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魔国の日常  作者: 盗賊
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魔王勇者招集

「まて、勇者は、わかる。またお前が暴走したら困るからな。だが、なんで魔王様も呼び出されなきゃいけない? 魔王様はご多忙であらせられるんだぜ?」

「それは、マオちゃんが、魔王だから」

「どういう意味だ?」

「マオちゃんは、魔王で、魔王は、魔王なの……」

「は?」

「だから、そーゆー……」かくん、ばたっ

「あ、おいっ⁉︎」

  盗賊、床に倒れて動かない。

「だいじょ……」

「すぴー……」

「って、寝てんなよ‼︎」

「自由かっ‼︎」

「とりあえず、部屋に運んでやるか……」

「手足縛っておきましょう! また暴れ出したら困るし‼︎」

『だったらついでに猿轡も! 牙とか危なそーですし‼︎』

「それいーわねっ! んじゃぐるぐるまきにして‼︎」

「お、お前ら……悪意が……」

「こちとら襲われたのよ‼︎ これくらい……」

『こっちは本当に命の危機だったんですから‼︎ 川で溺れるとこでした‼︎』

「うん、まぁ、そうなんだけどな?」

「縄っ縄っ♪」

『ぐるっぐるっとぉ〜♪』

 モブAが(お、女怖えー‼︎)と、思った瞬間でした……

『あら? 私女ですか?』

「さあ? なんなの?」

『さあ?』


『翌日』

「ハロハロ? おっはよぉぅ‼︎ あーさでーすよんっ‼︎」

『朝からハイテンションの盗賊さんがみんなを起こしに来ました。……って、えぇ⁉︎』

「あんた縄どーしたの⁉︎」

「あれくらい、盗賊さんにかかれば赤子の手をひねるよりも簡単に抜け出せるのです」えっへん

 黒のワンピース盗賊。黒のゴスロリスナイパー。

「『うわぁ……』」

「んだよ、朝っぱらからうるせーぞ」

不機嫌モブA

「さあ、ちゃんと起きてくださーい。作戦会議の時間でーすよー?」

「作戦会議? って、なんでお前、そんな元気なんだよ……」

「ああ、昨日は本当に悪かったね。今日はあんなことないと思うから」

「そんな簡単に収まるような呪いなのか?」

 盗賊、笑って左胸のところを見せる。

「うげっ! 呪印かよ!!」

「グロ!! しまってよ!!」

『はいはい! 呪印とは、まあ、呪いの模様のようなものですね! 今のは、直に傷をつけて描いています。はっきり言ってグロイデス! キモいです!!』

「失礼な! あ、そうそう。ご飯は部屋に持ってきてもらえるってさ。どうする?」

「今の見て食欲が……」

「俺、パス……」

「あたしも……」

「あ、っそ? 僕は元からいらないから、誰も食べない、でいい?」

 こくこく

「んじゃ、作戦会議行きますよー?」

「ああ」

「はいはい」

「スナイパーにも仕事あるかもだからヨロ」

「え、マジで!?」

「それで、なんで魔王様が必要なのかを詳しく説明してもらおうかぁ!!」

「はいはい。魔王が必要なのは、魔王様だから」

「それは昨日も言ってた」

「え、ホント? 記憶ないわぁ~。ま、それは置いておいて。えと、魔王ってね、いるだけでも魔物の動きが活発になったりするんだよ。そこは知ってる?」

「な!?」

「その反応、知らないのか。えーっと、魔王って存在自体が、魔物にとっちゃいい影響なワケ。だから魔王は人間にとってあんまり好きくない存在なのよ。だから人間さんは魔王を殺したがってるの」

