聖・バレンタインデー
ナ『貴方方は知っているだろうか。今日が何の日であるかを……』
『女子は何日も前から準備をし、当日は念入りに身だしなみを整え、意中の男性に想いとチョコを届ける日。
もしくは友達同士で、仕事仲間で、チョコを交換、渡したりして、交流を深める日』
『男子は当日、そわそわし、「え、お前チョコ何個もらったー?」「ふっ、俺は毎年くれるファンがいるからな……他からはもらわないようにしているんだ」「それお前のかーちゃんだろ? もらわない、じゃなくて、もらえないんだろー?www」「……う、うっせ!!///」といったことがあるかもしれない日。
もしくは、リア充を満喫するやつがいるかもしれない日……けっ!』
『そう、今日はバレンタインデー。何があるかわからない、リア充には愛を確かめられるから幸福かもしれない日。そんなものに縁がないやつにとっては、地獄な日……。さて、魔国にもそんな日がやってきた……』
魔王城・執務室
魔「……」
……
魔「……俺にも、ちょこ……」
ナ『……あれ? 誰にももらってないんですか?』
魔「……」にじみ出る黒いオーラ
ナ『おっと寒気……』
数分後
騎「へーかっ」
ビ「書類お持ちしました」
魔「鬼ぃ! 悪魔! ヒトでなし!!」
ビ「鬼で結構」
騎「俺半分くらい人間ですからぁ」
魔「……こんな日まで仕事(泣」
ビ「いつものことでしょう?」
騎「まだ戦争の後片付けがたぁくさん残ってますからねぇ?」
魔「(泣」
さらに数分後
モ「魔王様! 今日ってなんの日なんでしょうか!?」
両手に紙袋、その中にあふれんばかりの、可愛くラッピングされた包みの数々……。
モ「侍女さんたちがこんなにチョコ……どうすれば!?」
魔「モーブ、今ばっかりはモーブにすこぉしイラッときたぞ」
モ「っ!? す、すみませ……っ!!」
魔「冗談だ冗談!! 泣くな!!」
モ「な、ないて、なんか……いませんよ!?」
ビ「モーブ、魔王様の御前ですよ、自重なさい」
モ「す、すみません……」しゅん……
魔「そんな怒んなよ! 冗談だから!!」
騎「あれぇ? もしかして魔王様、チョコもらってないとかぁ?」
魔「……」
騎「あははっ」
魔「どういう笑いだこら? あ?」
バダンッ!!
魔「ドアぁぁああああ!?」
ナ『あ、なんか久しぶり……』
盗「やほやほマオマオハピハピっばれんたいぃん?」
盗賊、モーブと同じ状況の紙袋一つ持っている。フード付のジレに、白いシャツ、カーキのズボン、黒い編み上げブーツ、ストレートポニテ男ver
魔「……」
盗「おや? ハッピーでない、と?」
魔「その紙袋なんだ?」
盗「これは通りがかりのカワイ子ちゃんたちにもらったやつ」
魔「……」
盗「そんな怖い目で見ないでよ……最近遊んでなかったから、去年よりかなり少ないんだから……」
魔「何個だ?」
盗「え?」
魔「な・ん・こ・だ?」
盗「全部で……な、七十四……?」
魔「……」にじみ出るどす黒いオーラ
騎「え? だったら俺のが多い~♪」
盗「あ?」
騎「俺八十一個」
魔&盗「……」あふれ出る暗黒のオーラ
魔「いや、お前だってたくさんもらってんだからいいだろ!!」
盗「この腹黒に、負けるとか、プライドが許せねぇぇええええ!! 顔だけなのにっ、外面いいだけなのにぃぃいいいいい!!」
魔「それにはすげぇ同意するけどぉぉぉぉおおおお!!」
モ(……たぶん百個以上ある……いっぱいあったらだめなのか!?)
