣きそうな声を出してきたので、私は裸足になって足をペロペロ舐めさせてやったのよ。

 それからというもの、私はやみつきになって、怖そうで、強そうな男の先生を裏庭へ呼び出しては、顔面に蹴りを食らわして、足を舐めさせてやったりしたわ。

 あの凄く残酷だった子供に、もう一度還る時が来たのよ!

 おじさんのためにね!

 エミは、妖艶に微笑んだ。

 


        2章   猟奇的なエミちゃん


 神田は、ある日の日曜日の朝、エミから電話で呼び出された。

 「おじさん… すぐに来て! いつもの場所で待ってるわ」

 神田はスーツに着替えると、彼女との待ち合わせ場所へ出かけて行った。

 日曜日なのにスーツとはな!

 でもいつも背広姿でいないと、エミちゃんに何をされるか分かったもんじゃない。

 あの長い爪を思い出すとゾッとした。

 「男はスーツ姿が一番いかすのよ」

 というのが、彼女の口癖なのだ。

 例の待ち合わせ場所に着くと、彼女は既に待っていた。

 神田は目を見張った。

 エミは超ビキニの水着姿だったのだ。

 それに、ネイルを施した長い爪とストライプ色の髪。

 エミは神田の方に近づいてきた。

 背が彼の胸の辺りまでしかない。

 まるでおとぎ話から飛び出してきたような小人か妖精みたいだ。

 エミは神田に話し掛けてきた。

 「おじさん見て! セクシーでしょ?」

 少女はバレリーナの様にくるっと1回転廻って言った。

 「私今日からおじさんのお嫁さんになりま―す!」

 エミは少し大きめのカバンを振ってみせた。

 神田はしばらく空いた口が塞がらす呆然としていた。

「エ、エミちゃんまさか、この格好で? それにお嫁さんに…?」

 神田はいきなり小さな少女に股間を蹴られた。

 痛い…とうずくまった時、蹴りが顔面に飛んできた。

 間髪入れず今度は往復ビンタが飛んでくる。

 最後に頬っぺたをギュットつねられた。

 とても子供の蹴りとは思えない強烈な蹴りだ。

 神田は目から火が出るのを感じた。

 今は彼女に頬っぺたを思いっきりつねられている。

「いててて、やめてくれ、エミちゃん! お願いだ」

「ねえおじさん、私言わなかった? いじめまくってやるって」

「痛い、エミちゃん離してくれ」

 あまりの痛さに目から涙がこぼれ落ちる。

「おじさん泣いてるんだ! 涙が出てるよ。大人の癖に泣いちゃっておっかし」

 エミは手を離してくれた。

 あまりの痛さに神田は顔を押さえてうずくまっていた。

「ねえおじさんデートしない? アーケードの中を二人で手をつないでぶらつこうよ!」

「分かったよエミちゃん。そのかわり乱暴な事はやめてくれよ」

 神田は情けない声を出した。

 日曜日のアーケード街は人混みでごったがえしていた。

 その中を神田は小さい少女と手をつないで歩いていた。

 周りの人から見れば親子にしか見えないだろう。

 でも違うのだ。

 二人はカップルなのだ。

 それにこの小さい恋人は猟奇的な彼女なのだ。

「ねえあれ見て! 超かわいい!」

 彼女は、時々たち立ち止まっては、はしゃぎ廻っている。

「ねえ、おじさん!私お腹空いちゃった!」

「分かったよエミちゃん! どこかで何か食べよう」

 神田は、いい店がないか探し始めた。

「あの店超かわいいよ! あそこにしようよ!」

 見るとディズニーのキャラクターをあしらった様な派手なかわいい店が目の前にあった。

 神田はエミと一緒にこの店に入った。

「いらっしゃいませ」

 ディズニーの世界から飛び出してきた様な女の子が出てきて席に案内された。

「お子様カレー2つ」

 エミは、叫んだ。

「僕もお子様カレー食べるの?」

「文句あるの? 私と同じのにしなさい」

 店の内装は、可愛らしいディズニーのインテリアが、施されていた。

 テーブルと椅子もディズニー風で、驚く程小さい。

 どうやら子供用に造ってあるようだ。

 周りの客層も、12歳以下の子供ばかりだ。

 みんな派手に髪を染めていた。

