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魔国の日常  作者: 盗賊
81/130

色々あったんですっ

「……ねぇ、羽妖精?」

 がさっ!?

「……」

「……」

「……にゃ、にゃぉーん……」

「ここには動物いないんだよねぇ~。ほらぁ、もともとがただの荒野だったし?」

「き、気のせいなんですっ、きっと最近……うきゃぁ!! 放してくださーいっっ!!」

「普通にしゃべり始めないでよ……」

 茂みに腕を突っ込んで、羽妖精の首根っこをひっつかんで、引っ張り出す。

「ねぇ、ここで何してんの? 結界内なんだけど? どうやって入ったの? 理由次第では……」

 最後まで言わずに、剣に手をかける。

「わぁっわぁっ!! い、今はなんでもないんでーすっっっ!!」

「ちょ、うるさい! 声落とすか、黙るかして!!」

「あ、あなたが脅してきたんでーすッッッ!!」

「ちょっと、外行こうか? ……何もしない? 実はこれが罠だったり……?」

「しませんしません!!」

「ホントかなぁ……」

「誓ってもいいんですっっっ!!」

「わかった、うるさい」

「あ、あなたが……」

「あー、はいはい、すみませーん」

「誠意がこもってないんですっ!!」

「敵に言われてもなぁ……」

「うぅっ……」


 荒野・盗賊失踪地

「……ここで何あったか教えてくれる?」

「分かりましたっわかりましたからっ、いい加減手を放してくださーい!!」

「うるさいなぁ、離したら逃げるでしょ?」ぐいっ

「幼児虐待なんでーすッッッ!!」

「しーらないっ。てか、証拠なんて簡単に隠滅できるよねっ」

「!?」がびーん

「……しょうがないな。放してあげるから、俺の質問に答えられるだけ答えてもらうよ?」

「こっちの話したいことは話すんです。聞きたいことには……一つ二つ答えてあげるんですっ」

「……いやに上から目線だね?」剣に手をやり

「て、敵なんです! そうそう話すわけには……」

「敵なんだから、拷問って手もあるよね?」

「!?!?」がびーんっ

「……ホントに幼女いじめてる気分に陥るな……」

「(°Д°)」ががーんっ

「わかったよ。でもさ、俺もさ、お前に何もせずに逃がしたっていったら、怒られるんだからね? そういうとこ、ちゃんと考えてよ?」

「わ、分かったんです……」

 羽妖精解放。

「うぅ~……」

「さっさと話して」

「ど、どこからっ!?」

「……何話に来たの、君?」

「え、えっと……」

「とりあえず、どうやって結界に入ったの?」

「そ、それは……」

「つぎに、盗賊さんはどうしたの?」

「そ、それも……」

「それから……」

「あー、もう、分かったんです!! 順番に話しますから、ちゃんと聞くんでーす!!」

「はいはい」


 先日

「勇者に手を出すなんて、おじさん、最低なんですっ!!」

「……ふんっ」

「怪我の手当てするんだから、おとなしく手を出しなさーい!!」

「うるさいわっ!! あんな奴、敵じゃ、毒にしかならん!! なのにあいつも拾ってきて……」


「拾ってきて? ……誰を?」

「ちゃんと聞くんですっ!!」


「バカバカバカ!! オジサン最低なんです!! 最っ低なんっです!!」

「ふんっ」

「ムキー!!」

「まぁまぁ、そんな怒ったらしわが増えるでぇ~」

「えんじぇる様からもなんか言ってほしいんですっ!! 最低なんです!!」

「そやなぁ、確かになぁ~」

「そんな、なぜ、分かっていただけないのですか……っ」

「しばらく自室で頭冷やしぃ~」

「なぜっ、何故っ!!」

「連れていき~」

「放せっ!! 何故だ!! 何故わかってくださらないんですか!! えんじぇる様!!」

「あのこはもぉ~、しょうがないんやからぁ~」

「……えんじぇる様……」

「だいじょぶやって、安心しぃ~。ほいで、あっちの子の手当てしてもらえるかぁ~?」

「分かったんですっ!!」

「……ほんま、しょうがない子は扱いにくいわぁ~」


「てことがあったので、とりあえず、勇者とあなたに謝りたいなぁと思ったんです」