騎「腹黒とか、外面だけいいとか酷くなぁい? へーかも同意しないでくださーい。それに、これでもほとんど断ったんだよ? 盗賊さんのために?」
盗「俺のため? 意味わからんな。いや、それよりも断っただと? ふざけんなよ? そのチョコ渡すためにどんだけ勇気いるかわかってんのか? 本当に好きだったら死ぬほど勇気いっただろうなー」
騎「え、えぇー……」
魔「……」
魔王、騎Cに肩ポンポン。
騎「え?」
魔「……ぷくくくくw どんまいwww」ぐー
騎「……」
無言の応酬。
盗「あ、はい、騎Cにチョコ。あの幻と言われるようなどぎつい酒入りボンボン」ひょいっ
魔「ずりー!! 俺にも幻じゃない普通の酒入りぼんb」
騎「あ、ありがとぉ~。でも、女バージョンでかわいく渡してほしいかなぁ?」
魔「え、スルー!?」
盗「え、やだ、めんど。てか、普通に喜んでんなよ……食べ過ぎ、死ぬぞ?」
騎「えー? 普通においしいからいいじゃん? それから、そこまで含めてのお願い、だからねぇ?」
盗「えぇー」
騎「賭けで勝ったしぃ~、それに……ね?」魔王をちら見
盗「!! ……」にやぁ
騎「……」にこぉ
魔「おい、何企んでやがんだ?」
ナ『完全に魔王に見せつける作戦でしたねっ』
魔「解説されなくともわかっとるわボケぇ!!」
盗「あー、でも、シチュ思いつかねぇ」
魔「聞けよ、おい」
盗「とりあえず女バージョンに……」
髪の上半分をウサ耳のように結ぶ感じに。服はうっすいピンクの控え目ロリータ。
騎「わー、盗賊さんでもそんなかっこするんだねぇ」
盗「かわいい、で、これしか思いつかんかった……」
魔「いや、もっといろいろあるだろ」
盗「んー……だめだ、スナイパーしか思いつかない……」
騎&魔「……」
盗「えーっと、そうだな……騎士様、ずっと前からお慕い申し上げておりました!!♡ とか?」
魔「キャラと言動があってない」
盗「なんで魔王がダメだしするんだ」
魔「そういうのはもっと心こめてだなぁ!!」
盗「だー、めんどくさい!! 騎C、賭けにまけたから作ってあげただけなんだからね!」びしぃっ
魔「ツンデレ!?」
騎「そ、そーくるぅー!?」
盗「はい、イベント終了!!」
黒いローブ……初期設定の服。
盗「で、モーブには手作りじゃなくて悪いんだけど、これを」
正方形の、黒地に金の模様の箱を取り出して渡す。
モ「あ、これは……!!」
盗「ふふふっ、北の幻の黒艶堂の、一年の、二月に、五つしか販売されない、限定チョコレートだっ!!」
モ「あの、あの……!?」
盗「そうだ!!」
モ「マジか!! 嬉しい!! ありがとう盗賊!!」
盗「えへへぇ~///」でれっ
騎「ねぇ、なんなのそのチョコぉ?」黒笑顔
モ「ウワ~!!♪」耳ひょここひょこ尻尾ぱしぱし
ナ『モーブはチョコに気を取られていて聞いてません!!』
盗「あー? 確かセレスト侯爵領にあったはずだけどな? 黒艶堂」
騎「え」
モ「あ、でも、どうしてこんなのくれるんだ?」
盗「バレンタインデーだよ?」
モ「バレンタイン?」
盗「うーん、そうだねぇ、二月十四日は女の子が好きな人にチョコを渡したりする日だよ。でも最近は友達とかにあげて交流を深めたり、親とか上司とか後輩とかにありがとう、の気持ちを届けるものも多いみたいよ?」
騎「でもぉ、俺のはもちろん本命だよね? とーぞくさーん?」
盗「ハ? 何言ってんの? イミワカンナイ」
