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魔国の日常  作者: 盗賊
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盗賊さんが面倒で、騎Cが優しくなる件について

「盗賊さぁーん、待ってよぉ!!」

「誰が待つか!! 剣持って追いかけてくんな!!」

「え? だってこれ鬼ごっこでしょぉ? 捕まえないとねぇ?」

「剣持って追いかけてくる理由にはならーん!!」

「あれぇ?」

「く・ん・な!!」しゅんっ

「あ、瞬間移動なんてずるーい!!」


『はい、騎Cが実家から帰ってきたその日です。騎Cが帰ってきたところに、ちょうど、盗賊さんが通りかかって、今の通りになりました……』

「軽く言ってないでよ……」

 物陰に隠れながら、辺りをうかがう。

 ちなみに、盗賊服装。黒の深いスリット入りのワンピースに、黒いズボン。髪はストレートでポニーテール。

「はぁ、はぁ……」

『顔色わるいですよ? 大丈夫ですか? いつもなら余裕ぶっこいているのに?』

「最後一言余計……」ぐらっ

『だ、大丈夫ですか!?』

「ふっ、ぐぅ……」ばたっ

『ちょ、盗賊さん? 盗賊さん!!』


 少しして……

「どっこいったのかなぁ……あ、はっけーん♪」

「……」

「盗賊さん?」

「……」

「返事がない。ただの屍のようだ……」

「……」

「ちょ、ツッコんでよ……」

「……」

「盗賊さぁーん? 起きてますか―?」

「……」

「っかしいーなぁー。おーい? 盗賊さんの白髪-」

「……」

「? もう、おきてよー」ゆさゆさ

「……ぐふっ」

「って、血ぃ!? アツ!! 盗賊さん!? ねぇ、大丈夫!?」


 どたどたどた!! 

 ばきぃっ!!

「へーかぁ!! 盗賊さんが!!」

「いや、ドアぁ!?」

「あれ? ちび? へーかどこ!?」

「しらなーい。どうしたのー?」

 魔王執務室、騎Cが盗賊を連れて、ドアをけ破って入ってきた。ドアは破壊(後日、ドアの修理代が騎Cの給料から引かれた)。執務室にはピンク、もとい、スナイパー。

「まあ、お前でいいや! 盗賊さんがなんか変!!」

「お前でいいって何よ!! ってか、盗賊が変って何!?」

「なんかやたら熱いし、だらーんってなってるし!!」

「……とりあえず、そこ寝かせたら?」

『そういえば、執務室の説明ってしましたっけ? 執務室には、執務机、本棚。他にも棚色々。それから、お茶するための応接セットなどがあります。応接セットの中には、ソファーもありますので、ピンク……じゃなかった。スナイパーはそこに寝かせたら? と言っています』

「……ナレーター? いま、ピンクって……」

『言ってませんよぉ。聞き間違いじゃないですかー? ああ、それか、自分でも自覚してるんですよぉ! じゃないとそう思わないでしょう!?』

「ナレーター、あとでハチの巣にしてあげる……」

『騎Cになれたら、あなたごときどうってことないんですよ!!』えっへん

「……」

「ねぇ、ちび! どうすればいいのさ!?」

「そんなのあたしに聞いてもわかるかー!!」

「エェ!? じゃあどうするのさ!?」

「知るかぁ!!」

「えぇー!?」

「うるさいですね。何を騒いでいるんです?」

「あ、ビィさん!」「ビィさぁーん!!」

「な、なんです?」引き気味

「盗賊さんが、なんか変!」

「変? いつものことでしょう?」

「そっちじゃなくて!」

「あ、あんたら……」

「なんか、熱くて、ぐてーって!!」

「ハ? ……風邪じゃないんですか?」

「血ぃ吐きましたよ!?」

「……ただ風邪ではなさそうですね……」

 ビィ検診。

「これは、なんでしょう?」

「ビィさぁん!?」

「……ああ、移し身ですね。今時珍しい……」

「ウツシミ?」

「ええ。誰かの病などを自分の身に引き受けて、浄化する魔法ですよ。一応禁術扱いになっていますので、使おうとする者ももういないんじゃないですかね」

「引き受け……」

「ええ。昔は普通に使われていたようですがね。でも、高等な技術と、天性の才能がないとできないので禁術認定されたそうです。自分の許容量を超えて移すと、死んでしまいますから。もともと高度でしたし、それに加えて浄化に耐えうる強靭な肉体と精神力などがないとできない術なので、やろうとする者も減りまして、今では珍しいですよ」

