始まりはぐっだぐだ
ぐだぐだ二倍でお送りいたしております……
赤茶荒野魔国側
「ここが俺らの野営地か」
近くに川のある森に半分入っている荒れ野での野営地。
「なんでこんな微妙?」
「全部森だと囲まれたときあれだからだってさ」
「キノコだから森だと絶好調らしいぞ?」
「そうか……って、なんでお前らの方が知ってんだ? てか、なんでお前までいる、盗賊?」
「ユシャちゃんを守るためだよ。結構ギリギリですけどね……」
「何がぎりぎりなんだ?」
「……」
「盗賊?」
「あ、ほらぁ、これからマオマオとゆぅゆぅはみんなの士気あげるんでしょ? さっさと行ってきなさいな!」
「お、おう……」
「行ってくるな……?」
「早く早く!!」
『……盗賊さん、大丈夫ですか?』
「何が?」
『いえ、色々と……? どっかの王様、とか……』
「……トアル王が、俺はスパイだって……」
『え、スパイっ!? あなたなんてことを!?』
「しないよ、しない!! そう言われただけだよ。ギリギリ逃げるに決まってるじゃん」
『……なんでトアル王の言うことなんて聞くんです? 魔王に全面的に味方しちゃえばいいじゃないですか!』
「それが無理な理由があるのさよ……まぁ、勇者のためなら頑張るけどさ……」
『なんでです? どうしてそのままなんですか?』
「いや、今回がチャンスだと思ってる。いつまでも、そんな、やられてると思わないで……?」
『チャンス?』
「そう。僕には切り札、ジョーカーがついてる」
『ジョーカー?』
「うん。でもね、不確定要素、って意味でもあるからさ。どうなるかはまだわからない」
『そんな! じゃぁ、不利じゃないですか!?』
「うんうん。そうだよ。でもね、きっとジョーカーは何とかしてくださるよ」
『なんですその根拠のない自信!!』
「それだけかってるということだよ」
『わけわかりませんし!!』
「でも、何とかしてもらわないと困るし、チャンスは活かしてもらわないと……」
「盗賊? どうしたのー?」
「……ん? ナレーさんなんか言った?」
『言ってませんよ?』
「あたしよっ!!」
「あぁ、ごめん、ちみっちゃくて見えんかってん」
「こらー!!」
「ごめんごめん。あ、そう言えばスナイパー、この地形でどうやって戦うの?」
「ハ? いきなり何よ……?」
「いや、スナイパー、遠距離ジャン。でもさ、狙撃できるようなポイントあんまなくね? みたいな?」
「ああ、スキル活かして斥候として働くとか、普通に銃撃戦でもいけるしね。色々あるわよ」
「そう……。じゃぁ、僕のとっておき銃を貸してあげようか?」
「え、何!?」
「無属性の魔法銃。大きめかもしれないけど、軽いし、何より魔力が少しで済むんだよねぇ」
「ちょっと!? これマニアに売ったら相当の値になるやつじゃない!!」
「うん。かなりのレアもんだよ」
「うわぁ……いくらになるのかしら……」
「……貸してあげるんだからね? 売らないでよ?」
「う、売らないわよ! さすがにそんなことしないわ!!」
「ホントかなぁ……」
「あたしのことどういう風に思ってたのかしらぁ!?」
「そういう風?」
「こらぁ!!」
「おい、スナイパー!! ミイラ取りがミイラになってどうすんだよ!!」
「あ、ごめん魔王!!」
「ドユコト?」
「お前を呼びに行かせたんだよ。ってことでさっさとこっち来い」
「え、何でなんで?」
「いいからいいから!!」
『演説に付き合わされるんですかねぇ……?』
「え、僕そんなの嫌だぁ!!」
「わがまま言ってんな」
「そうだそうだ」
『あぁ、また勇者がモブに……』
「もうツッコむな!!」
「あたしはその辺で見てるわ~」
「砂助けて!!」
「誰が砂よぉ!!」
『なんやかんやで演説……?』
「……俺だって何話していいかわかんねぇよ……」
「魔王様がいい感じにやる気出してくだされば、それが一番いいのですが、ね……?」
「……よっしゃみんな、頑張るぞー!!」
ざわざわ……
「魔王様……」
「冗談だ冗談!! えーっと、なんかよくわからんが、とりあえず、戦争なんて、難しく考える必要はねぇと思う。もう、人間がどうとか、魔族がどうとか、そういうのも無視でいいと思う。ようは、喧嘩売られたんだろ? だったらあちらさんの言い値の倍額で買ってやろうじゃねぇか!!」
おぉー!!