騎「えぇー」
盗「あ、そっか、確かにお前の八十四個は愛が込められてる本命チョコだろうな。顔だけなのに、騙される女性は可愛そうだ」
騎「……そっちじゃないよぉ、ぶーぶー」
モ「そっか! じゃぁ、これは仲良くなるための物なんだな!!」きらきらきらきら
騎「……ねぇ、あの紙袋の中、たぶん本命チョコじゃない? ほとんど?」
盗「俺もそう思う……」
魔「……モーブに教えるか?」
盗「……理解できるのかや?」
魔&騎「……さ、さぁ……?」
盗「教えん方がよかと思うけどねぇ」
魔「そうだな……」
モ「あ、お返しとかどうすればいいんだ?」
盗「来月の同じ日にお返しするといいよ?」
モ「そっか! それもチョコの方がいいのか?」
盗「んー、さぁ、気持ちがこもっていれば何でもいいと思うけど」
ビ「だいたいチョコを渡すのは現実世界のニホン、というところだけですからね。それも製菓会社のおもわ……」
魔「わーわー!! それは言うな!!」
盗「そうだよ! 世間の女子の気持ち的にそれはだめ!!」
ビ「……」
騎「それよりぃ、ビィさんいたんですかぁ?」
ナ『いつの間にか消えてましたよね……?』
ビ「盗賊が来てから出て、さっき戻ってきました。魔王様に追加の書類を届けに」
魔「はぁ!? まだあんのかよ!?」
ビ「ええ、もう少し。頑張ってください」どささっ
魔「――――!!」声にならない悲鳴
盗「あ、そだそだ。はーい、ビィさんにも」
ビ「私にも? ありがとうございます」
魔「……ビィは何個もらった?」
ナ『現実逃避気味に聞いております魔王……哀れ……』
魔「……」
ビ「これが初めてですよ」
魔「嘘つけ!!」
騎「ビィさん、女性から苦手にされているようで、あんまり近寄られないんですよぉ」ひそひそ
ビ「うるさいですね」
騎「あ、気にしてましたぁ?」
ビ「……別に」
モ「でも、この前物陰でひっそり先輩のことカッコイーとか言ってみてる侍女さんいたぞ?」ひそそ
騎「それはまた別ぅ」
盗「あのオトナな魅力って感じだよねぇ。カッコイーけど、近づきがたい……みたいな?」
ナ『あー、すっごくよくわかります!! 近くで見るより、遠くで想いを募らせる感じですね!』
盗「あ、分かる? 実際あの魅力はんぱねっす!」
ナ『ねぇー!!』
騎「へぇ? 盗賊さんはビィさんみたいな人がタイプなのぉ……?」黒爽笑
盗「あ、あれぇ!? てか、砂とユシャちゃんまだ来ないねっ!! 僕全部配り終わっちゃったのに……」
騎「ねぇ盗賊s……」
魔「まてまてまてまて!! 俺には!?」
盗「え、無いよー?」
騎「……」むすっ
魔「なんで!? チョコ!!」
盗「あー、二人迎え行ってくるねー」
魔「待てよこらぁぁぁあああ!!」
ビ「私も失礼しますね」
モ「あ、俺お茶用意してきます」
騎「んじゃ、俺はここでまったりしてますぅ」
魔「お前はどっか行け! ビィはもうくんな!!」
ビ「書類持ってまたお邪魔しますね」
魔「くんなぁぁぁぁぁあああああ!!」
魔王城・廊下
ス「あ! モーブ!! あ、ちゃんとスナイパーのスになってる……」
ナ『ちゃんとしましたよー?』
モ「スナイパー? 盗賊が探してたぞ?」
ス「あたしはあんたを探してたのよ!」
モ「俺?」
ス「はいチョコ!!」
ハートの箱に、ピンクのリボン。
ス「……いつも(まともに対応してくれて)ありがとう!!/// じゃぁね!!」
