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魔国の日常  作者: 盗賊
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盗賊さん暴走過多。(すみませんっ、やりすぎましたっ)

「モブA、行くぞ!!」ババンッ

「は、ちょ、え? どこに!?」

「いいから行くの! マオちゃんのためにもなるさ!!」

「おっしゃ分かった。行くぞ!!」

「おうともよっ!!」

「あれ? 盗賊じゃん。何してんの?」

「ちょうどいいや。お前もどうせ暇だろ? 一緒にきやがれ」

「ハ? え、ちょぉ!!」

『またもや盗賊さんが引っ掻き回していきますねぇ。と、いう感じで幕を開けました、この話。いやぁ、なんか、盗賊さん、二回ぶりですね』

「そうですねっ!!」

『今回は何をしでかすので?』

「しでかす前提なんですねっ。僕はそんなに悪い子じゃありませんよっ! ってことで始まり始まりぃ!!」

『なんか、テンション高くないですかって……エェ!? 勝手にはじめないでくださっ……!!』ブツッ


 炎天下の日差しの下、金色の砂漠と太陽。

『……そう、砂漠。あ、ちなみに魔界の方です』

「あ、あづ……い……」

 スナイパー、日よけの黒マントに、中の服はチューブトップにホットパンツ。自慢のピンクウサ耳は暑さにへばっている。

『死にかけてますねぇ』

「うる、さい……」

「頑張れ。もうすぐのはずだから」

 盗賊、最近のお気に入り、白のアオザイ、白銀ストレートのポニーテール。かなり長いのだが、ウサ耳のようにへばってはいない。日よけもなし、堪えている様子もなし。男バージョン

『白い肌が病人みたいですねっ。異様です!』

「黙れや」

「大丈夫か? ほんとにどうにかなりそうだったら言えよ? おんぶ位はしてやれるからな? ……って、べ、別に心配とかじゃねぇからな!!」

 モブA、魔王城側近としての支給品の服。さすがに上着は脱いで暑そうだが、死にかけたりなんてしなさそうだ。

『ツンデレですね。わかります』

「黙れ」

「な、なんであんたら、そんな、普通なのよ……」死にかけ。

「ん? 俺は暑さにそこそこ耐性があるからな。もともと夏はこれくらいの暑さのとこに住んでたしな」

「あ、そう……。で、なんであんたはそんな普通なのよぉ?」

「ん? 私はまだいけますよ?」

「……」

「……あいつは異常だ」

『謎の人ですしね』

「そうね」

 音符マークが出てそうな盗賊。真逆のモブAとスナイパー。

「なんであたし、いきなりこんなところに連れてこられた上に、こんな拷問……?」

「拷問じゃないですし!」

「焼け死ぬぅぅ」

「大丈夫だって。水分ちゃんととってよね?」

「これで日焼けして真っ黒になって、将来シミとかほくろとかで悩んだらお前のせいだ……」

「そんだけ長文しゃべれるなら大丈夫だよね? それに、そうならないように盗賊さん特製の日焼け止めあげたジャン。焼けないよ? 品質保証はばっちりさ!」

「……」

「いや、ガチでよ?」

『ええ。ガチです。さりげなく特許とかとって商売しているあたりにそこはかとなくイラッときます』

「え? なんて?」にっこり

『いえいえ、なんでも……』

「それは、まあ、置いておくとして。なんで俺ら連れてこられたんだ?」

『確かに誘拐同然に行くぞ! おしっ! くらいの勢いでここまで来ましたよね』

「必要だから」

「その要件を言え。俺だって暇じゃないんだぞ! 魔王様にお仕えするという大事な大事な仕事がだなぁ!!」

「うーん、正確に言えば、そのうち魔王に不利益が降りかからないようにするかもしれないための、仕事?」

「なんだと!? そんなあいまいな!!」

「でも、たぶん必要。でもま、正直言っちゃうとさ、今現在では人間の王からの依頼」

「嘘ついたの!? あたし、人間にそんなことする義理も理由もないわ!!」

「そうだそうだ!」

「お、なんか今のモブっぽかったね。じゃなくて、違うよ。えーっと、最初から説明するけど……最近異常気象あったじゃない? あれ、この辺の種族が絡んでるらしいって調査結果」