「……」

「……ビィさん、いつから生きてるんです?」

「年寄り扱いしないでください。本で読んだだけですよ。その時代から生きてたわけじゃありませんからね?」

「えぇー?」

「何か問題でも?」

「あ、ありません!!」

「よろしい」

「ビィさん、もしかしたら、盗賊さん、死んじゃったりしないですよね?」

「さぁ、それはどうでしょう? わかりませんが、死ぬこともあるんじゃないですか?」

「……どうしよう……」

「どうしました? あなたがそこまで弱気なのも珍しい」

「俺のせいかもしれない……」

「あなたのせい?」

 かくかくしかじか

「なるほど。でも、それで死んだとしても、いいんじゃないでしょうか?」

「そんな! ビィさん、それはないんじゃない!? ……ですか?」

「スナイパー、自分のやることに、責任を持つことは大事ですよ?」

「う、分かってますけど!」

「それに、死んだとしても、盗賊のせいであって、シーが気にする必要はないかと」

「ビィさん、そ……」

「この人、他にも何か隠しているようですからね」

「え?」

「隠してる?」

「ちょっと、見てみましょうか?」

 ビィ、盗賊に手を伸ばす。

 ……パキンっ

「わっ!?」

「なにこれ!?」

「……」

 盗賊の体に浮き上がる、茨模様。動いている。それから無数の傷。

「幻術ですね。いつも使っているようです」

「これ、なに?」

「それはご本人に聞いたほうが早いのでは?」

「?」

「……うぅっ」

 目を覚ました。

「わっ、なにこれ!?」

「それはこっちのセリフだよぉ、盗賊さん?」

「え? あ!! ビィさん!?」

 ローブを取り出して隠す。

「……」

「無視ですか? 無視なんですね!?」

「盗賊! 説明!!」

「俺こそ状況説明してほしいわ!」

「その傷、トアル王にやられたのですか?」

「っ!?」

「あのバカ王? なにそれ、さいってー!!」

「そんな王様じゃ、あの国もダメだねぇ」

「ちょっと! 面倒事は起こさないでよ!?」

「この前、俺には、言い返さないといけないみたいなこと言ってたくせに、自分は黙ってんのぉ?」

「それとこれとは違うの! 主に規模が!」

「……移し身だって? ごめん、俺のせいだよね……」しゅんっ

「何いきなりテンション下げてんの!? ビビるじゃん!?」

「ごめん……」

「違うから! 大丈夫だから!」

「……」

「あー、もう! わかったわよ! 言えばいいんだろ? 言えばさぁ!!」

「そうこなくっちゃ♪」きらっ

「チッ!!」

 一同注目。

「うぐっ、はぁ……。せっかく隠してたのにさあ……。そう、傷はトアル王。でも気にしてないから放置」

「傷の手当はした方がいいわよ! 後残ったら嫌でしょう!? 女の子なんだか……女の子……あんた女?」

「うんっ、あのさっ、真面目に聞く気ある!? それともケンカ売ってる!?」

「あ、ごっめーん」

「……あとでウサギ狩り決定だねっ」

「!?」ツインテ隠し

「話進めてもらっていいですか?」

「あ、すみませーん」

「ご、ごめんなさい……」

「傷は残んないよ。そのくらい治癒能力は高めだし。隠してると、多少は治りにくいけど、まあ、気にしない。それから、移し身? は、そう。やった。けど、騎Cのせいじゃない。夫人の病を引き取ったのは元からそうするつもりだったし」

