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魔国の日常  作者: 盗賊
68/130

勇者とスナイパー、初めての依頼!

 またお正月になったらリアルと連動して季節ネタに走ると思いますが、とりあえず、えんじぇる様ですよー。頑張りますよー。

 魔王城、城下町、裏路地。

「ほら勇者、そっちいったわよ!」

「よしキタ!! ……ウワっ!?」

「ちょっと! 何逃がしてんのよ勇者のバカ―!」

「す、すまん!!」

「勇者の鈍足! 勇者のレベル三!!」

「それ関係ないだろ!!」

『えー、こうなりました経緯を説明いたします……』

 少し戻って……

 正規ギルド・依頼掲示板前

「うーむ……」

「あれ? 勇者、何してんのー?」

「……」

「ゆうしゃー?」

「……」

「……」つんつん

「ん? ああ、スナイパーか」今気が付いた

「……」じとー

「そんな目で見るなよ……と、言うかお前、なんでここにいるんだ?」

「あたし、正規ギルドにも、闇ギルドにも一応登録してあるわよ?」

「……」

「何よ?」

「どっちにもって、アリなのか? てか、闇ギルド……」

「さぁ? でも実際やってるし」

「……そ、それもそうだな……?」

「そうよ。それで? レベル三の勇者は受けられる依頼がないのかしらぁ~?」

「あるさ! レベル三でも受けられる依頼なんていっぱいあるんだからな!! レベル三舐めるなよ!!」

「はいはい。例えば?」

「は、張り込み?」

「……刑事!?」

「ま、迷子の猫さがし!!」

「探偵!? どっちにしても“勇者”じゃない!!」

「で、でもこれなんかだいぶ賞金高いぞ?」

「え、ホントだ! これ。おかしくない? ただの猫にこんな値段? どこの金持ちよ!!」

「さぁな。ここにはジェエルン商人と書いてあるがな」

「いいじゃない! これ受けなさいよ!」

「だがなぁ、あいつらすばしっこいし……」

「じゃぁ、一緒にやりましょ♪ 半額でいいわよ♪」

「半額か……。それでもいつもよりまし……」

「……あんた、どんだけ安い仕事してんの……」

「う、うるさいぞ!!」

『まぁ、てなわけで、前に戻る、と……』

「バカ勇者!」

「バカじゃない!」

「もう、どっち行ったか分からないじゃない!」

「こ、こっちじゃないか?」

「普通大通りに行く? 裏道行きましょ!」

「わ、わかった……」

『完っ全に尻に敷かれてますね、勇者……』

「うるさいぞ!!」


『一つ奥の路地、その奥』

「あ? もう一度言ってみやがれ」

「だ、だから……」

「んじゃぁ、ちょっと跳んでみろ? それで音なったらどうなるかわかってんだろうな? あ゛ぁ?」

「す、すみません!!」

『なんてわかりやすい、カツアゲ的な?』

「謝って済むなら警察なんていらねぇんだぞ? わかってんのか?」

「って、マスター!?」

「んぁ? おお、ちみっこじゃねぇか! 何やってんだこんなところで?」

 パスタ屋店長が、相手の胸倉をつかみあげて、壁に押し付けている。相手はもう一人いたようだが、ダウンしている。

「それはこっちのセリフよ! なんでこんなとこでカツアゲなんてしてんのよ!?」

「してねぇよ!!」

『少しさかのぼりまして……』

 路地裏からかすかに聞こえる会話。

「や、やめてください!」

「なんだよぉ。少しくらいいじゃねぇかよ? なぁ?」

「そうだよぉ。俺ら金欠でさぁ、少しくらい恵んでくれよぉ」

「無理です!」

「ほんと、俺ら一銭も持ってないんだって!」

「このままじゃぁ飢え死にしちまうよ!」

「やめて、放して!」

「てめぇら、何してやがる!!」

 そこに通りがかった店長。

「なんだよ、何してようと俺らの勝手だろ!!」

「人様に迷惑かけるような勝手は見過ごせるかよ!」

「やんのかこらぁ!!」

「売られた喧嘩は買ってやるよ!!」

「なんだと黙ってりゃいいきになりやがって!!」

「そんなに黙ってたようには見えねぇがなぁ!?」

『てなことがありまして……』

「そういうわけだ。だから、俺が仕掛けたわけじゃねぇぞ?」

「ぱ、パスタ屋さん?」

「なんだ?」

「もう放してあげないと、息が……」

「あ、わりわり。やりすぎたわ」

 どさっ

「げほげほげほっ」

「だいじょぶか?」

 手を差し伸べるパスタ屋。

「ひ、ひぃ!!」

 すたこらさっさー

「あ、オイ! ……仲間おいていきやがった……」

「ホントに仲間じゃなかったんじゃない? ちょうどいいからつるんでただけ」

「そうか? それにしても感心しねぇな。これだから最近のわけぇやつってなぁすかねぇ!! 助けたのに礼を言わずに逃げちまうやつもいるしよぉ!! まったく、近頃の親は何に教えてんだか……」