「だが、魔王様は!!」

「今の代の魔王には、そういうシステムが欠如している。だからまったく害なし。だいたい、代々の魔王とは全く違うんだよ、あの魔王様は……」

「当たり前だぜ! 魔王様は寛大なお心と、お優しい慈悲の心が素晴らしいって評判なんだからな!! さすが魔王様!! 俺は……」

「ごめん。君に割いてる時間はないんだよ。てか、寛大すぎて魔界の人間嫌い、いわゆる非人間派には嫌われまくってんじゃん。なんだっけ? あの魔王のマニュフェスト?」

「俺が世界征服したあかつきには、政策を一つにして、戦争をなくします!! ってやつか?」

 魔王登場

「ま、魔王様!?」

「お、早いね?」

「連絡入ってすぐに来てやったぜ? 感謝しろよ?」

「わ、私もいるぞ!」

「あぁん! 勇者ぁぁぁん!!」

 ぎゅむっ

「よしよし」

「おい、勇者連れてきたの俺なんだからな? か、感謝しろよ?」

「勇者勇者♪」

「おー、盗賊、どうした?」よしよし

「もっとよしよししてぇ~」

「おーよしよし」

「きけぇ!!」

「え、なに?」

「?」

「ちょ、寂し! 俺のハートがブロークン!」

「え、そんなもろいの?」

「メタルのハート!」きらーん

「んじゃ、壊れんなよ! 鋼弱!!」

「ちょっと傷が……」

「そんなんじゃブロークンまでいかねぇよ!!」

 わいわいぎゃーぎゃー!!

