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魔国の日常  作者: 盗賊
29/130

チャイルド・パニック改

『これは、とある日の出来事……』

「何よ何よ!! モーブのバカァ!!」

「なっ!! 誰がバカだよ誰がぁ! バカって言ったやつの方がバカなんだかんな!」

「子供っぽいこと言ってないでよ!」

「それはお前だろ!?」

『魔王城執務室で、くだらない言い争いの声が聞こえてくる……』

「お前ら、いい加減にしろよ、な?」

「だってだって! モーブが悪いもん!!」

「だからぁ! もともと魔王様のためであって、お前になんでやんなきゃいけねぇんだよ!!」

「ちょっと位いいじゃなぁい!! あたしだってお菓子食べたぁぁぁいい!!」

「盗賊、子供じゃないんだから、そこでダダこねんなよ。モーブも、あんまいじめてやんなよ?」

「ですけどぉ!!」

「ヤダぁ!! モーブちゃんのお菓子美味しいんだもん!!」

「え、そ、そんなにか……?」悪い気はしない。

「なのに、なのに、くれないなんて、モーブちゃんのバカァ!!」

「バッ! だから誰がバカだって!!」

「酷いよ酷いよ!! まったくもってまったくもって!! そんなモーブちゃんなんて、困ればいいんだぁぁああああ!!」

 盗賊、謎の煙幕を出して消え去る。

「え、ちょ、まっ!! げほげほげほ!!」

「ば、盗賊!? お前なんちゅーもんを!! ごほごほごほ!!」

「うっ!?」

「モーブ!?」

 煙幕晴れる。

「!? お前、モーブ?」

 ミニモーブ。

『また幼児化ですかね?』

「あんにゃろ……また面倒なことしやがって……!!」

『はーい、容姿説明入りまーす!! 髪型はあまり変わりませんかね? でも目が大きくてうるうるしてます。かわいいです。そして耳としっぽはあります。これぞ獣人です。それもカワイイです。ふさふさです。思わずモフりたくなります。すんごく小さいです。狼の皮被ったチワワです。かわいいです。服は良家のお坊ちゃんな感じです。かわいいです。もう、とにかくかわいいです』

