束の間の休息を……
最近ちゃんと小説ってか、ファンタジーしてるな、と思う今日この頃……
なのにぶっこむふわふわ回☆
魔王軍野営地から少し離れた、荒野・森エリア
「こう、ですか?」
「もっと繊細に」
「こ、こう?」
「まだ荒いです」
「……でやっ!」
「ヒトの忠告を無視とは、いい度胸してますね?」
「す、すみません!! 少しやけになっただけなんです!!」
「……はぁ、集中力もきれたようですし、今日はこの辺までにしましょう」
『現在、勇者とビィさんは魔法の修行中です。無駄に魔石の魔力を使わないために、ビィさんの魔力を使っている勇者です。この魔力ゼロがっ!!』
「う、うるさいぞ!!」
『ビィさんに迷惑ですぅ』
「そこまででもないですが、出力調整をちゃんとしてくださらないと、私がもちません」
「す、すみません……」
『盗賊さんがいなくなってもう数日。勇者は魔法の特訓で復活してきたようです』
「攻撃強化は最低限マスターしてくださいね。防御は当たらなければいい話ですし」
『簡単に言いますね!?』
「できないことはないでしょう」
「……」
『……頑張ってください勇者』
「他人事だと思ってぇ!!」
『実際他人事ですし。といいますか、戦闘どころか、ヒトに触ることすらできない私ですが』
「くそぉ!!」
「元々レベルの低いあなたがいけないかと」
「~~~っ!!」
『あー、勇者が言葉を発せずにうなっております。反論できずに悔しそうですw』
「わらってるんじゃなーい!!」
と、ぐだぐだしゃべりながら歩いていると……
「ん?」
「あれは……」
「ヒト?」
うつぶせに倒れている小柄な人影を発見。
「……敵かもしれませんよ?」
「いやいやいや!! こんなところで倒れてる敵は相当アホですよ!?」
「そういう作戦かもしれませんし」
「そんなわけ……!! ちょっと? 大丈夫ですかー!?」
助け起こす勇者。
「無防備な……」
「うぅ……」
「あ、大丈夫ですか? しっかりして……」
「お……」
「え?」
「お腹、減った……」ぱたっ
「……」
「……どうするんですか?」
「とりあえず、連れて帰っても?」
「……魔王様に確認してみましょう」
「ありがとうございます!!」
魔王軍野営地・広場的な
「ぷはっ!! 御馳走様でした!!」
「おー、元気になったか?」
「はい、おかげさまで助かりました」
まだ少年を抜けきらないような、細い体型に、澄んだ声。肌は白く、なぜか深窓の姫君、が似合いそうな儚い風。髪は薄い翠で、襟足を胸のあたりまで伸ばし、リボンで一つにくくってある。瞳は薄い灰色。服はぼろぼろのローブをまとっている。
あー、そう言えば、部下一・二の紹介ってしてないんでしたっけ……モブ中のモブだったのがさらっと入ってきたからなぁ。次出てきたときに軽く紹介しましょうか。
「おい、作者、テキトーにだらーっと入ってくるんじゃねぇ」
すんませーん。
「悪いと思ってんのか?」
すみません。
「そんなことより、だ。えーっと……」
「あ、私は吟遊詩人です。ここに来た目的は、皆様につかの間の休息を、と思いまして」
「休息?」
「はい。私の歌う歌に、魔力を込めて。呪歌、とでもいうのでしょうか? 癒しの歌を届けに参りました」
「……ほぉ?」
「なんで私の周りには、魔法使えないやつなんていないんだ……!!」ぼそそっ!!