「勇者はわかるけど、俺も?」

「はい、あの時は正々堂々の戦いを放棄して、申し訳ないんです……。言い訳にしかならないんですけど、仲間が卑怯な真似をしまして……」

「いや、いいけどさ……魔王の部下とか言ってたくせに、意外と律儀だね……?」

「当たり前なんですっ、でも、ホントすみません……」

「大丈夫だけど……それより、話の続きしてほしいかなぁ?」

「はいなんです。それで、結界内に入ったことなんですけど……」


「怪我手当てするんです~」

「あぁ、ありがとう」

「……あの、勇者のこと、仲間が、ほんとごめんなさいなんです……」

「うん? まぁ、勇者に何かあったら、何が何でもぶっ殺してるけどさ、怪我する前でよかったよ」

「あなたは逃げ出そうとか思わないんです?」

「……どうでもいいさ。僕のことは。それに、逃げても無駄でしょう? ここ、牢屋じゃないか。出れたとしても、あっちにとっても足手まといになるし、だったら死んだ方がましさね」

「死んだ方がましだなんてことはないんですっ!!」

「……」

「それにしても、まだ染まりきらないんです?」

「ギリギリまで耐えるさ」

「……でも、命令には逆らえないはずなんです」

「……なに、する気?」

「勇者の元、結界内に入れてほしいんです」

「……断固断りたいやつだね」

「……入れろ、なんです」

「っ」

「……」

「……い、やだ……っ」

「……何もしないと約束するんです。ただ会って謝罪したら逃げてくるんですっ。破ったらハリセンボン飲んでもいいんですっ」

「針、千本じゃ、ないの……?」

「え、そうなんです!?」

「……ホントに何もしない?」

「指切りげんまんなんでーすっ!!」

「……分かった。絶対だからね? 契約」

「契約?」

「破ったら命貰うよ?」

「上等! なんですっ!」


「と、いうことがあったんでーす」

「……それ完全に盗賊さんだよね!?」

「そうともいうんでーす」

「それしかないじゃん!!」

「……まぁ、そういうことで、勇者に謝罪を……」

「待って、盗賊さんは君たちのところにいるんだね?」

「そう、なんです……」

「捕まってる、というところでいいんだね?」

「……まぁ、合意の上でないことは確かなんです……」

「……それだけでもいいよ」

「な、なんなんです?」

「……勇者が元気出すってことさ」

「それはよかったんです?」

「俺らにとっては。……それよりも、なんでそんなことまで教えてくれるの? 言わない方がいろいろ都合がよかったんじゃないの?」

「それはそうなんです、けど……」

「けど?」

「……このままじゃ、きっと無理やりにでも敵同士になってしまうんです」

「誰が?」

「勇者とその人が」

「?」

「……勇者と魔王が仲間になって、あたしたちと敵同士。勇者がそちらにいる限り、そうなる可能性が大なんです」

「……それで、何?」

「その人は、勇者がご主人なんですっ。あたしはえんじぇる様なしじゃだめなんですっ」

「……うーん、なるほど? 同情したのかな?」

「同情……そうかもしれないんです……」

「まぁ、よくわかんないけど、分かった」

「矛盾なんです……」

「うるさいよ。で、勝手にそんなこと教えてもいいのかなぁ?」

「だめなんです。でもでも、あたしは、えんじぇる様が間違ってるとは思えませんけど、そういうのはいけないと思うんですっ」

「ふーん」

「まぁ、そんなわけで、勇者にあわせてほしいんです」

「それは無理」

「なんでなんです!?」

「いま超ギクシャクしてるんだよ、お前らのせいでね?」

「うぅ……」

「そこに敵なんて入れられない、会わせるなんてもってのほか」

「……わかったんです。今日の所はおとなしく引き下がるんです……」

「それがいいよ」

「その代りに、あなたが言っといてください。また今度会ったときに、その時にちゃんと言うんです。今は……」

「わかった。いいよ」

「お願いするんです……」


『羽妖精はしょぼしょぼしながら帰っていきました』

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