楽しいハロウィン前夜祭(のはずだったのにぃぃぃぃいいいい!!by盗賊)
「明日はハロウィンですねっ」
「そーですねっっ!!」
「てことで肝試しやるぞぉぉぉ!!」
「おぉぉぉ!! って、ハぁ!?」
現在、墓地。
『また盗賊がなんか言い出したようですね。あ、ちなみに盗賊さん男バージョンです。ポニテに黒のロングコート、ロングブーツです』
「いやぁ、ハロウィンって日本でいう……ミス。ここではファンタジー的に和ノ国かな? そう、和ノ国にしよう。それでいう盆だろ? つまり夏だろ? したら、肝試しだろぉ!!」
「お前の論理はわけわからん!!」
「お前こそわけわからん! こういうのは楽しければいいんだよ! 細けえこと気にしちゃいけないんダゾ」
「うぜぇよお前!!」
「ってことでくじ引きだぁぁあ!! 好きなの引けぇ!! 早いもん勝ちだぁ!!」いやにテンションが高い。
『ってな感じで三組に分かれるそうです。ここはそうですね、夜空が紫、月が赤っぽくて、墓石は黒い洋風なものを想像してくださいな。ファンタジーで、かわいい感じのメルヘンチックです。っとまあ、説明している間に分かれましたとさ』
『スナイパーとモーブペア!』
「なんでいきなり連れて来られてくじ引かされて、肝試しなのよぉぉぉ(泣き」
「な、泣くなよ!! 怖いのか?」
「怖いわよぉ!! おばけとか出たらヤダー!!」
「大丈夫だぜ! おばけなんていねぇしな。そ、それに俺がいるからよ! って、別に心配してるわけじゃないんだからな!!」
『なんかここは安定ですね……。お次は勇者魔王ビィトリオ!!』
「……帰っていいですか?」
「だめ、なんじゃないか?」
「ああたぶんな……」
「……くだらないですね」
「盗賊に聞けよ? 勝手には帰んなよ?」
「……」
『なんて息苦しい空間なんでしょう。勇者がいたたまれなそうです……って、あれ? 盗賊、残ってません? 一人ですか? あ、違った。まさかの、盗賊、騎Cペア!!』
「……」さぁ……っ
「いやぁ、嬉しいねぇ。まさか盗賊さんと同じ組なんて。いやぁ、今日の俺は運がいいなぁ♪」
「な、なんでお前いるの……? くじも人数分しか用意してなかったのに……」
「ん? 楽しそうなことしてるのに、俺だけおいてけぼりなんて酷いよなぁ? 思わず手が滑って勇者に剣を向けるとこだったぜ」
「ユシャちゃんに手ぇ出したら即、殺」
「いやぁ、いいねぇ、ゾクゾクするよぉ♪ ってか、騎Cで固定なんだね? 割と冗談だったんだけど?」
『めんどいんで固定で。それから、肝試しに武器は不要ですので置いてってくださいね?』
「いや、いるだろ?普通」
「いらねぇだろ」
「いや、いるんだよ。だって、肝試しって要するに恐怖心を抑えて心を鍛えるもんだろ? だったら、闇討ちしてもいいだろ?」
「どんな論理!?」
「暗がりからいきなり出てきても、ビビらずに、冷静に相手を殺す。これこそ真の肝試しだよな!」
「ちげえし!! 絶対おかしいし!!」
「ちょ、マジですんなよ!?」
「コワッ!!」
「な……」ぶちっ
「魔王様に手ぇ出したらただじゃすまねぇからな!!」
「なんでこんなのが隊長やっているのでしょうか?」
「そりゃ、腕がいいからだろぉ? いやあ、先代が取り立ててくれて感謝感謝♪」
「……」
「……」
「あれえ? どうしてそこで黙るの? ビィさんはいつも無口だけど、モーブはそうでもないよね?」
「呆れてものも言えねえんだよ!!」
「エェ!? どこに呆れたの!?」
「全体的に!!」
「えぇえええ!?」
「とにかく、勇者に手ぇ出してみろ? 一センチ角の賽の目切りにして豚の餌にしてやるからな」
「いやぁ、ホント運いいなぁ。ここまで本気になってくれて、うれしいぜぇ」にこっ
「ユシャちゃん。普段でもこいつには近づかないでね? なんかあったらすぐ呼んでね? どこにいても駆けつけてぶちのめすからさぁ!!」
「盗賊落ち着けって!!」
『はいはい、そこまで――――!! 肝試しでしょう? さっさと始めますよ? ルールは?』
「邪魔しないでくれなぁい?」かちゃっ
「危険な奴は殺しといたほうがいいかなぁ、勇者? 平和のために?」ちゃきっ
「それでも一応部下だから、やめてくれ」
「一応って酷いなぁへーか。俺はあなたの剣ですよ?」