 顔にも派手な化粧やメイクをして、爪にもネイルを施していた。

 女の子ばかりかと思ったけど、男の子も半分くらいいるようだ。

 男の子達は化粧のせいか、女の子みたいに見えた。

「お待たせしました」

 女の子が、お子様カレーを2つ持ってきた。

 よく見ると、子供用の玩具がオマケについている。

 神田は、ばつが悪そうにカレーを食べ始めた。

 この中で、大人は私だけだ。

 神田は、小人の国に迷い込んだガリバーになった気分になった。

 カレーを食べると、彼女はチョコレートパフェを2つ注文した。

 カレーの後のパフェは、格別だった。

 正直言って、カレーもパフェもおいしかった。

 こういう店も案外悪くないな、と神田は思った。

 でも一人では、来れない店だ。

 エミと一緒の時でないと…。

 パフェを食べ終わると、神田は支払いを済ませて、彼女と店を出た。

 再び二人は、手を繋いで街中を、歩き始めた。

 周りの人達が、二人の方を見て、クスクス笑っている。

 エミちゃんの格好が、あまりにも場違いなせいか、目立つのだろう。

 その時神田の目に、数人のたむろしている若者の姿が飛び込んできた。

 どう見ても普通の若者には、見えない。

 髪を金髪に染めている者や、スキンヘッドやモヒカンの若者もいた。

 神田は悪い予感がこみ上げてくるのを感じた。

 とにかく、この若者達と目を合わさないようにして、早くその場を立ち去ろうと思った。

「ヒューヒュー!」

「お嬢ちゃん! 色っぽいね!」

「どうして、こんな格好してるの?」

 若者達から、爆笑の渦が沸いていた。

 神田は、エミの手を引いて、足早に通り過ぎようとした。

 神田の努力も空しく、若者達は二人の周りを取り囲んだ。

「ねぇお嬢ちゃん!可愛いね!」

「こんなおやじなんかよりも、僕達と遊ばない?」

 全部で、10人はいるだろう。

「ななんだね、君達は?」

 神田の声は、震えていた。

「お嬢ちゃん!僕達と一緒においでよ。いい所に連れて行ってあげるよ」

 若者の一人が、エミの手を掴んだ。

 エミは数人の若者に囲まれたまま、連れ去られようとしていた。

「え、エミちゃん!」

 神田は、何も出来ず呆然とその様子を眺めていた。

「おい、おっさん! 何見てんだよ? 文句あんのか?」

 スキンヘッドの若者が、神田に近づいた。

「わ私は何も…」

 若者のパンチが、神田の腹にのめり込んだ。

 神田は、苦しそうにうずくまった。

「お前なんかには、もったいないっていってんだよ!」

 スキンヘッドが、神田の顔を蹴った。

 神田は、尻餅を着いた。

「ひい、や止めて下さい。あなた方に差し上げます。だから乱暴はお止め下さい」

「お嬢ちゃん! あんたの不細工なおやじは、白状だねぇ。好きにしてもいいって言ってるよ」

「それにしても、いい体してるねぇ!」

 若者達は、エミの小麦色に焼けた体を、パチパチ叩き始めた。

「汚ない手で触らないでよ!」

 エミは、スキンヘッドの股間を、思い切り蹴り上げた。

 スキンヘッドがうずくまった所に、エミの蹴りが彼の顔面に飛んだ。

 スキンヘッドはふっ飛び、壁に後頭部を打ち付けて気を失った。

「やりやがったな!」

 金髪の若者が、エミに襲い掛かった。

 その金髪は、エミの蹴りを腹に食らってふっ飛んだ。

「このクソガキ! やっちまえ!」

 残りの若者が、エミに襲い掛かった。

 その時、少女の体が宙に舞った。

 と、同時に三人が倒れていた。

 エミの空中蹴りが、三人の顔面に決まったのだ。

「気をつけろ! このクソガキ、何かやってるぞ」

 若者達はいつの間にか、手にバタフライナイフや、チェーン、鉄パイプ等を、握っていた。

「油断するな! 一斉に掛かるんだ」

 リーダーの男の指示の元、武器を持った若者は、一斉に少女に襲い掛かった。

 一瞬の間にリーダーの男は、鼻に飛び蹴りを食らってふっ飛び残りの者は、顔を押さえてうずくまった。

 いったい何が起きたのか?