「調査?」

「ま、私のね。それも依頼されてやったんだけど、結果、なーんか雲行き怪しくなってぇ……」

「それであたしたち!?」

「いや、正確にはモーブを借りようと思ってね? でもお前もひまそうじゃん? あ、じゃあ、ついでになんか使えるかもわからんからつれてこおもてなー?」

「雑! あたしの扱い雑!!」

「ああ、それはいいとしてね?」

「よくないし!!」

「ま、ともかく、よ。どうもその種族、またそんなことやりそうじゃん? ってなって、だったら、この際手出しできないようにちょっと釘刺してきまひょ? かーらーのー、お前らや!!」

「「ハ?」」

「あ、ミス。からの、モーブ君や!!」

「ちょ、あたしー!!」

「モーブ君は魔王領代表ってとこかな? ちなみに僕は中立視点から言わせてもらうことにしたから」

「人間の飼い犬のくせにか?」

「あははっ、言うねぇ? でもね、それ間違い。……私は勇者についているのであって、はっきり言って、人間なんざ死のうが生きようがどうでもいい」

 前半は明るく、後半は殺気さえこめて

「……」

「ま、アワアワしてるの見てると楽しーし、そこそこ世話にもなってるからちょっとくらい働いてやってもいいかなーとは思ってるけどねっ」

「……なんで魔王様がお前みたいなやつと一緒にいるかが理解できねぇ。お前は危険だ」

「よく言われるぅ。でもね? 楽しは生きる意味だよ? わざわざ僕が、楽しを消すことなんてしないもんっ」

「……お前、人間だろう?」

「分かんない。……なーんちゃって?」

「……やっぱりお前は危険だ! 魔王様のため、ここでお前を排除してやるぜぇ!!」

 手からかたくて鋭い爪が伸びる。

『ここでまさかの、盗賊VSモブAですと!?』

「ぐるるるるるっ」

「きゃっこわーい。盗賊ちゃん悪い子じゃないのにー」

「がるぅっ!!」

 爪を大振り。盗賊ひらりとかわす。×十五回ほど……

「はぁはぁ……」

「暑いのによくやるねぇ」

「うぅぅ!!」

『イラッとくる態度で、これまたイラッとくるほどに息が上がってすらいません。腹立ちますねっ』

「なれーさーん。これ幻聴かなぁ? 手元のナイフが滑りそうでねぇ?」

『幻聴じゃないですか? 私には聞こえませんでした』

「あら、そーお? じゃ、ナイフはしまっとくね」

『そうしてください』

「ってか、さ、スナちゃん」

「スナちゃん? スナイパーちゃん?」

「そーそー。……なんでそんな傍観決め込んでんの?」

「当たり前じゃない。だってあたしスナイパーよ? もともと遠距離専門。ついでにいえば、なんで関わんないといけないの? 無駄体力」

「……ごもっとも」

「うーん、そろそろやめよ? モーブ君?」

「……そうだな」

(これでも側近連中の中じゃ俺が一番近距離戦強いはずなのに!! 魔王様、申し訳ございません!! 俺は、俺は……無力でしたぁ!! 無念ですっっっ)

「な、なんか、心、荒れてる?」

「気にしない方がいいわよ」

「さすがにあの城に住んでるだけあって、慣れた?」

「ま、そうね」

「……」

「……」

 無言の居心地の悪い沈黙。

「あ、そろそろついてもいいはずだよ」

 前方にオアシス。

「……ああ、とうとう幻覚が……」

「本物本物」

「違うだろ、スナイパー、蜃気楼っていうんだぜぇ」

「だから本物だってば」

「「本物……」」

「「本物!?」」

 二人で一斉に駆け出す。

「うひゃぅ!! 水だぁぁあ!!」

「きもちぃぃ!!」

 モブA、オオカミの姿になって駆け出す。

 スナイパー、マントを脱いで飛び込む。

「キャッキャと楽しそうで何より」

「水、水よ!!」

「わぉーん!!」

「モーブ君は犬かや?」

「犬じゃねぇ! 狼だぜぇ!!」

「かわいいな。ほーれほれほれ」

「だから犬じゃねぇって!!」

 ほのぼの。仲直り?

