色々あったんですっ
「……ねぇ、羽妖精?」
がさっ!?
「……」
「……」
「……にゃ、にゃぉーん……」
「ここには動物いないんだよねぇ~。ほらぁ、もともとがただの荒野だったし?」
「き、気のせいなんですっ、きっと最近……うきゃぁ!! 放してくださーいっっ!!」
「普通にしゃべり始めないでよ……」
茂みに腕を突っ込んで、羽妖精の首根っこをひっつかんで、引っ張り出す。
「ねぇ、ここで何してんの? 結界内なんだけど? どうやって入ったの? 理由次第では……」
最後まで言わずに、剣に手をかける。
「わぁっわぁっ!! い、今はなんでもないんでーすっっっ!!」
「ちょ、うるさい! 声落とすか、黙るかして!!」
「あ、あなたが脅してきたんでーすッッッ!!」
「ちょっと、外行こうか? ……何もしない? 実はこれが罠だったり……?」
「しませんしません!!」
「ホントかなぁ……」
「誓ってもいいんですっっっ!!」
「わかった、うるさい」
「あ、あなたが……」
「あー、はいはい、すみませーん」
「誠意がこもってないんですっ!!」
「敵に言われてもなぁ……」
「うぅっ……」
荒野・盗賊失踪地
「……ここで何あったか教えてくれる?」
「分かりましたっわかりましたからっ、いい加減手を放してくださーい!!」
「うるさいなぁ、離したら逃げるでしょ?」ぐいっ
「幼児虐待なんでーすッッッ!!」
「しーらないっ。てか、証拠なんて簡単に隠滅できるよねっ」
「!?」がびーん
「……しょうがないな。放してあげるから、俺の質問に答えられるだけ答えてもらうよ?」
「こっちの話したいことは話すんです。聞きたいことには……一つ二つ答えてあげるんですっ」
「……いやに上から目線だね?」剣に手をやり
「て、敵なんです! そうそう話すわけには……」
「敵なんだから、拷問って手もあるよね?」
「!?!?」がびーんっ
「……ホントに幼女いじめてる気分に陥るな……」
「(°Д°)」ががーんっ
「わかったよ。でもさ、俺もさ、お前に何もせずに逃がしたっていったら、怒られるんだからね? そういうとこ、ちゃんと考えてよ?」
「わ、分かったんです……」
羽妖精解放。
「うぅ~……」
「さっさと話して」
「ど、どこからっ!?」
「……何話に来たの、君?」
「え、えっと……」
「とりあえず、どうやって結界に入ったの?」
「そ、それは……」
「つぎに、盗賊さんはどうしたの?」
「そ、それも……」
「それから……」
「あー、もう、分かったんです!! 順番に話しますから、ちゃんと聞くんでーす!!」
「はいはい」
先日
「勇者に手を出すなんて、おじさん、最低なんですっ!!」
「……ふんっ」
「怪我の手当てするんだから、おとなしく手を出しなさーい!!」
「うるさいわっ!! あんな奴、敵じゃ、毒にしかならん!! なのにあいつも拾ってきて……」
「拾ってきて? ……誰を?」
「ちゃんと聞くんですっ!!」
「バカバカバカ!! オジサン最低なんです!! 最っ低なんっです!!」
「ふんっ」
「ムキー!!」
「まぁまぁ、そんな怒ったらしわが増えるでぇ~」
「えんじぇる様からもなんか言ってほしいんですっ!! 最低なんです!!」
「そやなぁ、確かになぁ~」
「そんな、なぜ、分かっていただけないのですか……っ」
「しばらく自室で頭冷やしぃ~」
「なぜっ、何故っ!!」
「連れていき~」
「放せっ!! 何故だ!! 何故わかってくださらないんですか!! えんじぇる様!!」
「あのこはもぉ~、しょうがないんやからぁ~」
「……えんじぇる様……」
「だいじょぶやって、安心しぃ~。ほいで、あっちの子の手当てしてもらえるかぁ~?」
「分かったんですっ!!」
「……ほんま、しょうがない子は扱いにくいわぁ~」
「てことがあったので、とりあえず、勇者とあなたに謝りたいなぁと思ったんです」
「勇者はわかるけど、俺も?」