 エミの光速の蹴りと爪の攻撃が若者達の顔に決まっていたのだ。

 顔を抉られた不良達は、顔を押さえてのたうち回っていた。

 たちまち指の間から血が流れ始める。

「なんなのよ? こいつら」

 エミは何くわぬ面持ちで言った。

 あちらこちらから悲鳴が聞こえてきた。

「エミちゃん! 逃げよう!」

 神田はエミの手を引いて走り出した。

「ねぇおじさん! 遊園地に行こうよ!」

「分かったよエミちゃん! 遊園地に行こう!」

 神田は表通りに出ると、タクシーを拾った。

 たちまち、救急車のサイレンの音が聞こえてきた。

 タクシーは、間もなく遊園地に着いた。


 日曜日の遊園地は、カップルや、家族連れで賑わっていた。

「ワー! 凄い! ねぇおじさん! あれ乗ろうよ!」

 エミは、楽しそうに、はしゃぎ回っている。

 神田は、ジェットコースターを始め、色んな絶叫マシンに連続で付き合わされた。

「ねぇ、アイスクリームが食べたい! 買って!」

 エミは、アイスクリームをねだってきた。

 アイスクリームを食べ終わると、エミは又、乗り物に乗りたがった。

 再び神田は、連続で絶叫マシンに付き合わされるはめになった。

 二人が、ジェットコースターの列に並んでいると、突然二人組の柄の悪そうな男達が列に割り込んできた。

「あの、ここ並んでいるんですけど…」

 神田は、穏やかに言った。

「なんだ、おっさん! 文句あるんか?」

 一人の男が、凄んだ。

 二人共、まともな男達とは思えない。

「いえ、私はただ順番は守った方がいいかと…」

 男の拳が、神田の腹にめり込んだ。

 神田は、苦しそうに呻いてうずくまった。

「ちょっと、あなた達! 何するのよ?」

 エミが神田の守るように、立ちはだかった。

「お嬢ちゃん! 今何て言ったの?」

「俺達が、誰だか分かっているの?」

「それよりもお嬢ちゃん! 凄い格好してるね!」

「これって、水着じゃないの? それも超ビキニの…」

「お嬢ちゃん! 可愛いよ! こんなおやじなんかよりも、僕達と遊ばない?」

 二人組は、エミの小麦色に焼けた体をパチパチ叩き始めた。

「汚ない手で触らないでよ!」

 エミは、男の股間を蹴り上げた。

 男は股間を押さえて、うずくまった。

「何しやがる? このクソガキ!」

 もう一人の男が、エミの顔をひっぱたいた。

「やったわね!」

 エミは、高くジャンプすると、男の顔に飛び蹴りを食らわせた。

 男は、ふっ飛んで地面に倒れた。

 エミは倒れた男の側に行くと、そいつの顔を長い爪で思い切り引っ掻いた。

 ギャー!と鋭く叫んで、男は顔を両手で押さえた。

 手の指の間から、鮮血が流れ始めた。

 キャー!という鋭い悲鳴と、取り囲む野次馬達。

「大変だ、肉が抉れている」

 男の額は、深く抉られて白い骨が覗いていた。

「うわ、骨が出ている」

「早く救急車だ」

「エミちゃん! 又ヤバイよ」

 神田はエミと一緒にその場を立ち去り遊園地を後にした。

 ちょうどタクシーが来て、二人は乗り込んだ。

 神田は運転手に自分の自宅の住所を告げた。


 タクシーは、間もなく神田の自宅に着いた。

「エミちゃん! 今日からここが君の家だよ」

 神田は、エミを部屋に招き入れた。

 ただのワンルームマンションだ。 

「なんだ! おじさんの部屋何もないじゃん」

 エミは部屋の中を見回した。

「でも今日は凄く楽しかったね!」

 冗談じゃない。

 エミちゃん! 強すぎる。

 て、言うか危なすぎる。

 いったいエミちゃんは、何者だ。

 この狂暴な少女と、ずっとここで暮らすのか?

 怒らしたら大変な事になる。

 ずっと機嫌を取っておかなければ…

 神田は、震え上がった。

「ねぇおじさん! さっきから何ビクビクしてるの?」

 神田の心中を察してか、彼女が口を開いた。

「おじさん! 今日は楽しかったわ! でもねぇ少し怒りたい事があるの。あの男達に絡まれた時おじさん、私を置いて逃げようとしたでしょう?」

「いやあの時は何て言うか、びっくりして体が震えていたんだよ」

「でもおじさん! 逃げようとしたわよねぇ? 正直に言いなさいよ」

 エミは、神田の頬をつねり上げた。

「い痛いエミちゃん! 離してくれ」

「ねぇおじさん! どうなの? 本当は逃げようとしたんでしょ」

 エミは、更に強くつねり上げた。

「ぼ僕、あの時ただ凄く怖くって思わず逃げようとしたんだ。許してくれ!エミちゃん! ででも直ぐに警察に知らせるつもりだったんだよ。エミちゃんを見捨てるつもりはなかったんだよ」

「おじさん! あんたの弱虫はよく分かったわ。でもあの時は体を張ってでも女の子を守るのが男ってもんじゃないの?」

 エミは、神田の頬を再び強く捻り上げた。

 神田は、あまりの激痛に顔を歪めた。

「ねぇそうよね! おじさん! それが男ってもんよねぇ!」

 エミは、反対側の頬もつねり上げた。

「ギャー! い痛いよエミちゃん! 許してよ!お願いだよ」

「おじさん! このまま引きちぎってもいいのよ!これからは、私の言う事何でも聞くって言うんなら止めてあげてもいいわ。それが嫌ならそのまま引きちぎってやるわよ!」

「わ分かったよエミちゃん! 何でも言う事を聞くよ」

 エミは、手を離してやった。

 あまりの痛さに神田はしばらく顔を押さえてうずくまっていた。

「そう、何でも言う事を聞くの? あなたには毎日お仕置きが必要なようね!」 

 エミはビキニの水着を脱ぎ始めた。

 脱いだ水着を、神田の顔に投げつける。

「わわ、エミちゃん! いったい何の真似…」

 エミの日焼けした体は電気の照明に照らされて黒光りしていて、少し突き出た胸がピクピクと動いている。

「先ずは、私の足をナメナメしなさい」

 エミは足を差し出した。

「わ分かったよエミちゃん! 舐めるよ」

 神田は、少女の足をペロペロ舐め始めた。

「下手くそ!」

 エミの蹴りが、肩口に飛んできた。

「もっと上手にできないの!」

 神田は、再び舐め始めた。

「下手くそ!」

 又エミの蹴りが肩口に飛んできた。

「何回言ったら分かるの? もっと丁寧に舐めなさいよ!」

「分かったよエミちゃん! 今度は上手くやるよ」

「次は、顔を蹴るからね!」

 エミちゃんの顔が凄く怖い。

 神田は体中に冷や汗が流れるのを感じた。

 神田は上手く舌を使って足全体を丁寧に舐め始めた。

 彼女の蹴りを、顔に食らいたくないからだ。 

「やればできるじゃない、おじさん! 今度は反対の足もよ」

 神田は、反対側の足も同じように丁寧に舐めた。

「なかなか上手くなったわね! ご褒美をあげるわ。口を開けなさーい! ずっと開けているのよ」

 間もなく、神田の口に水のような物が流し込まれた。

 なんと、エミが神田に小便を飲ませているのだ。

「さあ、喉が渇いたでしょ! たっぷりと飲みなさーい」

 神田は、エミのおしっこをガブガブと飲んだ。

 アンモニアの味が、口の中に広がった。

「ねぇおじさん! 私のおしっこの味、どうだった?」

 神田は、腹を押さえて苦しそうに呻いた。

 凄く気持ちが悪い。

 吐きそうだ。

「おいしかったかって聞いてんのよ!」

 エミは神田の顔を、つねり上げた。

「ねぇおいしかったの? どうなの?」

 再び強くつねり上げる。

「ヒイー! い痛いエミちゃん!おいしかったよ」

 エミは手を離した。

「そう、よかった! おいしくなかったって言ったらあのまま引きちぎってる所だったのよ。だったらこれからはおじさんに私のおしっこ、毎日飲ませてあげるね。分かった?おじさん」