「かわいい言いすぎだろ……」

「?」

 コテンと首をかしげる。

「『かわえっ!!』」

『ほら! 魔王様もカワイイと思ってんじゃないですか!!』

「いや、つい、だな!!」

「まおうさま、ですか? おあいできて、こうえい、です……」

『ふむ。記憶無いようですね。たどたどしくお辞儀とか! ぶほっ! かわえぇ!!』

「キャラ崩れてんぞ、ナレー?」

『おっと! これはいけません!!』

「魔王様? 書類お持ちいたしました」こんこん

「まおうさま、どうかなされました、か?」

「かわえっ!!」

『でしょうよぅ!!』

「魔王様? 入りますからね?」がちゃ

「お、ビィか。悪い、聞いてなかった」

「いえ、声は聞こえましたので。お邪魔してしまいましたか?」

「いや?」

「それより、何をなされているの、で……」発見。

「そうだよ! 見ろよ! モーブが……」

「オジサマ!」

「オジサマぁ!?」

「も、モーブ? その姿は一体……」

「オジサマ、は、おしごとですか?」

「……オジサマはやめてください。まだ若いです」

「ですが、ちちもわかいころからそのすがただときいてます。なので、わかくはないとおもいますっ!」

「……」

「ぶふっ! お前、すっげえ爺さんだったんだなぁ!! オジサマ?」

「違いますよ。この姿になってから、歳をくわなくなっただけでして……」

「モーブ、オジサマはオジサマじゃないって言ってるが?」

「オジサマ? ちがうのですか?」うるうる

「……っ、もういいです。それで、何があったか説明していただけますか?」

「俺も聞きたいことがあるんだが、お前ら、ここに来る前から知り合いだったのか?」

「少し、家に引き取って行儀見習いをしていたことがありまして」

「なるほどな」

「それで?」

「ああ、盗賊がこの魔法かけていきやがった」

「……シー、けしかけますか?」

「それなんて鬼畜……」

「住処がわからないのが残念です。今度会ったら連絡してやりましょう」

「やめとけよ。あとがこえぇぞ?」

「いいでしょう? 少しくらい仕返しをしても」

「お前がこんなに苛立ってるなんてなぁ?」

「それほどでもありませんよ」

「そうか?」

「とりあえず、解呪法を見つけようと思いますので、この子は引き取りますね」ひょいっ

「え?」きょとん

「え、ちょ、まっ!! ずりぃぞ!」

「失礼します!!」

 ばた、ん……

『ビィさんが、あのビィさんが……少し扉に優しくなかった!?』

「一瞬叩き付けかけたよな!? 少し手前で音鳴らさないように引いたけど!!」

『い、一体何が……!?』


「ふぅ……」

 ビィ私室。

「オジサマ?」

「なんでもありません。気にしないでください」

「でも、まおうさま……」

「気にしないでください」きっぱり

「……」

「それにしてもまったく、盗賊には困りものです。モーブをこんなにするなんて……」

「オジサマ?」こてん

「……」

「ごめいわく、でしたか?」

「……っ」

「オジサマ!? 顔が赤いですよ? おねつでもありますか?」

「違います。気にしないでください……お願いですから……」

「わかりました……」

「……」

「……」

「……何か、欲しいものはありますか? 私は仕事がありますので、少しここにいてもらいたいのですが」

「だいじょぶです。おとなしくしてます」

「そうですか? それはありがたいですが……あとでモーブの好きなクルミ入りのケーキでも用意してもらいましょうか?」

「はいっ!!」きらきら


「もうっ! モブちゃんなんてモブちゃんなんて!!」ぷんぷん

「盗賊!!」

「え? うわぁ!? って、ビィさん!? 何? どしたの!?」

「モーブを今すぐ元に戻しなさい!!」

「え? なんで、です?」

「戻しなさい!」

「理由」

「いろいろあれですから!!」

「……ふ~ん? いやだ」

「な!?」

「面白そうだからこのままにしちゃうっ!」逃げ

「盗賊!」

「安心してよ、今日中には解けるから! ま、それが今か、零時の鐘が鳴るときかはぁ、知らないけどさっ♪」

「待ちなさい!」

「待てと言われて待つやつなんていませんわっっと!!」

「くっ!!」


「モーブ。ただ今戻り……」

「がるるっ」

『戻ってきたビィさんが目にしたのは、ビィさんが精魂込めて作った人形が、オオカミモーブにずたずたに噛み千切られて、綿が舞っている状況でした……』

「いつ来たんです? ナレーター?」

『今、さっきです』

「そうですか?」

『ええ』

「そうですか。……モーブ」

「ぐるっ、ぐ……オジサマ!?」

「ああ、いいです。あなたは前にも私の大事にしていた人形引き裂きましたよね……」遠い目

「え、あ、えっと……」

「怒っていませんよ? ええ。怒っていませんとも……」

「そうですか!?」うるうる

「でも、悪い子にはお仕置きしませんとね?」

 ベッドにぽいっ

「え、あ、え……きゃうん!!」

「ここですか?」ぎしっ

「や、やめっ!! キャンっ!!」

「お仕置きなんですから、やめませんよ?」

「オジサマ! ごめんなさいっ!!」

「かわいいですね。思わずいじめたくなります」

「いじめっ!? きゃぅ~んっ!!」

『え、えーっと、それからしばらく後……』

「はっはっ!」

「さて、と……」

「まだなにかするきですか!?」

「しませんよ。はい、クルミケーキです。お茶も入れましょう。ミルクと砂糖たっぷりでしたよね?」