 タバコをポケットから出して火をつける。

 ちなみに店長の服装。白のジャケットにダメージジーンズ。……ピアス、増えてる? 気のせい。

「どんまい、マスター☆」

「……ちみっこ、次からうちのパスタは価格が二倍になるからよろしくな」

「ちょ、ごめんって!! てかちみっこ違う!!」

「ああ、そうだちみっこ。……と、その前に、何してたんだお前ら?」

「依頼よ依頼。猫さがし!」

「あ、そうだパスタ屋さん、ここら辺で猫見かけませんでしたか? こっちに来たと思ったのですが……」

「後ちょぉぉぉぉっとのところで、このバカ勇者レベル三が逃がしたの!!」

「うるさいぞちみっこ!」

「ちみっこいうなぁ!!」

「あー? どんな猫だ?」

「体が黒で、右耳が紫、左耳がオレンジ、目が赤い猫です」

「ついでにしっぽの先がサラダみたいな鮮やかな緑!!」

「……なんちゅー奇抜な猫だ……そんなのが何匹もいんのか?」

「はい?」

「いやいや、こっちの話だ」

「染めたのか、地毛なのか知らないけど……、確かにすごい色よねぇ~」

「これが似顔絵です」

「あ? ……おい、俺もまぜろ」

「なんでです?」

「賞金は渡さない!」

「いらねぇよ! 邪魔するってんじゃねぇんだ。むしろ手伝う。いいだろ?」

「……何企んでんのよぉ?」

「……ちょっとこっち来い」

「へ? えぇ!!」

「あ、ちょっと!?」

「わりぃ。ちょっくらちみっこ借りるわ。五分くらい? その辺猫探して待っててくれや」

「話を聞こう!?」

「こいこい」

「さーらーわーれーるー」

『めんどいんでかつあーい』

「と、言うわけだ。わかったら俺も猫さがし……」

「ちょっと待ちなさいよ! そこまで割愛したら読んでる人まったく分かんないから!!」

『あ、それもそうですね? んじゃぁ、少し巻き戻し―』

「しっかりしなさいよ!?」

『はいはーい。戻しましたっと』

「あの猫になんかあんの?」

「さぁな。まだわからん」

「どういうこと?」

「俺が欲しいのは情報。あいつはそれを握ってる可能性がある」

「猫がぁ?」

「俺の十八番はサイコメトリー。超能力じゃなくて魔法だけどな」

「猫の記憶のぞくの?」

「そんなとこだな」

「どんな情報が……?」

「それは、買ってくれや」

「ちぇっ」

「俺が簡単に教えるわけないだろうが?」

「流れ的に言ってくれないかなぁ? って」

「これでもだいぶいったぞ?」

「えぇ~」

「ついでに、もっといい情報をただいま配達中だ」

「ハ?」

「後で魔王に取り次いでくれスナイパー」

「……」

「猫捕まえてからでいい。そこそこ急ぎの用事なんだ」

「報酬はぁ?」

「……今度からもパスタは定価で提供してやるよ」

「ちょ、マジで二倍やる気だったの!?」

「有言実行。それが俺だ」

「わ、分かったわよぉ! やればいいんでしょやれば!!」

「分かってるじゃねぇかちみっこ」よしよし

「子ども扱いすんなぁ!!」

『と、いうわけでした』

「よし、猫さがし再開するわよぉ!!」

『そういうわけでして、新たにパスタ屋店長を追加した三人組は、猫を探しに探して、日が暮れていったのでした……』

「ど、どこいきやがった……」

「てか、つかまえられん……」

「もー、なんなのよぉ!!」

「キレんなよちみっこ」「怒るなスナイパー」はもり

「うるさいうるさいうるさーい!!」

「おやおや。こんなところで騒いで、どうしたのかな? ちみちゃん?」

「だれがちみちゃ……変態(カミスキ)!?」

「ルビがだいぶ気に入らないけど、なんだい?」

「そ、そそそそそ、その手に持っているのは……!!」

「な、カミスキ!? んで、おまっ、え!?」

「……だ、誰?」

「おや? ……お初にお目にかかるかなぁ? 私は薬売りだよ。まぁ、カミスキとでも呼んでくれ」

「は、はぁ……?」

『カミスキさん、表の仕事は薬屋さんだったんですね?』

「うーん、情報だけじゃ食べてけないからってことなんだけど、まぁ、いいや。よろしくねぇ、勇者?」

「なんで私の名ま……」

「勇者は人間・魔族、ともに有名だからねぇ」

「そこ、雑談してんな!! てか、カミスキ! おまえ、それ何処で!!」

「ん? ああ、この猫のことかい?」

 勇者たちが言ってた奇抜猫を抱いて現れていたカミスキ。

「かわいいよねぇ。飼ってもいいかい?」

「ダメだ! うちは動物禁止だ!!」