「分かったよ! エミちゃん」

 神田は震えながら言った。

 エミちゃんは、機嫌を直してくれた。

 でもこれからは、エミちゃんのお仕置きが毎日待っているのだ。

 それと、毎日エミちゃんにおしっこを飲まされる。

 神田は凄く憂鬱になった。

 浮気をしたら殺されるかも知れない。

 神田はゾッとした。


 翌日神田が会社に出勤すると、みんなが神田の顔を見て言った。

「神田さん! この顔どうしたんですか?」

「いや、ちょっとな」

 なぜなら神田の顔は、エミによって何回もつねられたため、赤黒く変色していたからだ。

「誰かにやられたんですか?」

「もしかして彼女にやられたとか…」

「いや違うんだ」 

 神田は、なんとかごまかそうとした。

 まさか “十二歳の女の子にやられました” とは恥ずかしくて、とてもいえない。

「神田さん! 隠しても分かりますよ。顔に書いてありますよ」

 同じ課の中村が、声を掛けてきた。

「神田さん! 彼女いたんですか?」

 若い社員が尋ねた。

「ままあ、一応…」

 神田は、曖昧に答えた。

「えー! 神田さんに彼女が…?」

 みんなが、驚嘆の面持ちで一斉に叫んだ。

「神田! ちょっと来い!」

 田中課長の声が聞こえてきた。

 課長は、神田と同じ四十八歳だ。

 神田を目の仇にしているため、いつも神田をイビりまくる。

「はい、課長! なんでしょうか?」

「お前、この顔は女にやられたのか?」

 課長は神田の顔をじっと見つめた。

「隠しても分かるぞ。正直に言いたまえ」

「はい課長! その通りです」

 神田は、蚊の鳴くような声で言った。

「やっぱりそうか。情けない奴だな! お前は」

「はい、面目ありません」

「その彼女は、何歳位だ? 若いのか?」

「そんなに若くは…」

「この前神田をプールで見たと若い奴が言っていたぞ。確か背広を着てプールにいたと…小学生位の女の子が一緒にいたと若い奴が言っていたぞ。本当の所はどうなんだ?」

 課長は再び神田の顔を見つめた。

「まあいい、それよりも今からN商事に行ってきてくれ」

 N商事というのは、みんなが敬遠する取引先の会社だ。

 課長はこの役をいつも神田に押し付けた。

 N商事に行くと、他の人がやったミスでいつも攻められるのだ。

 そのため、N商事に行くのをみんな嫌がるようになった。

「はい課長! 行って参ります」

 神田は部屋を出て行った。

「あいつに彼女が…」

「あんなキモい奴に彼女が…」

「どんな彼女なんだ?」

「とんでもないブスに決まってるよ」

「この前プールで一緒にいた女の子じゃないのかな?」

 神田が出て行った後、みんなは騒ぎ始めた。

「あいつに彼女が…」

 課長は苦々しく呟くと、ごみ箱に勢いよく紙屑を投げ入れた。

 噂はたちまち、社内全体に風の如く広まった。


「ただいまー!」

 自宅に帰ると、エミちゃんが出迎えてくれた。

「おじさん! おかえり」

 彼女は全裸だった。

 まさか一日中裸でいたのか?

 エミはずっとスキップしていた。

「エミちゃん! スキップなんかしてどうしたの?」

「だっておじさんが帰ってきて凄く嬉しいんだもん」

 エミは無邪気に笑いながらスキップしている。

「私ね、おじさんのためにごちそうを作ったのよ」

 カレーの匂いが部屋中に漂っていた。

「名付けて、エミちゃん特性カレーデース!」

「エミちゃん! カレー作ったの?」

「そうよ! 私おじさんのために一生懸命作ったんだよ。早くおいでよ。美味しいカレーが待ってるよー。スキップスキップランランラン!」

 エミはスキップしながら、駆け出して行った。

 神田が台所に入ると、カレーらしき物が出来上がっていた。

 エミちゃんはまだ嬉しそうにスキップしている。

 エミのスキップの速度が段々と早くなる。

 エミはスキップしながら神田に向かって突っ込んできた。

 その時エミの体は宙に舞った。

 強烈な飛び蹴りが神田の顔面に炸裂した。

 神田は吹っ飛ばされて、硝子に頭を打ち付けた。

 ガシャン!という派手な音が響き、硝子が砕けた。

 神田は頭を押さえながら上を見上げた。

 エミが冷たい表情で見下ろしていた。

 彼女の蹴りが、顔面に飛んできた。

 神田は再び吹っ飛ばされた。

「えエミちゃん、痛いよ! 止めてよ」

「ねぇおじさん! 私の事好き?」

 エミは神田の変色した頬をつねり上げた。

「ギャー、痛いよエミちゃん! 好きだよ」

「どれくらい好きなの?」

 更に強くつねられる。

「せ、世界一好きだよ」

「本当なの? おじさん! 私はねぇおじさんの事大嫌いなのよ! 分かってんの? あんたみたいな弱虫を見てるとねぇ残酷な気分になってねぇ凄くいじめたくなってくるのよ」