「でも……」

「騎Cのせいじゃないよ。それは確か。だけど、誰かのせいって言うならぁ、そうだねぇ……セレスト侯爵が一番悪いよね!」

「義父上?」

「侯爵の悪口はあまり……」

「悪口って言うよりは、事実言ったまでですよぉ! だって、あの人タヌキだもん!」

「……」

「え、えっと、あの、ごめんね?」

「いいよ。あ、でもぉ、どうしてもって言うならぁ、血ちょうだい?」

「……」

「お腹減ったの~」

「そういうなら、そこのピンクに……」

「ちょっと!! 何押し付けてんのよ!! あたし関係ないじゃない!!」

「じゃあ、ビィさん……」

「ビィさんは、や」

「……」

「えー、どういう基準……? やっぱここはそこのちびに……」

「そういえば、あの茨の正体は何なの!?」

「あ、話そらしたね?」

「う、うるさいわね!!」

「盗賊、あなたこそ、話をそらそうとしてませんか?」

「……」図星

「とーぞーくさぁーん?」

「はいはい。んー、あれは、なんだろうね? 呪いの一部かな」

「?」

「時々現れて激痛を起こす。面倒なやつだね。いまは、死なないように作用してるけど」

「そうなんですか」

「軽いですね、ビィさん?」

「放っておけば収まるのでしょう? その様子だと?」

「そうですねぇ。そうなりますかねぇ」

「移し身の方は?」

「あと三日。病が痛みに変換されてますので、呪いのせいで。あと三日耐えればもっとどーりっ」

「そうですか。じゃあ、頑張ってください」

「え、雑です! 盗賊さんは悲しいです!!」

「鎮痛剤効きますか?」

「効きません……」

「では、やはり頑張ってもらうしか……」

「そーですねっ! もういいです!!」

「しばらく、この城にいますか?」

「へ?」

「あ、それいいですね! なんなら俺の部屋の隣あいてるよ? 看病もしてあげるし」

「……それ絶対、恐怖スポットだよね!? お前が怖くて隣室に住みたくないとかじゃない!? お前の隣なんてコワっ!!」

「え、それひどくなーい? 俺これでも、部下には慕われてるよー?」

「信じられない!!」

「え、ひっどいなー。じゃあ、今度訓練のぞいてみなよぉ?」

「見つかったら恐怖!!」

「えー?」

「あ、あたしの隣来る? 両隣あいてるわよ?」

「……お前は、うん、そういうことだよね……」

「どういうことよ!?」

「うん……」よしよし

「こらー!?」

「……医務室の隣、今使ってないそうですよ? 何かあった時にもちょうどいいですし、そこ使ってください」

「わかりましたー。ありがとですー」

『こうして、魔王城で療養することとなった盗賊さんでしたっと。あ、魔王には事後承諾で』


「盗賊さーん、アソボ―」

「ねぇ、何のために俺がこの部屋借りたかわかってる?」

「えぇ?」

「……」

「じゃあ、林檎切ってあげるよ。ちょうどそこになってたんだよねぇ」

「……うさぎさんがいい」

「え? 何? ちび食べたいってこと?」

「あれはロリ。俺が食べたいのは、ウサギの林檎……ん? 林檎のウサギ?」

「どっちでもいいよぉ。もう、しょうがないなぁ。我がままなんだからー」

「……」

 さくさくさくっ

「……」

「……」

 さくさくっ

「……うん、ちょっと、待とうか?」

「え、何? もう我慢できないの? 食いしん坊だなぁ、盗賊さんは」

「ちげぇよ? え、何? 普通、林檎のウサギって、縦に何等分かして、皮を耳にするんじゃないの? お前の、なんでそんな3Dなの!?」

 騎C、手に彫刻刀。つまり、林檎を削って、彫刻的ウサギ像を作っている。

「えぇ? ウサギデショ?」

「違わないけど、違わないけど違うからぁ!!」

「えぇー、注文多いなぁ」

「俺が悪いの? これ、俺が悪いの!?」

『はい、結論、盗賊さんと騎Cはラブラブってことで。おしまい』

「こんな面倒、ふざけんなぁぁぁああああああああ!!」フェードアウト

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