「ちがう! それ飼い主いるから飼っちゃダメ!!」

「えぇ~、残念」

「と、いうか、パスタ屋さんとカミスキさん? は、同じところに住んでるんですか?」

 今日一日でだいぶパスタ屋となじんだ勇者。

「あ……」

「ああ、そうそう。パスタ屋のとこに、いそーろ―? してるんだ」

「居候な! てか、どっちかってぇと下宿だろ? 金とってるし……」

(あんたら、姉が弟に金払って泊まってるってどういうこと!?)スナイパー心の声。

「そうなんですか……」

「そゆこと。それで、皆はこの猫が欲しいのかい?」

 三人高速で首を縦に振る。

「……パスタ屋さんにはお世話になってるしねぇ。どうぞ」

「よっしゃ!」

 猫を受け取ったパスタ屋、猫と目を合わせる。

「……」

「何してるんです?」

「ほっといていいわよ。今電波発してるから」

「え……」

「適当なこと言ってんな」

「おわったの? はやーい」

「……」

「どしたのー?」

「いや、はいよ。今すぐギルド行って報告してきたらどうだ?」

「え、いいの?」

「俺このへんで待ってるわ。……やっぱ俺の店で」

「わかったー。いこ、勇者っ」

「え、あ、ああ?」

「んじゃ、またねマスター、変態」

「ああ、またすぐなー」

「あぁ、とうとうただの変態に格下げ……」

「しょうがねぇって諦めろ」

「まったく、弟君はつれないんだから……で、なんなんだい?」

「表の情報屋さんにお願いだ」

「報酬はなんだい?」

「三か月分、ためてる下宿代もう少し待ってやる」

「やったねぇ」

「……さっさと俺んちから出てけよ……」

「やだよぉ。弟君のパスタ美味しいし。普通のご飯もおいしいからさぁ」

「嫁にいき遅れるぞ」

「誰とも結婚しないよ。それで、どんなお願いかなぁ? お姉さんに相談してみなさい」

「赤茶荒野ってとこ知ってるか?」

「確か、ここからあんま離れてない、ぽっかり空いた荒野だよね? だいぶ広い。昔戦争があって、そのせいでうんぬん的な伝説があるよねぇ」

「うんぬんって、端折りすぎだろ……」

「えーっと、たくさん血が流れて、その血に怨念が宿り、呪われた毒となりて、荒野を覆い、木が生えることなど二度となく。その荒野が赤茶色なのは、血がしみ込んだ砂の色。って話だよねぇ?」

『厨二乙!!』

「「……」」

『……あら?』

「まぁ、そこそこ」

「そんな呪われ大地に何の用だい? あるのは伝説とか呪われたとか、そういう噂話の類だけだよ?」

「……なんでもいい。噂話全部探ってくれないか? 最近、無ければさかのぼって」

「どんな情報をお探し? 仕入れは君のが得意だろぅ?」

「もうすぐしたら、この王都から離れらんなくなるかもしれねぇからな」

「どういうこと?」

「店を守らなきゃなぁ……」

「……」

「……」

「わかったよ。大事な弟君の頼みだ。やってやろうじゃない」

「おー、頼むわー」

「……今から頑張るお姉さまに、それは軽くない!?」

「……頼むな。ほんと」

「……やっぱ微妙だった。いいや」

「オイ! 人に言ってそれはないだろ!!」

「あー、ヤダヤダ。チキン肌ぱなーい」

「それもどうなんだ? 似合わないぞ」

「……うぅ、少し女っぽくしてみたのに……」

「方向性間違ってる」

「ば、バッサリいくねぇ……」

「お前はそのダルダル&テンション低めでいいんだよ」

「そこまでダルダルしてるかなぁ?」

「してる」

「……またバッサリ。いいよ、行ってきます!」とたとたたっ

「いってらー。気を付けてなー……って、どんな情報か言ってねぇぞ!?」

「あぁ!!」ぴたっ

「まったく……!!」

『……どっちが年上なのやら……』


『ささ、ここいらでいったん締めますよぉ~。スナイp((ryが帰ってくるのはとても遅そうですしね』

「おー、待ってる間パスタ食うか? ナレーター?」

『なんて素敵なお誘い!! ここまで心配してくれる人は貴重です!! でもですね、私触れないんですよ! 幽霊みたいなもので!!』

「そうか、残念だな」

『本当に!! でも、ありがとうございます!! 今度盗賊さんに実体貰って出直してきますね!!』

「おお、楽しみにしてるな」にっ

『くっ、兄貴ぃ!!』

「!?」

『そんな気分です、はい。……えー、ではではこれにて、』

「『まったねー(なー)』」


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