「エミちゃん! 頼むから手を離してよ」

 エミは手を離した。

 あまりの痛さに、神田は顔を押さえてうずくまった。

「今からねぇおじさん、お仕置きが始まるのよ。私の言う事なんでも聞くわよね」

「わ分かったよエミちゃん! 何でも言う事聞くよ」

「ちょっと待ってておじさん」

 彼女は奥の部屋に行くと、ジャンパーとコートを五枚位持ってきた。

「エミちゃん、これはいったい…」

「着て!」

「え、着るの?」

「そうよ。早く着なさーい」

「そそんな! 暑くて死んじゃうよ」

 エミは再び神田の頬をつねった。

「早く着なちゃーい。早くこのスーツの上から着なさーい」

 エミは無表情で頬をキツくつねり上げた。

「わ分かったよ。着るよ」

 神田は、ジャンパーとコートを着始めた。

 着膨れして雪ダルマみたいになった。

「どう、おじさん気分は?」

「暑くて死にそうだよ。僕はいつまでこの格好でいなくちゃいけないんだ?」

「ずっとよ。ずっと」

「ずっとっていつまで…?」

「私がいいって言うまでよ。その変わり私はずっとこの格好でいてやるわ」

「これって四六時中って事?」

「そうよ! あなたはずっとこの格好でいるのよ。そして私はずっと裸ポンポンでいてやるって言ってるのよ。分かったの?」

「分かったよエミちゃん」

「一枚でも脱いだら、どきついお仕置きだからねぇ!」

 エミは神田の着膨れした体に細い糸を何重も巻き付けた。

「ねぇおじさん軽いお仕置きは毎日なのよ。先ずは顔蹴り蹴りの刑からよ。ここに座りなさーい」

 神田はエミの前に正座した。

 エミは神田の顔を左右交互に軽く蹴り始めた。

 バチン、バチン、バチン、バチン!

 と、十回位連続で蹴った。

「イヤだー! 臭い!」

 エミは、自分の肩口辺りの匂いを嗅いだ。

 彼女は、しばらく体を洗っていない。

 凄い少女独特のキツい体臭が、エミの体から漂っていた。

「ねぇおじさん! 匂って!」

 エミは肩口辺りを、神田に嗅がした。 

 強烈なカレーの腐ったような匂いが神田の鼻をついた。

「どう、おじさん? 私の裸の匂いは…?」

「凄い匂いがする。エミちゃん! ずっと体洗ってないんじゃ…」

「そうよ、おじさん! 今から私の体全体の匂いを、おじさんに嗅がせまくってやるわ。覚悟はいい?」

「分かったよ。エミちゃん!」

「行くわよ。おじさん! 匂い嗅げー!」

 エミは自分の体全体の匂いを、神田に嗅がせ始めた。

 腕から始まって、胸、腹、背中、脚と顔中に押し付けてやった。

「どう、おじさん! いい香りがするでしょう。もっと匂えー!」

 エミは体中の匂いを、神田の顔に塗りまくってやった。

 神田は、激しく咳込み始めた。

「ヤダヨ、エミちゃん! 止めてくれよ。凄く変な匂いがするよ」

「キャハハハハ! まだお尻と股間の部分が残っているわ」

 エミはお尻を神田の顔に強く押し付けた。

「生ケツの匂い嗅げー!」

 エミはお尻の匂いを神田の顔中に塗りこんだ。

 続いて肛門の辺りを神田の鼻に押し付けてやった。

「肛門の匂い! 嗅げー!」

 神田は苦しそうに、激しく暴れ始めた。

「次は股間の匂いよ!」

 エミは自分の股間を、神田の顔に押し付けた。

 強烈なアンモニアの匂いを、神田の顔中に塗りまくってやる。

 神田は激しく暴れると、咳込み始めた。

 エミは急いで神田から離れた。 

 神田は床に激しく嘔吐し始めた。

「どうだった? おじさん! 今日のお仕置きは? 名付けて裸ポンポン嗅がしの刑よ! 思い知った?」

 エミは神田を立たせた。

「お腹空いたでしょう。おじさん! 美味しいカレーを食べさせてあげるわ。さあ早く座って」

 神田はテーブルの椅子に座った。

 エミはカレーを皿に満タンにすると、それを神田の前に置いた。

「私、食べさせてあげるわ。おじさんアーンして! アーン!」

 神田の口の中にカレーが浸入してきた。

 なんだ、これは?

 凄く変な味がする。

 まずいなんてもんじゃない。

「どう、おじさん! 私のカレーの味は?」

「エミちゃん! これ、何が入ってるの?」

「砂糖とプリンと後、私のエキスがたっぷりと入ってるわ。たっぷり作ったから全部食べなきゃダメよ。おじさん!」

 エミはスプーンでカレーを掬うと、神田の顔の前に持ってきた。

「ハーイ、アーンして! おじさん!」

 神田は再びまずいカレーを食べた。

 フフフ!このカレーにはね、私のオシッコがたっぷりとウンコが少し入っているのよ。

 でもこんなものでは済まないのよ。

 もっと懲らしめてやるわ。

「ねぇおじさん! もっと美味しくする方法があるのよ」

 エミはこのカレーを口一杯に頬張った。

 エミの顔が、フグのように膨らむ。

 エミはそれを別の皿に吐き出した。

 これを何回も繰り返しやがて皿の中は、エミの吐き出したカレーで一杯になった。

 異様な臭気がカレーから漂っている。

「ハーイおじさん! アーンして!」

 エミはこのカレーをスプーンで掬うと、神田の前に差しだした。

 まさかエミちゃんに、口から吐き出した物を食べさせられるとは…

 でも食べないとエミにどんな目に合わされるか?