ナ『カッコ内切実!!』
モ「え!? あ、ありがとう!?」
ナ『微妙な甘酸っぱさ……かっこがなければ……』
魔王城・執務室
勇「やっと着いた……」
魔「なんで何回もきてんのに時々迷うんだよ」
勇「時々配置かわるからだろ!!」
ス「そりゃ仕方ないわよねー」
騎「えんじぇるのこともあって、ちゃんと定期的に入れ替わるようになったしさぁ」
盗「今度から一緒に来ようね、勇者……」
勇「うぅー!!」
盗「砂チョコ配ったー?」
ナ『砂チョコ……じゃりじゃりしてそうですね……』
魔「ぶはっ!!www」
ス「いらないこと言わないでよ!! 砂じゃないし! 配ったわよ!」
魔「俺には!?」
ス「え、無いけど?」
魔「なんで俺だけ!?」
騎「俺ももらってないよぉ?」
ス「なんであたしがあんたにあげなくちゃいけないのよ」
騎「ふぅ~ん?」黒笑
ス「わ、分かったわよ! あまりものでよかったらあげるわよ!!」
騎「わーい」
魔「俺には!?」
ス「あ、ごめん、あれで最後だわ~」
魔「……」
勇「わ、私のでよかったら、あるぞ?」
魔「ホントか!?」きらきらきらきらきらきらきらきら!!
勇「ほ、ほら、どうぞ……」
勇者、そっぽ向きながら、ぶっきらぼうに、箱を差し出す。
魔「ありがとう!! すっげぇ嬉しい!!」
勇「……///」
ナ『おやぁ? 勇者赤いですねぇ』
盗「それにいつもより対応がドラーイじゃありませぇ~ん?」
ス「それにあたしたちに配ったやつよりラッピングこってなーい?」
騎「それに」モ「魔王様! 紅茶の準備が……」騎「モーブ……」
モ「え? なんか駄目だったか!?」
勇「いや、ナイスタイミングだ!!」
モ「え、え!?」
勇「そんなモーブにはこれをやろう!」
ロリポップ型のウサギチョコ。
モ「あ、ありがとう?」
勇「あ、魔王、ホワイトデーは倍返しでな!」
魔「エェ!?」
勇「他からもらえなかったんだから、私にその分かけてもばちは当たらないだろ!?」
盗「え、それずるい!」
ス「じゃぁ、あたしもあるわよ!」
手に箱や袋を乗せて魔王に差し出す二人。
魔「お前ら……なんなんだよ!!」
騎「ねぇ、勇者、俺には~?」
勇「あ、剣の稽古、付き合ってくれてありがとうチョコだ」
騎「よしよし、よくできましたぁ」
勇「私は子供か!!」
ナ『二人とも、ビィさんには?』
ス&勇「モーブ、あとで渡しておいてくれない(か)?」
モ「え、あ、ああ、分かった!」
勇&ス「……ほっ」
ナ『みなさん苦手なんですね、ビィさんのこと……オトナの魅力を分からないとは、まだまだおこちゃまですね!!』
勇&砂「誰がお子ちゃまだ(よ)!!」
ナ『はい、締めまぁぁぁぁああああす!!』
ナ『と、いう感じで過ぎていくバレンタインデーでしたとさ……』
ちゃんちゃん
おまけ
デ「あぁ、魔王様……」
ナ『でぃ、ディーナさん? そこで何を?』
柱の陰。
デ「チョコレートならわたくしが……あぁ、そんな厚かましい真似は……ッ!!」
ナ『……き、聞こえてませんねー?』
デ「あぁ、いえ、ですが……甘いものがお好きなら……あぁ、そう言えばわたくしの種族の血は甘露だとか……」
ナ『あー、これまずいパターンの奴じゃないですか?』
デ「わたくしの血を混ぜ込んだお菓子など……ですが魔王様に食されるのでしたらわたくしは……ッ!!」
ナ『おまけ終了でーす!! いろいろ魔王乙様ですぅぅうううう!!』