「こっちにゃ、勇者もついてくれたぞ。人間嫌いもいるだろうが、それでも、こっちについてくれた勇者の覚悟、ちゃんとみてほしい。人間もいろいろだ。魔族もそうだろう? ……ま、レベル三がついたところで戦力的には何もかわんねェけどなwww」
wwwww
「こらぁ!! そこでもレベル三言わなくていいじゃないか!!」
「実際そうじゃん。これは言わないと、詐欺になるよぉ~?w」
「騎C!! こ、これでも体力はあるぞっ」
「俺らの訓練についてこれないくせにぃ~」
「そうですね。でもですね、隊長……」
「俺らの隊の訓練量が異常なんだと思いますけどね……」
「え、なんか言ったぁ~?」
「「いえ、なんでも……」」
『この件で、あそこの隊と一緒に訓練してるとは……と、騎士たちに一目置かれるようになった勇者でした……』
「え、なんでだ!?」
『あそこの隊は、異常なんですって……』
「そんなことないよぉ~?」
「「……」」
『部下一、二さんはなんとなくわかっていらっしゃるようですが……』
「え、なにぃ~?」
「分からないなら……」
「いいんです……」
「エェ~?」
「ま、そういうことで、勇者にも一言貰うか?」
「え、な、なななっ!?」
「てことで勇者でーす。どーぞっ」
「宴会前のあいさつかっ!! グダグダ感がいつも以上だぞ!?」
「それは、まぁ、仕方ない。何言っていいかマジわかんねぇし……」
「私だってわかるかぁ!!」
「ほら、みんなが注目してるぞ!?」
「うっ……」
『早く! 早く!』
「え、えっと、その……わ、私も力の限り頑張りますっ!!」
「どこの小学生だ!!」
「え、えぇ!?」
「もういい、次行くぞ!!」
「お、おう!!」
(((だ、だいじょぶかな……)))
「ビィ……」
「はぁ……。……大規模魔法については、できる限りこの人が協力してくださるそうです」
盗賊指し。
「……え、ちょ、僕!? 聞いてない!!」
「あれ? 言ったよな?」
「……魔王様?」
「……あ、あれぇ~?」
「ちょっと!? いきなり言われても困るよ!? しかも大規模魔法でしょ? 準備が大事なやつじゃないか!!」
(((だいじょぶ、では、ないかもしれない……)))
「~~~~っっっ!! あー、もう、分かったよ!! 少なくともこの本陣は全力で守ってあげるよ!! あとできる限り、防御は協力してあげるけど!! でも、できる限りだからねっ!?」
「助かるっ」
「厨二乙とかツッコむなよ!?」
空中から銀の長剣を取り出す。少し手を傷つけて、血を流す。
「“我が血が目印。中心より巡る脈。輪になりて、この地を守りたまえ”」
その場に剣を突き立てると、中心から光の模様があふれ、消えた。
「これでよし」
「え、何? 何したの!?」
「この剣が楔。抜いたら結界が破れる。ここを中心に、野営地が全部入るくらいの円。それが範囲」
「えーっと、とりあえず、剣は抜いちゃダメなのな?」
こく
「どれくらいの強度だ?」
「今いる人、あと、魔王の許しがあるもの、以外は入れない」
「入れないのか?」
「でもゆるゆるだから、多少の牽制くらいにしかならないかも」
「そうか」
「強度でいったら、ほぼ完全。弱点は、剣だけ。この剣が傷つかない限り、だいじょぶ」
「……毎回思うんだが」
「何?」
「そのテンションの落差何とかしねぇ?」
「……今、疲れたから。でも、ツッコミどころはそこでオケ?」
「違う。なんでお前そんなハイスキルなんだ?」
「……仕方ない。それが盗賊さん」
「……そうか」
「……そう」
「……」
「……」
「……」
「えー、みなさん、解散です。これから自由行動です……」
(((今回の戦、大丈夫なのか……?)))
『不安しか残らないグダグダな始まりでした…………』