 神田はこのカレーを口の中に入れた。

 ウエーまずい! 唾の味がする! 吐きそうだ。

「エミちゃん! 水をもらえるかな?」

 エミはヤカンにたっぷりと水を汲んできた。

「はい、お水!」

 エミはヤカンを神田の目の前に置いた。

「まだたっぷり残ってるわよ。ハーイアーンして!」

 神田はカレーを口の中に入れると、直ぐに水で流し込んだ。

「どう、おじさん! 美味しい?」

 エミは神田の頬をつねり上げた。

「美味しいの? 美味しくないの? どっちなの?」

「す凄く美味しいよ! エミちゃん!」

 神田は涙を流しながら言った。

「そう、涙を流す程美味しいの! だったら毎日私の口から吐き出した物を食べさせてあげるわ。アーンして、おじさん」

 エミは次々に口から吐き出したカレーを神田に食べさせた。

 皿が空になっても、再び口から吐き出したカレーで皿を一杯にして、それを神田に食べさせた。

 神田はエミの吐き出したカレーを水で流し込む事によってなんとか食べ切る事ができた。

「ねぇ美味しかった? おじさん、次はオシッコ飲ませてあげるわ。口を開けなさーい!」

 エミは神田の口の中にオシッコを入れ始めた。

 神田はエミのオシッコをガブガブと飲んだ。


 翌朝神田は、激しい腹痛に襲われた。

 エミの吐き出した物を食わされた上に、オシッコまで飲まされたのだ。

 腹を壊して当たり前だ。

 神田が会社に着くと、みんながビックリして彼の方を見た。

「神田さん! どうされたんですか?」

「ちょっと風邪気味なんだ」

 神田は腹を押さえながら顔を歪めた。

「神田! この雪ダルマみたいな格好はなんだ?」

「課長! 凄く寒気がして…」

「早速だが神田! 今からN商事に行ってこい!」

「はい課長! 行って参ります」

 神田は腹を押さえながら出て行った。

 神田は今日一日中便所に駆け込んでは下痢と嘔吐を繰り返した。

「神田さん! 大丈夫ですか?」

 同じ課の女性、神崎恭子が心配そうに声を掛けてきた。

 彼女だけは神田に優しく、又なかなかの美人だ。

「うん、大丈夫だよ!」

 神田は無理に笑顔を作って答えた。

 凄まじい暑さと腹痛が神田を襲っていた。

 熱中症と食中毒のためか彼の意識は朦朧としていた。

 やがて目の前がまっ暗になり、神田は意識を失った。


 気が付くと神田は病院のベットの上にいた。

 点滴の針が腕に刺さっている。

「気が付いた? 神田さん!」

 目の前に神崎恭子が立っている。

「軽い熱中症だって医者が言ってたわ」

 見ると、神田が着ていたジャンパーとコートが目の前に置いてある。

 ヤバイ! エミに酷いお仕置きをされる。

「入院の必要はないそうよ。少し安静にしてれば大丈夫らしいよ。今日は私が神田さんを家まで送ってあげるわ」

「僕は大丈夫です。一人で帰れますから」

 彼女といる所を見られたらエミに殺される。

「無理したらダメよ神田さん。あなたの彼女の事は心配しなくていいのよ。熱中症で倒れて病院に担ぎ込まれたって言っておくから。

彼女も話せばきっと分かってくれるわ」




         3章  惨劇の部屋


「有難う。この辺でいいよ!」

 神田は神崎に車で、自宅の近くまで送ってもらった。

「それではお大事にね。神田さん!」

 神崎の車は走り去って行った。

 神田は五枚のジャンパーとコートを着始めた。

 そうしないと、エミに何をされるか分からない。

 それ程、彼女が怖いのだ。

 辺りはもうまっ暗だ。

 十月の夜は肌寒いので、厚着をしていてもあまり苦にならない。

「ただいまー!」

 神田は部屋に入った。

 エミがいない。

 いったいどこに?