「さ、一息ついたかい?」

「あー、疲れたぁ」

「楽しかったぜぇ!!」

「んじゃ、行くよ?」

「はーい」

「おう」

 と言っても動かない盗賊。よく見ると何か唱えている。

「何してんの?」

「んじゃ、行きますよ? 続いてきてくださいねー」

「はーい?」

「せーのっ」

 どぼん

「今上がったのに!?」

「そういう魔法だ! お前魔王領に住んでんだからこういうのには慣れろ!」どぼん

「わ、分かったわよ! 行けばいいんでしょ!!」ばしゃんっ


『オアシスの泉の中は……』

「わぁ! きれい! 海の中みたい!!」

「海の中って……いったことあんの?」

「ないけど、ぽくない!?」

「まあ、そうかもね」

「涼しいし、気持ちいい!!」

『幻想的な青と翠の世界。蛍のような小さな光が舞う、まさに幻想郷』

「ここは妖精の国ってところ。あ、精霊と妖精はまた別モノらしいから、あしからず」

「あ? そんな線引きないって聞いたぞ!?」

「いろいろあるのさ。めんどうだよね。さぁ、ともかく、お偉方にお話を聞きに行くよ!」

『聞きに言った結果』

「あなた方が異常気象を故意に起こした、という情報が入りました。詳しい話をお聞きしたいのですが」

「ハ? 何を言ってるのだね? そんなものは知らん! 帰ってくれ!」

『ま、こうなりますよね……』

「なんで正面突破なんだ! もっと変化球あるだろ!?」

「ん? ないよ」

「ないの!?」

「仕掛けるのは、今から。どうせ何言っても無理なら直球勝負!」

「……どうすんだよ」

「ナニ? 乗り気?」

「ちげぇし!! 別に、お前を信頼して作戦待ちとかじゃねぇからな!! って、何言ってんだ俺!?」

「……ま、まあ、やってくれるのなら、助かる」

「ハッ!! あ、ああ。何すればいいんだ?」

「とりあえず、情報収集だね。君は南からやってくれ。私は北の方から」

「了解!」

「あたしはー?」

「スナちゃんは好きにしてもいいけど、中心には近づかないこと。んで、ホテルはそこね」

「ホテル……」

「お土産買うのもいいんじゃない? ここの細工品は一級だって雑誌に載ってたし」

「雑誌……携帯もあるし、え、ここ何?」

「大人のジジョ~。ま、そういうこと。あ、これ俺の携帯番号ね。モーブ君は?」

「持ってない」

「おけ。んじゃ、この水晶を差し上げよう。連絡用ね。魔力こめればオケ」

「わかったぜ」

「んじゃ、各自解散」

『こうして情報収集の始まり始まり』

『とか言いましてもね、その動向を一々書くのもあれなんで、かつあーい』

『さ、夜になりました。スナイパーは部屋待機中です。二人はまだ帰ってません』

「遅いなー」

『部屋は寝室三部屋、すべてに通じる真ん中に居間があるタイプの部屋です。これは、お高かったでしょうねっ』

「どうでもいいこと言ってんな……」

『……酷いですぅ』

「……」

『あ、無視ですか? スルーよりも傷つきますっ』

「はぁ……」

『ため息ですねっ。これもきついです!!』

「いちいち反応すんのやめたら?」

『あ、ちなみに今スナイパーさんは居間の大きなソファーに寝そべっておいでです』

「何情報?」

『さぁ? ……って、もがっ』

「え、何!? ナレーター!?」

 ……

「ナニ? なんなのよ!!」

「どうしました?」

「あ、盗賊! なんかナレーターが……え?」

 スナイパーの上に乗りかかって、ソファーに押し倒す盗賊。両手を片手で、頭の上に固定。

「ちょ、何よ! また!?」

「ええ。またですよ」にこっ

「んなぁ!?」

「やぁ、楽しいですね」

「楽しくない!! 誰か助けてー!!」

「誰も来ませんよ。この前もなんだかんだ言ってナレーターにちょうどいいところで止められましたしね。今回は縛って川に流してきましたよ?」

「お前!!」

「モーブは南の端。ここは北側。簡単にはこれませんしねぇ?」

「サイテー!!」

「どうとでもおっしゃい」

 スナイパーの髪に顔をうずめて、耳に吐息吹きかけ。

「ぴゃ!?」

「……この前は十五禁ぐらいでしたからね、今度は十八禁くらいいってみます?」

「いかないし!! 勝手に一人で逝って来い!!」

「……あ、あれ? 字が……」

「当たり前だ!!」

「あ、当たり前なんですね? 気のせいだ、じゃなくて、当たり前なんですね!?」

「放せー!!」

「嫌ですよ。……もっと抵抗してくれないと、どうもできませんよ?」

「だったら腕自由にしろ!!」

「お断りです。……では」

「止めろやぼけぇ!!」

 首筋をなめた。

「ぴぃぃぃ!!」

「いただきま……」

「何してる!!」バンッ

 モブA登場!