悲しそうな目線……。
「ま、まぁ、食事もいただきましたし、お礼に何曲か……どうでしょうか?」
「じゃ、じゃぁ、頼もうかな?」
「喜んで」
詩人は竪琴を取り出して、爪弾き始めた。
「どんな曲を弾きましょうか?」
「そうだな、何でもいいのか?」
「ええ、もちろんです」
「……勇者、何がいい?」
「え、いきなり私に振るのか!?」
「勇者も女子だもんなー、ベタベタな恋愛ものとかかー?」テキトー
「……!!」
気になるが、なんとなく言い出すのには照れくさい勇者。
「はいはい」
「は、はいはいってなんだ!!」
「ってな感じで頼むわ」
「承知いたしました」
「ちょっと待て、私に抗議の時間を!!」
「ないな」
「!?」
「では、そうですね、こんな話はどうでしょう
♪僕が君を守るから。だから君はそこでただ笑っていて、と。誓ったあの日、僕は覚えてる。きっかけは簡単。君は覚えてる? 満天の星空、散った赤。もう散らせない。君が悲しむのなら♪」
周りに音符が煌めく。触るとはじけて消えた。
「あ、その光、癒し効果だけのものですので。触っても別に害はありませんよ」
「そうか」
「きれいだな」
「そうだな」
「もっと元気が出る曲にしましょうか。いつかの英雄のお話とか、いかがでしょうか?」
ぽろん、ぽろろん♪
「♪とある騎士が言いました。ごめんごめんね。あなたのことを守れない。とある姫は言いました。大丈夫大丈夫。あなたのことは私が守ります♪」
「……逆じゃないのか?」
「ひ、姫強いな……?」
「♪さらわれた姫。助けようとした騎士。いつしか立場は大逆転。騎士の剣を手に取って、悪の親玉に立ち向かう♪」
「……勇者、あの姫を見習え」
「……そんなレベルはない(泣」
「……」
「♪女勇者の悲しい話? 私のレベルは低いから、魔法なんて使え……」
「まてぇ!! なんだその歌はぁ!?」
「私即興も得意なんです♪」
「悲しい話とか言うなぁ!!」
「wwwww」
「魔王も笑ってんじゃなぁい!!」
「♪魔王と勇者、グダグダ仲良し。じゃれて、笑って、冗談言い合い。明るい声は空高く♪」
「納得できなーい!!」
「諦めろ勇者。お前が悪い」
「そうですよ。人間、できないことはありますって♪」
「あなたが言うなぁ!!」
「「wwwwww」」
「二人して笑うなぁ!!」
「いやぁ、なんかお前とは仲良くなれそうな気がする」
「私もです。噂には聞いていましたが、本当にここまで魔王様がいい人だとは思っていませんでした。これならきっとどこのだれとでも、仲良くなれますね。きっと……」
「いいヒト……ま、魔王としてどうなんだろうか……?」
「王としては、とてもいいと思いますよ? 人間にも、魔族にも、とてもいい評判です」
「そ、そうか……?」
「ええ。私はいろいろなところ旅してまわってますから、そういう噂には敏感なんです」
「うぅむ。魔王……」
「魔王はすでに魔王ではない気がする」
「な!?」
「どこにアリの心配までする魔王がいるんだ!」
「お、お前な! アリに罪はねぇだろ!!」
「そういうところが魔王っぽくないと言っているんだ!!」
「だったらいいし! 魔王なんて知らねぇし!! 普通にいいやつやってやるし!!」
「お前本当に魔王か!?」
「魔王様だ!!」えっへん
「子供っぽいし……」
「お前よりましだ!!」
「なんだと!?」
「……」くすくす
「「……」」
「……あぁ、失礼……」くすくす
「詩人はどう思う? 勇者の方が子供っぽいよな?」
「え」
「そんなことないよな! 魔王の方がよほど子供っぽい!!」
「わ、私に振るんですか……!?」
「そんなことない!!」
「そんなことある!?」
「ふっといてスルーなんですね!?」
『つかの間の休息。いつものグダグダ。なつかしき、ただのぐだぐだ……』
「いつまでここにいるんだ、詩人?」
「そうですね、明後日までいてもよろしいでしょうか?」
「ああ、いいぞ。いつまでもいてくれてもいいけどな」
「そこまで甘えるわけにはいきませんから。ですが、お手伝いもさせていただきますよ」
「助かる」
「夜は癒しの歌を歌いましょう」
「ああ。……戦争が終わって、お前がまだ近くにいたら一緒に食事でもどうだ?」
「一国の王に食事に誘われてしまいました!」
「なんだよ……」
「いえ、嬉しくて。お誘いありがとうございます♪」
「お、おう……」
「私も一緒にー」
「そうだな、みんなで打ち上げしようぜ」
「おぉ!!」
「楽しみですね」
詩人が勇者に拾われる少し前。
ざばっ
「ゲホゲホ!! 今何時だ? ……あー、まだ体ガタガタ……」
じゃぶざぶ
「仕方ないか、時間ないし。いや、まだいい方か」
びちゃぴちゃ
「さて、お仕事お仕事。……待っててね、もうすぐ、会いに行くから……」