 その時後ろから声が聞こえてきた。

「おじさん! どこに行ってたの?」

 神田は振り向いた。

 全裸のエミが無表情な面持ちで立っていた。

 これがまた凄く怖い。

 少し出た胸がピクピクと動いている。

 エミは神田に近づいた。

「ねぇおじさん! どこに行ってたのか聞いてんのよー!」

 エミは神田の頬をつねり上げた。

「ギャー、痛い!」

「ねぇ、どこに行ってたのー?」

 エミは更に強くつねり上げた。

 あまりの痛さに神田は身を震わせた。

「ねぇ今何時だと思ってるの?」

 よく見ると、時計は夜中の一時頃だ。

 夜中近くまで病院で寝てたらしい。

 エミをよく見ると全身水を被ったみたいにびしょ濡れだ。

「ねぇこの汗見て! 凄いでしょう?」

 彼女は体中汗だくになっている。

「私ね、おじさんのためにずっとカンフーの練習をしてたの。それはねぇあなたを痛めつけるためによ!」

「エミちゃん! おじさんはね、仕事で遅くなったんだよ」

「女の人と一緒だったでしょう。私見てたのよ」

「ち違うんだエミちゃん! 僕は倒れて病院に運ばれたんだよ」

 神田は、医者の診断書を見せた。

「エミ、全然分かんなーい。何よそれ? ジャンパーとコートだって脱いだんでしょ?」

「それは僕が病院に運ばれて、点滴を打って貰ったからなんだよ」

「でもエミとの約束破ったわよねぇ。許さないから。エミに隠れて女の人と会ってるし…」

「彼女は僕に付き添ってくれて家の近くまで送ってくれただけなんだよ」

「いいわけはいいのよ。これからエミのドキツイお仕置きがあるのよ。覚悟はいい?」

 エミは、その場でカンフーの演舞を始めた。

 アクロバット的な軽快な動きだ。

 特に突きと蹴りは、風を切る音が聞こえる程凄い。

 演舞が終わるとエミは更に汗だくになっていた。

「今から一晩中お仕置きだからね。まずは裸匂わしの刑からよ」

 エミは神田に体全体の匂いを嗅がせ始めた。

 体中の汗を神田の顔中に塗りまくってやった。

 次にお尻と股間の部分を嗅がせてやる。

 神田は苦しそうに咳込むと床に吐き始めた。

「どうおじさん、私の裸の匂いは? もっと嗅ぎたいの? 嗅ぐわよねぇ!」

 エミは再び体中の匂いを神田に嗅がせまくってやった。

「匂い嗅げー!」

 お尻の肛門部分と股間の辺りも匂わせまくってやる。

「匂い嗅げー! もっと嗅げー」

 更に強く彼の顔中に押し付けた。

 神田は激しく嘔吐し始めた。

「ねぇおじさん、もっと嗅ぐわよねぇ。胃の中が空っぽになったんじゃないの? 吐く物がなくなれば今度は血を吐く事になるわよ」

「エミちゃん、か勘弁してくれよ。頼むから止めてくれよ」

 神田は必死で懇願した。

「分かったわ。止めて上げてもいいわ。そのかわり次はカンフー少女の刑よ」 

「止めてくれよ。彼女とは本当に何もなかったんだよ。ただ送って貰っただけなんだ」

「嫌よ! 止めないわ。私カンフー少女になっておじさんの顔を蹴りまくってやるわ」

 エミはその場でマラソン選手よろしく、駆け足を始めた。

 だんだんと脚の回転速度が速くなる。

 神田はその様子を凄く不安そうに眺めていた。

 回転がピークに達した時、エミは彼に向かって猛然とダッシュした。

 全裸なので凄いスピードが出ている。

 エミの体は宙に舞い、神田の鼻柱に飛び蹴りを食らわせた。

 神田は彼女の飛び蹴りを顔にモロに食らって三メートル位ふっ飛ばれた。

 彼は後ろの壁に激しく体をぶつけた。

 あまりの痛さに神田は鼻を押さえて、のたうち回った。

 凄い勢いで、大量の鼻血が床に流れた。

 たちまち床に血溜まりができる。

 上を見上げると、エミが無表情な表情で見下ろしていた。

「おじさん、早く顔を上げなさいよ」

 神田は鼻を押さえながら顔を上げた。

 エミの強烈な蹴りが顔に飛んできた。

 一発、二発、三発と連続で飛んでくる。

 神田は、再びふっ飛ばされて尻餅を付いた。

「ヒイーエミちゃん、僕が悪かったよ。許してくれよ」

 エミの容赦ない蹴りが連続で顔に飛んでくる。

 神田はエミから数え切れない程の蹴りを食らったため、顔がパンパンに膨れ上がっていた。

 口の中はザクロのように切れまくっている。

 神田の鼻と口からは、凄い血が流れ続けている。

 それでもエミは止めなかった。

 更に強烈な蹴りを何発も彼の顔に叩き込んだ。

 神田の顔は倍近く膨れ上がり熟れたトマトみたいになっていた。

「や止めて、た助けてエミちゃん!」

 神田は死にそうな声を出した。

「カンフー少女の刑はこれ位で勘弁してあげるわ。次は狼少女の刑よ。」

「えエミちゃん、ままだあるの?」

 神田は消え入りそうな声で言った。

「私言ったじゃない。このお仕置きは一晩中続くって。次は究極のお仕置き、狼少女の刑よ。覚悟はいい?」

「お狼少女の刑って何?」

 神田の体は恐怖のためガタガタ震えている。

「それはねぇ、おじさんの顔をこの長い爪で引っ掻きまくってやるの。それだけじゃないのよ。あなたの顔の肉と指を食いちぎってやるわ。カンフー少女よりも怖いわよー!」

 ゾー、ヒイー勘弁してくれ! 誰か助けて!

「い嫌だよエミちゃん! それだけは勘弁してくれよ! なんでも言う事を聞くよ」

「だったら私のウンコでも食べて貰おうかしら」

「うウンコなんて食えないよ。食べたら死んじゃうよ」

「だったら狼少女の刑がいいわけ?」

「そそれも嫌だよ。もっと他のにしようよ」

「ダメよ! 私のウンコ食べるか、狼少女の刑か二つに一つよ。どっちがいいの?」

「わ分かったよエミちゃん! ウンコ食べるよ」

「そう、私のウンコがそんなに食べたいわけ? なら食べさせたげるわ。早く座りなさい。おじさん」

 神田はテーブルの椅子に座った。

 エミは神田の目の前に大きなどんぶりを置いた。

 彼女はテーブルの上に上がると、そのどんぶりに大便をし始めた。

 神田はその様子を驚嘆の面持ちで眺めていた。

 凄い悪臭が部屋全体に漂っている。

 たちまちどんぶりの中は、エミのウンコで、てんこ盛りになった。

 エミは無邪気に微笑むと、ヤカンに大量の水を汲んできて彼の前に置いた。

「口に入れたら直ぐに水で流し込むのよ。もし全部食べれなかった時は狼少女の刑だからね。分かった、おじさん」

 エミは不気味に笑いながら、大便の一部をスプーンで掬った。

「ハーイ、おじさんアーンして! 食べて見ると意外に美味しいかもよ」

 エミはそれを神田の口の前に持ってきた。

 神田はその便を口の中に入れた。

 ウエー! なんだこの味は? 凄く気持ちが悪い! 吐きそうだ!