 盗賊を引っぺがしてスナイパーを助ける。

「何するんです? お楽しみでしたのに……」

「いやがってただろ!!」

「そうですね。そこもいいのでは?」

「このっ!!」

 跳びかかってきたモブA。盗賊はナイフを投げて応戦。からの、モブA後ろに回り込んで首筋に手刀。崩れ落ちる盗賊。

『動きませんね。まるで屍のように?』

「まったく……大丈夫か?」

「ありがと! 助かった!!」

「べ、別にお前を助けようとしてわざわざ反対側から全力ダッシュできたわけじゃないんだからな!! 偶然、そう、偶然だ!!」

「そうなの?」

「そうだぜ!!」

「……」

『照れ屋でツンデレ。なんとも……』

「つんでれ、が何かは知らないが、腹立つからやめろ!!」

『知らないのならいいでしょう?』

「なんか腹立つ!」

「でも、助かった。なんか、ヒーローとか、王子様みたいだったわ。本当にありがとう」

「/////」

「なに気絶してる人を放置してイチャコラしてくれちゃってんですか?」

「「⁉」」

 盗賊、目を覚ます。

「別に、もう暴れませんよ……」

 頭が痛そうに手を当てる。

「すみません。暴走しすぎたようですね……」

「ほんとよ!! サイテー!!」

「申し訳ありません。……っ」

 顔をゆがめる。

「な、何よ……」

「いえ……」

 自分の腕を大きく噛む。

「何してんの!?」

「血がたりないんですよ。……吸血衝動? 自分の血でも少しはおさまります」

「……」

「このたびは、本当にご迷惑をかけました」

「べ、別に。助けてもらったし……」

「すみません」

「お前、吸血鬼なのか?」

「違いますけど」

「それなのに血?」

「何と言いましょうかねぇ? 呪いの効果とでも言っていただければわかりやすいです?」

「呪い? ……わかんねぇが、わかった」

「意味がわかりません」

「飲め」

 腕まくりして素肌をさらす。

「ハ?」

「お前にまた暴走されると困る。しかも今はほとんど自我あっただろう?」

「……」

「ちゃんと聞こえてた。俺は耳がいいが、お前の水晶からも声漏れてたぜ?」

「……」

「ほら、飲め」

「うっ」

 盗賊のナイフを拾って腕を傷つける。

「……もう、どうなっても知りませんからね?」ペロッ

「なるべく早く、痛くなくしてくれると助かる……」

「……」ちゅぅぅ

『まったく、この人は……自我があるのに襲いますかね? 普通?』

「面目ない」

 治癒。

「若い女性の血は魅力的過ぎて! 自我があっても堪えきれなかったんだ!!」

「うわぁ……」

「ほんと、マジで反省してます!!」土下座

『それで? なんで呪いがいきなり暴走するんです?』

「ああ。もともと勇者に抑えてもらっていたんだが……」

「勇者? あのレベル一?」

「そうだ。そうだが、レベル一でも勇者なんだ」

『はい? 意味が……』

「勇者の隠しスキルだ。詳しいことはちゃんと調べることもできないし、本人も知らないだろうけど、私の呪いの効果がかなり薄まった」

「な!?」

「あたしよりもレベル低いのに、うーん、腐っても勇者ってコト?」

「ま、そういうことだね。ああ、くれぐれもここだけの秘密で。勇者に知られたくない」

「……カシ一つね」

「助かる」

「だが、勇者から離れるとここまでになるなら、対策位たてられんだろう?」

「罠。うっかりはまってしまったよ」

「ハ?」

「……ここは、魔王様と勇者にご足労願った方がいいかもしれないねぇ。そっちの方が面白そうだしっ」

『はい。というわけで、今回はここまで。微妙にシリアス感で続いてしまうのでしたっ』

「え!?」

「マジで!?」

「はーいぃ。続いちゃうんですからね!」

『「まったね~」』

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