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答えはノーだった。
友達との約束があるって。
それを聞いた途端、本当に悲しくなった。
約束があるのは仕方がない。
でも、彼女が誘ってるんだから、少しくらい迷ってもいいのに。
亮は迷いなくそう言った。
それが悔しかった。
そして公園に来て、泣いていた。
いつの頃からか泣き癖がついてしまったあたしは、悲しいことや辛いことがあると、いつもここに来ていた。
なぜか、この公園はとても落ち着くから。
「…っ、亮のバカッ」
あたしは、無意識のうちに呟いていた。
誰かに聞かれているとも知らずに。
「お嬢さーん。何か悲しいことでもあったんですかー?」
ビクッ
急に声を掛けられた。
あたしは極力前を見ずに、俯いたまま無視した。
声からして、若い男のヒト。
顔を見てないからわからないけど、たぶん、冷やかしだ。
「お嬢さーん?」
「………」
「無視ですか」
「………」
「………」
「………」
「波瑠」
えっ!?