「あー、盗賊?」

「だいたい、魔王様は魔王らしくなさすぎ! 普通憎まれるはずの人間にも結構好かれてるってドユコト!?」

「それが俺様クオリティー!」

「おかしいでしょ! ある意味呪われてんじゃない!?」

「好かれて何が悪いんだよ! 呪いだ? 上等だ! どんときやがれ!!」

「おかしいってのさ!!」

「盗賊! 話を聞け!!」

「何? ユシャちゃん?」

「なんで呼ばれたんだ?」

「あー、今から作戦会議するよん」

『かくかくしかじか、と説明。わかんない人は前回を読むといいですよっ(宣伝?)もちろん、勇者の隠しスキルには触れてません』

「なるほどな。それで? 俺ら連れて来てどうするつもりなんだ?」

「勇者は僕と一緒に行動してほしい。情報収集と、時間になったら被疑者どもを捕まえに行く」

「了解」

「魔王は、モーブ君と行動ね。魔王らしく、お偉方に威張ってきて」

「……ハ?」

「せやから、魔王らしく、威圧的にふるまってきてほしいねん」

「なんでいきなり関西弁なん?」

「ノってくれる魔王が好き」

「だろ?」

「じゃなくて……えと、お偉方に、魔王が復活したって、うーん、言い方が微妙かもしれないけど、ちゃんと“魔王”が来たって思わせたいの。……言ってることわかる?」

「んー、ラスボスっぽい、いわゆる“魔王”をやればいいってことか?」

「そうそう! そんな感じ! わかってるぅ!」

「了解。具体的には何すればいい?」

「横暴、理不尽、我がまま。最終的には、最悪! って気分にさせちゃって!!」

「おっしゃ、好き放題やればいいんだな?」

「もちっ。やっちゃっていっちゃってぇ!!」

「やったるぜぇぇ!!」

「おー!!」

「盛り上がってるとこ悪いんだが……」

「ちょっと待ってあたし! あたしの仕事は!?」

「あ、忘れてた」

「あたしは……」

「勇者はばれないようにこのマント羽織って行動ねっ。あとで面倒なことになったらヤだからさ!」

「お、おう……」

「盗賊!! 忘れないで!!」

「うるさいなー、冗談だろ? きゃんきゃん吠えないでよ」

「ん? いつになくわりとちゃんとした対応だな? どうした?」

「これでちゃんと!?」

「……さすがに良心が……」

「だったらもっと普通に扱え―!!」

「はいはい。スパちゃんはお偉方マーク」

「スパちゃん?」

「スナイパーちゃん。スパちゃん」

「この前スナちゃんだったよ?」

「いいじゃん。んで、お仕事は~、魔王に危害が加えられないように牽制。絶対に殺すな」

「殺すな? あたし一応暗殺者……」

「魔王も、殺すな。事情聴きだす。殺すのはその後でも」

 怖い笑い。

「ふっふっふっふっふ……」

「ストップストップ! 目が笑ってねぇから!!」

「あらそーお? ……気のせいよ☆」

「いっそすがすがしいほどの似非爽やかさだなぁおい!!」

「ま、そういうことで、解散!」

『作戦開始のようですよ?』


『スナイパーは高い時計塔の上。この辺の都にはどこでもあるそうですよ? じゃなくて、えっと、時計塔の上で銃を構えて待機中。魔王はいつもの服からきらびやかで豪華な衣装に。ちなみに盗賊プレゼンツ。モーブも同様。勇者は盗賊と一緒に観光客風に見回り中』

「あーあー。準備オーケー? どーぞー?」

「オーケーだ。行くぞ? いいか? どーぞー?」

「こっちもオッケーよ。いつでも撃ち抜けるわ。どーぞ!」

「撃ち抜くなよ? トアル国王が生きて連れて帰れとの仰せだ。……どーぞ」

「だが、魔王様が危ないと思ったらぶっ殺すからな! どーぞ!?」

「ああ、まあ、できる限り殺してほしくはないが。と、いうか、そんなにヤワじゃないだろ、魔王? どぞ」

「そりゃな! だって魔王様だかんな!」

「自信満々に言ってんじゃねーやい!!」

「んだと!?」

「ちょっと! 混線混線!! 一人一人話してくれないと耳が痛い!!」

「悪ぃ」

「ごめんごめん」

『現在の会話は盗賊&モブBが作った遠距離通信魔法道具です。服のところに高性能マイクを仕込み、耳に受信用の魔法を仕掛けて完成です。語尾にどーぞ、とつけることで、誰が話しているかよくわかり、魔力の消費も少なく、耳にも優しいという設計です。いやぁ、さすがモブBさんです!』

「僕も作ったんだけどなぁ?」

「だんだんお前の扱いも酷くなってきたな。どーぞw」

「ヒデェ……。うむ、改良は必要そうだから、帰ったらモブBさんと一緒に会議してもい? どーぞ」

「好きにしろ。んで、もう行くぞ。いいな? どーぞ」

「行け。堂々としててよね? どーぞ」

「魔王様なんだぜ? そのままでも堂々してるだろ!!」

「あー、モーブうるせぇ」

「ハッ! 申し訳ございません!!」

(俺なんてことを!! 魔王様に迷惑かけちまったぁぁぁぁ!!)

「あのさ、これさ、そう思えば、心の中まで反映される仕組みなのよ。作戦中は声出さなくてもいい感じで」

「なっ!?」

「自重なさい。もしくは切り替えちゃんとして。あ、それと、今少しいじって、どーぞいらなくしてみたから。話し終わったら、もういいや、って思って。混線も僕の魔力でカバーして、耳にも優しくするからさ」

「おい、だったら最初からなくそーぜ?」

「てへっ」

「よっしゃいきまーす」

「スルーが悲しいけど、今は気にしない! 頑張って!」

『魔王、お偉方に突撃』

「な、魔王様? こんな遠方まで、えと……」

 木のような妖精。

「最近嫌なうわさを聞いたのでな。自分の目で確かめに来た」

「嫌なうわさ、と申しますと……?」

「自分でもわかっているのではないか? 異常気象についてだ」

「だ、誰がそのような世迷言を……」

「ほう? 世迷言? 俺の言ったことを世迷言というのか?」

「ま、魔王様に言ったわけでは!」

「だが、それを信じたのは俺だ。お前は俺をバカにするのか?」

「ち、違いま……」

「ならば本当のことなのだな?」

「それも違います!」

「だったらなんだ! ええい、イライラする!! もういっそ殺してしまおうか? だったら話がはやくて助かるな」

「そ、そんな!! おかしいでしょう!!」

「俺にたてつくか?」

「違います!」

「さっきからそればっかりだな。まともなことは言えないのか? ああ、そんな口はいらんな。切り落としたら少しはすっきりするか?」

 魔法で剣を取り出す。

「!?」


「空気が動いたね……」

「そうなのか?」

「魔法ゼロの勇者にはわからないか……」

「……」イラァ

「ごめんごめん。んー、あっちの方が怪しいな」

「あ、ちょっと待て!」

「ゴーゴー勇者!」

(盗賊? きーてる?)