「魔王様をお守りするのは俺だけで十分なんだよぉ!!」
「ちょ……」ぶつっ
「それなんか違うぞモーブ?」
「盗賊、やめろ!」
「モーブ、シー、いい加減にしなさい。盗賊もですよ。話が進みません。ナレーターも困りますし、私たちもここでたちっぱですよ? いいんですね?」
「むぅ、しかたな……」
「大丈夫だってビィさん、俺ら勝手に動いてるんで、ビィさんたちはホラー的肝試しに専念しといていいですよ」
「はぁ? ちょっと待て」
「早く殺り合おうぜぇ? さっきから俺興奮しすぎでぞくぞくして困ってるんだよぉ!!」
「うざけんな、勝手に巻き込むな。一人で勝手に果ててやがれ!!」
「ん? ああ、勇者が絡めば盗賊さんもゾクゾクしてくれんの?」
「な!?」
騎C、勇者の後ろに回り首を締め上げる。
「くっぅ……!!」
「ユシャちゃん!?」
「早くしないと死んじゃうよぉ?」
「てめっ!!」
「止めろバカ騎C!! 勇者殺す気か!?」
「シー!! やりすぎです! いい加減にしなさい!!」
「やですよぉ。せっかくの楽しいお祭りですよ? 俺だって楽しみたいのに、楽しませてくれないそいつが悪いんです」
「……“影踏み”」
騎Cの影を踏む。
「えっ?」かくん
「“闇溶け”」
盗賊の姿が薄まり、騎Cの背後で再構築。
「えぇ?」
「……」がんっ
わき腹に一発お見舞い。
「くっ!?」
「うっ、げほげほげほ!!」
勇者解放。
「ユシャちゃん大丈夫!?」
姫抱っこで距離取り。
「……恥ずかしいんだが?」
「よいしょっと、んで、ぎゅぅぅぅ!!」
おろして抱き、締め上げる。
「ぐえぇ」
「生きてるよかったぁぁぁ!!」
「くるしっ……」
「ごめんごめん!! でもほんとよかったぁ……」泣き笑い
「……あはっ、あははっあははははははははははははははは!!」
「おい、お前……」
「へーか! 今の見ました!? その強さ! もう、ほんっと、最っ高!! ゾクゾクしすぎでイキそうだぜぇ!!」
「勝手に一人で逝けっての」冷た目
「字が違うと思うなぁ!」
「魔王、帰ろう。こいつ残して」
「待てよぉ!! ここまで期待させといて、止めるなんて言うなよぉ!?」抜刀
「魔王、勇者頼むね。手当お願い。先帰ってて」
「あ、ああ」
「盗賊? 殺すなよ!?」
「そんなことしないよ。僕、いい子だもん。だから、大丈夫だよ、心配しないでね」
魔王たちと一緒に勇者も魔王城に帰す。瞬間移動的な。
「何がいい子だよぉ!! 目が、表情が、匂いが言ってるぜぇ!? 人殺すのが大好きですって!!」
「うん。それが? そうだよ? これで満足かい?」
「やっぱそうなんじゃんかよぉ!!」
「……あほらし」
「!」
一瞬で騎Cの目の前に迫る盗賊。
「このまま殺すのは簡単だ。でもつまんない。だったらどうしよう?」
盗賊、騎Cの首に手をかけ。
「確かにつまんない。でも、そのままでもいいぜ? 俺が一瞬で、なんてのも素敵じゃないか? ああ、興奮する……」
「知らないよ。でもね、僕はつまんない。だからね」
押し倒して、退く。
「“死霊術”」
墓地の下から死体がぞろぞろ。
「?」
「そいつらで遊んでなよ」
「こいつらに殺させるのか!? そんなの一番つまんないだろぉ!!」
「僕いい子だから。殺さないよ。それに、こんなことで死ぬの? はっ、弱いね」
「そんなわけねぇだろぉ! もっとちゃんと遊ぼうぜっていってんだよぉ!!」ざくっざくっ
「嫌だよ。俺さ、感情のままに動いて、ずたずたにするの、好きだけど、勇者にはそんな姿見せられないし」
「今いないだろぉ! だったら血に狂えよ! 楽しく一緒にイコウぜぇ!!」ばきっぐじゃぁっ
「やだって。勇者は、大事、だから、僕は、いけないこと、は、しない」
「ふざけんなよ!? 目の前にこんな楽しみがあるのに、手を伸ばさないなんて、お前はそんな奴じゃないだろう!? いい子なんてどの口が言ってんだぁ!!」じゃぐっぐぎっどろぉ
「見てきたことないくせに、なんで知ってる風なんだ」苦笑
「分かるんだよ、雰囲気で!!」じゃぶっびじっごりごりっ
「あっそ、勝手にして」退く
「待てよぉ!! ほんとにこのまま俺のことこいつらに!?」ぐじっぁ、ぐちゅっ、ぶちぃっ
「だったら、生きて帰ってきなよ。生きてるなら、相手する機会があるかもね?」
盗賊姿消し。
「くそ!」ざっ、どじゃぁ!!