「おさとうより、はちみつがいいです!」

「分かりました。それにしても、喉がだめなのは猫だと思っていました」

「ぼくはおおかみですからね!?」

「わかってますよ。腹見せて、なんて、なついてる証拠ですかね?(ぼそっ」

『ちょっと一息ティーブレイク♪』

「ほら、こぼしてますよ」

「あう」

「フォークも、握りしめないでこう持ちなさい」

「はい、オジサマ」

「よろしい。……素直……なんで大人モーブはあんなに擦れてしまったのでしょう……」

「オジサマ?」

「なんでもありませんよ。あとで外に遊びに行きますか?」

「はいっ!!」

『庭~』

「ぐるるっ!」

「そらっ!」

「がうっ!!」

『ボール遊びですね。完全犬です』

「イヌじゃない、オオカミだ!」

「モーブ」ぽいっ

「がうぅ♪」ぴょんっ

『犬じゃないですか』

「ちがう!」

「あれぇ~? ビィさんじゃないですかぁ? こんなところで犬と戯れてるなんてどうしましたぁ?」

「イヌじゃない!!」

「? ……まさか、モーブ?」

「おまえだれだよ!!」

「ビィさん? これ……」

「行きましょう、モーブ」

「え、でも……」

「あれは見るだけでも害悪です。目をつぶっておきなさい」

「は、はいっ」ぎゅっ

「酷いよぉ。ビィさん。さすがにそんなモーブには手ぇ出さないって。弱いし、一応同僚だし?」

「信用なりません」

「ばっさり……」

「行きましょう行きましょう……」

「あ、待ってよ……ぐふっ!」

「しつこい!」

 腹に蹴りいれて、逃げ出すビィ。

「なにがありました、オジサマ!?」

 目をつぶっているので現状把握不可のモーブ。

「なんでもありません」

「いい蹴りだったぜぇ! ビィさーん! また今度相手してくれよぉ!?」

「ホントしつこいな……」

「オジサマの口調が!?」

「幻聴です」


『もう良い子は寝る時間ですよー』

「……いつ戻るんでしょうか……」

「?」

「盗賊、ぎりぎりまでこの姿にしておくつもりでしょうか?」

「オジサマ?」

「いえ、何でもありませんよ。モーブ、あなたの部屋に案内しますから、そこで寝なさいね?」

「一人でですか!?」

「そうですよ」

「こ、こわ、くなんか……」

「……」

「こわくなんてないんですからね!!」

「……モーブ」

『このころからツンデレ……』

「なんですか!?」うるうる

「怖いのですか?」

「こわくなんかないですったら!!」

「寝るまで一緒にいてあげますから」

「ホントですか!?」きらっ

「……っぅ」

「オジサマ!? また顔が赤く……」

「幻覚です」

「え、でも……」

「幻覚です」

「……はい」

 モーブ私室。

『ふむ。割と普通ですね。きれいですし』

「そういうところは几帳面なくらいなんですよね……」

『そうなんですか……』

「さて、寝ましょうね?」

「ねるまでいなくならないでくださいよ?」

「分かってますよ」

 モーブをベッドに横たえて、おでこにキス。

「おやすみなさい」

「おやすみなさい……」

「寝るまでここで仕事させてもらいますね? 明るかったら言ってください」

「だいじょぶです」

「ありがとう」

(あ、なんかなつかしい……)

「オジサマ」

「ん?」

「やさしくてすきでした」

「っ!!」がたん

「……むにゃむにゃ」

「って、寝言ですか!? 焦らせないでください……」

『なんか変なフラグ立ってません?』

「立ってませんし、立ててません」

『えー、ホントですかぁ?』

「うるさいですよ。モーブ起こしたら承知しませんからね?」

『こわーい♪』

「……」


『翌日の後日談的な~』

『モーブが起きるとそこには……』

「ふわぁ~、って、先輩ぃ!?」

『モーブの机に突っ伏して寝ているビィさん』

「何があったナレーター!?」

『いろいろですよ。覚えてないんですか?』

「覚えてない。あー、でも、懐かしい夢見てたような……」

『ま、そんな感じじゃないですか?』

「……」眉間にしわ寄せ。

 モーブ、ビィのそばに寄ってみる。

「先輩? うわぁ、クマできてる……先輩も徹夜ばっかか……疲れてるんだろうなぁ……」

『そういえば、先輩なんですね? オジサマじゃなくて?』

「ぶふっ!! お前なんてことをぉ!?」

「んぅ……」

「!?」口を手でふさぐモーブ

「……すぅ」

「……ふぅ」ほっ

『モーブ? 起こすんじゃないんですか?』

「いや、まだ余裕あるから、寝かしておいてあげようかと……」

『優しいですね? いつも嫌味ばっかりなのに?』

「あれが、あれでも、優しさなんだよ。この人、いろいろ厳しい人だからさ」

『……なんか』

「なんだよ」

『大好きなんですね、ビィさんが』

「バッ!! 何言って!?」

「うるさいですよ、モーブ」

「先輩!?」

「んぁー、ん、久しぶりにいい夢見ました」

「そ、そうですか……」

「……私に気を使うなんて百年早いですよ、後輩?」くすっ

「うっ!!」

「顔赤いですよ? 熱でもありますか?」

「ち、ちげぇし!」

「言葉」

「ちがいますし!!」

「まあよろしい」

「このっ! いつか先輩見返してやるんですから―!!」

『モーブの絶叫が朝の澄み渡った青空にこだまする……』

「楽しみに待ってます」にこっ(ひそっ)

 終

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