「はい、あの時は正々堂々の戦いを放棄して、申し訳ないんです……。言い訳にしかならないんですけど、仲間が卑怯な真似をしまして……」
「いや、いいけどさ……魔王の部下とか言ってたくせに、意外と律儀だね……?」
「当たり前なんですっ、でも、ホントすみません……」
「大丈夫だけど……それより、話の続きしてほしいかなぁ?」
「はいなんです。それで、結界内に入ったことなんですけど……」
「怪我手当てするんです~」
「あぁ、ありがとう」
「……あの、勇者のこと、仲間が、ほんとごめんなさいなんです……」
「うん? まぁ、勇者に何かあったら、何が何でもぶっ殺してるけどさ、怪我する前でよかったよ」
「あなたは逃げ出そうとか思わないんです?」
「……どうでもいいさ。僕のことは。それに、逃げても無駄でしょう? ここ、牢屋じゃないか。出れたとしても、あっちにとっても足手まといになるし、だったら死んだ方がましさね」
「死んだ方がましだなんてことはないんですっ!!」
「……」
「それにしても、まだ染まりきらないんです?」
「ギリギリまで耐えるさ」
「……でも、命令には逆らえないはずなんです」
「……なに、する気?」
「勇者の元、結界内に入れてほしいんです」
「……断固断りたいやつだね」
「……入れろ、なんです」
「っ」
「……」
「……い、やだ……っ」
「……何もしないと約束するんです。ただ会って謝罪したら逃げてくるんですっ。破ったらハリセンボン飲んでもいいんですっ」
「針、千本じゃ、ないの……?」
「え、そうなんです!?」
「……ホントに何もしない?」
「指切りげんまんなんでーすっ!!」
「……分かった。絶対だからね? 契約」
「契約?」
「破ったら命貰うよ?」
「上等! なんですっ!」
「と、いうことがあったんでーす」
「……それ完全に盗賊さんだよね!?」
「そうともいうんでーす」
「それしかないじゃん!!」
「……まぁ、そういうことで、勇者に謝罪を……」
「待って、盗賊さんは君たちのところにいるんだね?」
「そう、なんです……」
「捕まってる、というところでいいんだね?」
「……まぁ、合意の上でないことは確かなんです……」
「……それだけでもいいよ」
「な、なんなんです?」
「……勇者が元気出すってことさ」
「それはよかったんです?」
「俺らにとっては。……それよりも、なんでそんなことまで教えてくれるの? 言わない方がいろいろ都合がよかったんじゃないの?」
「それはそうなんです、けど……」
「けど?」
「……このままじゃ、きっと無理やりにでも敵同士になってしまうんです」
「誰が?」
「勇者とその人が」
「?」
「……勇者と魔王が仲間になって、あたしたちと敵同士。勇者がそちらにいる限り、そうなる可能性が大なんです」
「……それで、何?」
「その人は、勇者がご主人なんですっ。あたしはえんじぇる様なしじゃだめなんですっ」
「……うーん、なるほど? 同情したのかな?」
「同情……そうかもしれないんです……」
「まぁ、よくわかんないけど、分かった」
「矛盾なんです……」
「うるさいよ。で、勝手にそんなこと教えてもいいのかなぁ?」
「だめなんです。でもでも、あたしは、えんじぇる様が間違ってるとは思えませんけど、そういうのはいけないと思うんですっ」
「ふーん」
「まぁ、そんなわけで、勇者にあわせてほしいんです」
「それは無理」
「なんでなんです!?」
「いま超ギクシャクしてるんだよ、お前らのせいでね?」
「うぅ……」
「そこに敵なんて入れられない、会わせるなんてもってのほか」
「……わかったんです。今日の所はおとなしく引き下がるんです……」
「それがいいよ」
「その代りに、あなたが言っといてください。また今度会ったときに、その時にちゃんと言うんです。今は……」
「わかった。いいよ」
「お願いするんです……」
『羽妖精はしょぼしょぼしながら帰っていきました』