 小便を飲まされた時の百倍は気持ちが悪い。

 神田はそれを水で流し込んだ。

「どう、おじさん! 美味しいでしょう」

 エミの爪が神田の顔に掛かった。

 美味しいと言わないと、引っ掻かかれそうだ。

「うん、美味しいよ。エミちゃん!」

「そうよかった。もし美味しいと言わないと引っ掻いていた所よ。吐き出しても引っ掻いてやるからねぇ。おじさん」

 エミは再び便をスプーンで掬うと、彼の顔に近付けた。

「ハーイアーンしてー!」

 神田は便を口の中に入れた。

 ウエー、ま不味い! 凄く変な味が口の中に広がる。

 神田は急いでそれを水で流し込んだ。

 次々に便が顔の前に出される。

 神田はそれを水で流し込む事によってなんとか食べ切る事ができた。

「ねぇおじさん! 美味しかったでしょう? 私のウンコ」

 エミの爪が神田の顔に掛かった。

「お美味しかったよ!」

「だったらこれからは毎日私のウンコを食べさせてあげるわ。分かった?」

 ヒエー! 毎日だなんて、身がもたないよ! 病気になるよ。

「分かったのおじさん! もし食べなかったら狼少女の刑だからねぇ!」

「わ分かったよエミちゃん! 食べるよ」

 その時、神田は激しい腹痛に襲われた。

 のたうち回る程の激しい痛みだ。

 神田は腹を押さえて床を転げ回った。

 エミはその様子を無表情な面持ちで眺めていた。

「ククク、キャハハハハハー!」

 突然エミは、甲高い声で笑い始めた。

「キャハハハハハ! キャハハハハハー」

 神田は、薄れゆく意識の中でその笑い声を聞いていた。



 エミは食べていた。

 大量のカレーやお菓子を食べまくっていた。

 おじさん! 覚悟はいい?

 エミの栄養たっぷりの生糞を食べさせてあげるからねぇ。

 もし食べなかったら狼少女の刑だからねぇ。

 怖いわよー! 恐ろしいわよー!


 神田は、激しい腹痛で目を覚ました。

 時計を見ると昼過ぎになっていた。

 会社完全に休む事になりそうだ。

 お腹が死ぬ程痛い。

 神田は、便所に駆け込むと大量に吐いた。

 まっ黒い大便が口の中から出てきた。

 便所から出ると、まっ裸のエミが立っていた。

「おじさん、早くいらっしゃい」

 エミは神田をテーブルの椅子に座らせた。

 テーブルの上に水が入ったヤカンと昨日使ったどんぶりが置かれた。

 エミはテーブルに上がると、そのどんぶりに大量のウンコを出した。

 昨日の倍はある。

 エミはスプーンで便の一部を掬った。

「ハーイおじさん! アーンしてー」

 神田は便を口の中に入れた。

 直ぐにそれを水で流し込んだ。

 半分位のウンコを水で流し込んだ時、神田は激しい腹痛と吐き気に襲われた。

 凄まじい痛さだ。

 昨日の倍位痛い。

 神田は腹を押さえて床を転げ回った。

「ねぇおじさん! 何してるの? まだ半分残ってるじゃない」

 神田は床に激しく吐き始めた。

 大量のまっ黒い吐瀉物が床に溢れる。

 その時、エミの長い爪が神田の額を切り裂いた。

 赤い血飛沫が床に飛び散る。

 ギャー! と神田の絶叫が部屋中にこだました。

「ねぇおじさん! 顔上げなさいよ」

 神田は顔を上げた。

「キャハハハハハ! 何これ? 超面白い」

 エミは可笑しそうに笑い転げた。

 エミは神田を鏡の前に連れて行った。

 神田は自分の顔を鏡で見た。

 顔は倍に腫れ上がり、額はザクロのように切り裂かれて、白い骨が覗いていた。

「凄い顔になったね、おじさん! でも今からが本番よ。いよいよ究極のお仕置き、狼少女の刑が始まるのよー」

「や止めてよ。エミちゃん! 今度はちゃんと食べるよ」

「ダメよ! 狼少女の刑に決定よ! 行くわよーおじさん」

 エミは十文字に神田の顔を引っ掻いた。

 鮮血が飛び散り、神田の叫び声が部屋中に響き渡る。

 神田は両手で顔を押さえた。

 大怪我している事は間違いない。

 鼻がなくなっていた。

 エミは神田の手を掴むと、かぶり付いた。

 手の肉をあっという間に食いちぎる。

 次に指にかぶり付くと、一気に食いちった。

 指が三本なくなり噴水のように血が吹き出した。

 エミは再び神田の顔を連続で何回も引っ掻きまくった。

 大量の血飛沫が飛び散り、エミの顔を赤く染める。

 次にエミは神田の頬にかぶり付くと、頬肉を一気に食いちぎった。

 凄い鮮血がエミの顔を赤く染める。

 エミの口の周りは血でまっ赤になっている。

 胸の辺りも血で赤く染まっていた。

 神田は凄く苦しそうな呻き声を上げた。

 でもエミは止めなかった。

 指を食いちぎり、手の甲の肉を食いちぎる。

 そして更に激しく神田の顔中を引っ掻く。

 何回も何回も狂ったように引っ掻いた。

 神田の絶叫が響き渡り、大量の血飛沫が舞う。


 部屋の中は血の海になり、その中で神田が苦しそうに呻いている。

 神田の指は、全て切断されたように食いちぎられていた。

 顔の肉は全部なくなり、骨だけの骸骨になっていた。

 エミの顔は返り血でまっ赤に染まっていたし、裸の体も血で赤く染まっていた。

 また長い爪には、肉片が付着していた。

「クスクスクス! キャハハハハハ!」

 突然血だらけの全裸少女は、心から可笑しそうに笑い始めた。

「キャハハハハハー! キャハハハハハ!」

 しばらくエミの甲高い笑い声が部屋中に響いていた。 



 






 

 




  


  

 


最後まで読んで頂き有難うございました。

この作品は魔法らんどで投稿している、血染めのエミちゃんの番外編です。

興味ある方はこちらの作品も読んで頂けたら幸いです。



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