「ん? ナニー?」

(お偉方代表が、怪しくない)

「え、怪しくないの?」

(そうなの! 今のとこ、何の動きもなし! てか、代表しかいないんだけど?)

「ハ? お偉方、全員で五人のはずだぜ?」

(一人しかいないわよ?)

「五人、というと、樹と土と水と、キノコっぽいやつと、虫系妖精と聞いたのだが?」

「そうそう。その五人。誰がいるの?」

(樹!)

「他は、どこにいるか探せるか?」

(わかんない! 少なくともあの建物内にはいないわよ!)

「なんでもっと早く報告しない!?」

(だって魔王様が何にも言わなかったし……って、エェ!?)

「なんだ、どうした!?」

「スパちゃん!?」

(樹が変な動きを……ヤバ!!)

「オイ!? ……通信きれた! 勇者、残りの奴急いで探すよ!?」

「二手に分かれるぞ!」

「無理!!」

「え!?」

「一緒に行動しないと! バラバラにしたとこ狙われたら大変だもん!」

 真顔で嘘吐き。

「そ、そうか?」

「そうよ! てことで、行くよん!!」

「ほんとかよ!?」

「あ、魔王に連絡! マオちゃん! 中止中止! なんで一人しかいないって早く言わないのさ!」

(ハ? 五人いるだろ?)

「スパちゃん! ドユコト!?」

(ちょっと! 話しかけてこないでよ! 魔法使いづらいじゃない!)

「魔法? なんに使う気なの?」

(魔法銃! 牽制なんてよくわかんないから、魔法使う前に脅せばいいわよね?)

(魔法? 使ってないぞ?)

(ハ?)

(え?)

「何があったんだ!? 何が起きてる!?」

「……スナイパー! そこの空気全部吹き飛ばせるような魔法弾撃てるかい?」

(風系? ストックあったかな……)

「何でもいいけど、湿度下げたい」

(湿度? なんかよくわかんないけど、風系あったから、吹き飛ばすよ!?)

(魔王様! どこかに捕まったほうが?)

(大丈夫だ。問題ない)

(そうでしたか! ……俺魔王様にまた失礼なことをぉぉぉぉ!!)

「ちょ、ダダ漏れダダ漏れ……」

「あいつのテンションの差が半端じゃないな」

「そうね……」

(ハっ!?)

(スナイパー、うっちまーす!!)


 暴風。

 ひゅぐぉぉぉぉぉぉぉぉ!!

「うおっ!?」

「ま、魔王様!?」

「意外とつよ……ってか、俺らに配慮ってもんはないの!?」

(魔王だから大丈夫なんでしょ?)

(魔王、ダメなの?)

(魔王ならできる!)

「もっと俺様にも優しさを!!」

(((えぇー?)))

「うおぅい!!」

「だ、大丈夫ですか魔王様?」

「お前だけだよ、モーブぅ」しくしく

 風がやむ。

 目の前には一人だけ。

「な!?」

 魔王の目にはさっきまで五人いたように見えていた。

(たぶん、蜃気楼的な? 幻覚みたいなもんだよ。水蒸気で光を何チャラ~って感じ)

「……ほう?」

「くっ……」

「魔王様を謀って、ただと済むと思っているのか?」

「なぜ俺を騙した? 理由を言え」

(そうそう! 詳しく聞き出して! ってか、今だったら仲間の居場所吐かせてよ!!)

(ってか、なんであんまり動かなかったのよ! おかげで発見遅れたわ!!)

「お前は黙ってろ」

(酷い!! あたしの扱い酷い!!)

