俺だって余裕ないのさ
塔内
「って、なんでまた塔に入るのよ?」
「魔法陣は塔内にしかないんだよ」
「だからなんで魔法陣? 窓から出たんだから、そのまま外に行けばいいじゃない」
「疑似空間だよ」
「ハ?」
「あの外は、ちゃんと外じゃないんだ」
「えー」
「って、ことで魔法陣まで行かないといけないんだけど……」
壁にもたれる盗賊。
「ごめん、俺もう無理。君だけでいって」ずるずる……
「そんなわけにいかないわよ! あんた助けに来たんだから!」
「……どうして来たの?」
「だーかーらー」
「どうして助けに来たの? 仕事って言ったのに」
「羽妖精がうんぬん……」
「あいつ、余計なことを……」
「しかも、勇者が責任を……」
「大丈夫っていっといてよ。俺逃げるの無理そうだし」
「バカなこと言ってないの!! あんたが案内しないと行けないし!」
「地図あげる。魔法陣の出現場所とかも調べたの、それもあげる。今回ので変わるかもしれないけど、あってもいいでしょ?」
「うーるーさーい。行くの! ほら立ってよ!」
「疲れた」
「子供じゃないんだから!!」
「足手まといは勘弁」
「立てこら盗賊!!」
「だんだん口が魔王に似て悪くなってきてないかい?」
「だいじょぶもとから」
「……それもそれで……」
「いたか!」
「そっちはどうだ!」
ばたばたばた
「……盗賊、地図とにらめっこするより、案内されたほうが早いと思うんだけど」
「……だ―もう! わぁったよ!! こっち!!」
魔法陣部屋
「何ここ?」
「出入口みたいなところかな。ここをこうしたら発動っと」
しゅんっ……
「「!?」」
囲まれた!
コマンd……
「そういうのいいから!!」
「なんで……」
「魔法陣の出口を全部ここにしたんや。それでここで待っとったらいい、っちゅうわけやでぇ~」
「最悪!!」
「お前たち、やぁ~っておしまい!!」
「あらほらさっ……」「それ微妙にだめなんです!!」
「盗賊さがって!!」
「了解」
「“マシンガン”」
ダダダダダダダダっ!!
「わぁ!!」
「ひるむな、いけぇ!!」
「たぁ!!」
だだだだだだだだだだだだだだだだだっ!!
「くっ、らちあかない!!」
「スナイパー、乗って!!」
銀の三メートルはありそうな大狼。
「え」
「乗れっての!!」
ひょいっと器用に銜えて、背中に放り投げる。
「ひゃっ!? あんた盗賊!? 狼なんて乗ったことないわよ!?」
「伏せてしがみついときなさい!!」
蹴散らしながら走り去る。
「ちょっと、こういうことできるならさっさとやりなさいよ!!」
「魔力が残り少なかったんだよ! 最小限の力で何とかしようと頑張ってたら遅くなったの!!」
「こののろま!!」
「しゃべってると舌噛むからね!!」
「いやー!!」
「す、すみませんえんじぇる様!!」
「今すぐ追います!!」
「……やめとき」
「な、なんでなんです!?」
「ええんや。もう放っておき」
「でもえんじぇる様!!」
「あと少しなら、仲間の下へ返してやりなさい。うちの魔法にも抗うほど、仲間思いやってんからなぁ……」
「よくわからないけど、分かったんです。追わないんです!」
「ほーかほーか」
「窓ガラス片付けてくるんでーすっ」
「よろしくなぁ」
たったったっ……
「……」
「盗賊、追ってこないから、もうダイジョブじゃない?」
「……」
「盗賊?」
た……ぴた
「……ごめん、スナイパー、降りてもらえる?」
「あ、うん、それはね?」
ひょいっ
「……」
どさっ
「え、ちょ、盗賊!?」
倒れた狼は、一瞬光って、盗賊の姿に戻った。
「っ……」
「盗賊、ちょっと、大丈夫!?」
「く、はっ……」
「盗賊!?」
「ごめ、も、……動けない……や」
「それはいいから! だ、誰か呼ぶ! ちょっと待ってて!!」
「ごめん」
「“線光弾”」
ぴかっ
「た、たぶん、これで、誰か来ると、思う……」
「あはは、不安だね……」
「肩貸すから、そこの森エリアまで行きましょう?」
「……小さくて……w」
「……くたばれ盗賊!」
「きゃっ、けが人なのにぃ~」
「笑ってるやつが何を言う!!」
『血だまりはすごいですけどね……』
「え、わっ!! 出血ヒド!!」
「あー、これくらいはダイジョブ」
「どこがダイジョブなのよぉ!! 普通だったら死んでるわよぉ!!」
「んー、俺はダイジョブ」
「どこ痛いの!?」
「んー、全身かなぁ」
「ホントにダメじゃん!!」
「えへへぇ~」
「引きずってでも、森エリアに行くから」
「ごめんねぇ。だいじょぶ。もう痛みも感じないから」
「ちょっとぉ!?」
「えへ……へ…………」
「盗賊? 盗賊ー!!」
返事がないただのしかb
「勝手に殺さないでくれないか?」
「いきなり黙んないでよ!! びっくりしたじゃない」
「ごめん。じゃぁ、今から眠るわ」
「え」
「ごめんね。おやすみ」
「盗賊?」
「……」
「盗賊のばか、謎の人、どあほぉ!!」
「……」
「起きろこらー!!」