『取り残された騎C。そして、その後は……』
夕方。
「ただ今戻りましたぁ~」
「騎C!?」
食後のティータイム中。
「ぶふっ!! ちょっと早すぎないか!? 盗賊、明後日までは戻れないんじゃなかったのか!?」
「あれぇ? お、おっかしいなぁ~? そこそこの強さでいっぱい屍兵出したはずなのに……」
「あははっ! そんなに俺をなめてたのー? 悲しいぜ。これでも騎士団の中じゃ一二を争う腕なんだけどなぁ?」
「え、えぇー……」
「ていうか、あいつらほんとうに死体だったんだなぁ? 腐臭がすごくて、鼻が死にそうだったぜぇ……」
「風呂入ってきたのか? あんま汚れてなさそうだが、そんなんだったら近づくなよ?」
「さすがにですねぇ。ドロドロでこっちが気持ち悪いし。本当は一刻も早くここに来たかったんですけどねぇ? あ、さっきまでのかっこ教えます? 服中に腐った肉片と血がこびりついて~……」
「もういいもういい!!」
「まだまだだぜ? 目玉のぐちゃぐちゃしたやつがぁ~……」
「黙れ騎C!! 茶がまずくなる!!」
「へーかに言われちゃしょうがないなぁ。でさ、盗賊さん。もどったら相手してくれんだろ?」
「ハ? なにそれ?」
「戻れたら相手する機会があるかもって言ってたじゃないか」
「かもであって、するなんていってないぞ!!」
「そんなのどっちでも同じだろ?」
「ちげえっての!!」
「生きるか死ぬかの、スリルある遊び、しようぜぇ?」
「しねぇっての!! あんたの部下デショ何とかしてよ魔王!!」
「むりだろ」
「即答!?」
「そいつ、ほとんど俺の言うことなんてきかないし」
「それでいいのか魔王様!!」
「しかたねぇ」
「諦めんな!」
「なあ、今すぐ、やろうぜ?」
「だが断る!!」
逃げ
「あ、待てよ盗賊~」
「さんをつけろさんを!!」
「待ってよ盗賊さーん!!」
「ヤダっつってんだろ!!」
「一緒に遊ぼうぜ?」
「断固拒否!!」
「じゃあ、俺が勝手に追いかけるから、捕まったら盗賊さんの負けな」
「そんなルール知るかぁ!!」
『とまあ、こんな具合で。どうにも、騎Cさんが出ますと、グダグダ脱線具合が半端じゃないです。ハロウィン企画、肝試しのはずが、命がけの戦闘に発展しかける今日この頃……あ、でも微スプラッタでホラー気分?』
「ナレーさん! アホいこと言ってないで助けてよ!!」
「とーぞーくさーん!! 待てよぉ!!」
「待てと言われて待つやつがいるのかぁ!?」
「いないから追いかけっこが楽しいんだろぉ!?」
「知らねぇって!!」
『盗賊、ガンバ☆』
「ヒデェ!!」
『それでは、盗賊バッドエンド、ということでまた次回。さようなら♪』
「バッドエンドなんていやだぁぁああああああああああああああああ!!」
「俺にとってはトゥルーエンドだぜぇ?」
「いぃぃぃいいいいいいやぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!」フェードアウト