「今に始まったことじゃないだろ? スナイパー」

(そうだけど! 逆に腹立つな!!)

「何故? 何故なぜナゼ!! アハハハハハハッ!!」

 壊れる。

「バカか? バカだろう!?」

「魔王様に向かってなんて口を!!」

「モーブ下がれ」

「ですが!!」

「何がバカなんだ? 聞かせてもらおう?」

「あはっ! それはお前が魔王だからだ! そんなこともわからないで、バカじゃないのか!?」

「……」

「お前みたいな害悪は、滅ぶべきなのだ!!」

「なんだと!?」

「モーブ」

「しかし……」

「いいから」

(モブちゃん、話し進まないから堪えて堪えて)

「盗賊、お前まで!」

(三代前の行いが酷すぎたんだよ。彼の歳だと、ちょうど戦ったんだと思う。三代前は、魔王! って感じだったからん)

「……」

「人間どももお前を恐れて、苦しんでいるに違いない! だから、だから我らは集ったのだ!! あの方の下に!!」

「あの方?」

「そうだ、あの方だ! あの方は、お前から、魔王からこの世界を救ってくださるのだ!! 魔王とつるむ、腰抜け勇者などと違ってな!!」

「……言いたいことはそれだけか?」

「なんだと!?」

「言いたいことはそれだけか、と聞いている」

「このっ、腐れ外道が!!」

 風が巻き起こり、鋭い切れ味を持つ。

「はぁ、短絡で困るな。殺さなければいいんだな?」

(うん? 精神壊滅も困るけど……、あ、あと三分したらどうでもいいやっ)

「どうでもいい?」

(精神コピるから、本体が生きている必要ナッシング! 好きにしちゃっていーいよーん)

「だったら俺があいつ殺します。魔王様はそこで見ていてくだされば……」

「“火茨の捕縛術”」

 赤い色の茨が代表を締め上げる。

「何!?」

「これで魔法も使えねぇし。いいだろ?」

(お疲れーん。でもよかったの? 散々言われて、復讐しなくて?)

「俺は魔王らしくない魔王なんだろ? だったら、誰も殺さねぇよ。復讐はするけどな……」

(うん?)

「何処触って……ぎゃぁぁぁ!!」

(あー、どこかで聞いたような、想像できるから逆に怖いわー)

「お前はさっさと仕事しろ。俺はこいつで楽しんでやるかんな♪」

「た、楽しむ、だと……!? これ以上何を……」

「んー? これをこうして……」

「やぁぁめぇぇてぇぇぇぇえ」

(……りょ、了解したから、頑張って?)


「さ、勇者、行くよ!」

「お、おう……って、大丈夫なのか、あれ?」

「命に別状はない。拷問にもあったらしいけど、腹筋崩壊するくらいだからオケ」

「な、何が起きて……」

「知りたいの?」にっこり

「や、やめておこう……」

(あたしの仕事はもうなし?)

「スパちゃんは……、待機。なんかあったらフォローよろしく」

(はいはーい)

「で、どこ行くんだ?」

「ここって、他の世界への出入り口が何個もあるの。んで、今向かってるのは、隠れ里方面」

「隠れ里?」

「詳しいことはわかんないけど、そっちの方に気配が濃くなってる」

「そうか、だったら……」

「危ないっ!!」

 勇者を突き飛ばす盗賊。

「ちょっと! 勇者はレベル一なんだから気を付けてよね!」

「す、すまない……」

 勇者のいた場所がえぐれている。

「ここから先は行かせないーんです!」びしっ

 蝶の妖精。手のひらサイズ

「勇者、ザコ魔物とは違うんだから、注意してよ? 勇者のレベルじゃ、一発くらっただけでも死にかねないよ?」

「分かっている!」

『はいどーも、天の声です。相手の蝶々さんレベル三十六。攻撃力高め。防御低め。素早さ高めです! 対する勇者、すべてのゲージが蝶々さんの半分以下です!! 特に攻撃は十分の一にも満たないです!!』

「う、うるさい!!」

「あの方の邪魔は、させないんです!!」

 たくさんの光弾炸裂。

「特殊系、光属性、追加効果なし。勇者! どうする? 相手してたら絶対に間に合わないし、今もぎりぎり。しかも、勇者に勝ちめなし!!」

「最後を大声で言うな!! 私だってやるときゃやるぞ!!」

「そーお?」

「それに、敵は逃がしてくれなそうだぞ?」

「当たり前なんです!!」

「だったらお相手するしかないじゃないか!」

「あーもう! 勇者一人置いてなんていけないし……ごめん魔王様! 諦めた!」

(諦めんのかよ!! 早すぎね!?)

「そんなこと言ったって……」

「来るぞ!」

「“銀光纏いし蜂スピア”!!」

「どんな魔法やねん!!」

 蜂型の銀光が、十数個。

「勇者に防御効果付加! 右から三、左から一、下から四!!」

「了解した!」

「後は防ぎます!」

 勇者は細身の剣。盗賊は、何故か杖。

『盗賊さんは、ナイフ使いでは?』

「今は魔法使い!」

『え?』

「あ!!」

「やりました!! あたしの仕事は完遂なんです!!」

「盗賊!?」

「“火茨の捕縛術”!! ごめん、今気配がなくなった」

 魔王と同じ術で要請を捕縛後、勇者にそう告げる。

「そうか。すまない、私がもっとレベル高ければ……」

「え? 勇者はそのままじゃないと! レベルが高い勇者とかないわー!!」

「オイ!!」

「あははっ」

「とりあえず、先に進もうか」

「そうね。妖精ちゃんは……」

「嫌です嫌です! あなたたちと一緒になんていかないんです!」

「そう言われても……ここに置いておいたら回収されちゃうでしょ? それは困るから」

「違います違います! あたしは、あのお方のお傍にいるんです!!」

 妖精の姿が消える。

「あ、ちょっと!!」

「なんでだ!?」


 代表も消える。

「ハ!?」

「待てこら!!」


「勇者、いいよ、ほっとこ。先進む」

「いいのか?」

「探してもここにはいない。あの方、ってのが持って帰った。マオちゃんの方も?」

(ああ、気配そのものが消えた)

(何の動きもなかったはずなんだけど……)

「気にするな。まあ、そういうことだ。探す意味もなし」

『そうして勇者と盗賊は、たくさんの気配があった場所にたどり着く』

「……何もないな」

「そうね。……ん?」

 盗賊、何かを発見。

「どうした?」

「これは、キノコの胞子……?」

「それが?」

「うーん、キノコ妖精の胞子だ。確か、キノコの里限定?」

「そこが根城、ということか」

「分かんないけど、確率高め」

「そうか」

(お前、精神コピーとかいうのはどうなった?)

「コピったけど、暗号化が強い。解読するのにも時間がかかる。あの方、っての、強敵っぽいね……」

「くそ」

(ちっ)


『こうして、収穫がほとんどないまま、この騒動は幕を閉じたのでした……』


「魔王……こんなに早く来るなんて。あの方がいなかったらあたし……」

「気にしちゃダメやで~」

「え、えんじぇる様!! 助けていただき、とても感謝してるんです!!」

「そーかそーか。どっちにしても勝つのはわしらなんや。どんとかまえてたらえぇねんで~」

「は、ハイ! そうなんです!!」

「あー、もー、疲れたわー。これ明日筋肉痛やわ~つらいわ~」

『今回の黒幕らしきこの、えんじぇる様。いったい何者なのでしょうか……?』


『ま、というわけで、なにやらファンタジー! な感じの今回、終わっていきます。きっとまた会う時が、戦う時が来るであろうあの方、えんじぇる様ですが、今のところ出番は遠いです! ネタがなくなったころに投入です! はっきり言って、この人が出てくると面倒そうだからです!! でも、ちょっとシリアス風に、冒険もの風になるので、こういうのはちゃんとやりたいと思っております! 以上、『魔王勇者召集』でした!! まったね~!!』

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