9-12
「俺たち今日から付き合うことになったから。
よろしく、お兄さま」
ピースまでして言う隼人さんを見て、お兄ちゃんは手に持っていたものを落とした。
さっきあたしを抱きしめていたせいでクシャクシャになった……プリント…?
「ただいま〜って、あら爽太、帰ってたの」
タイミングよく帰ってくるお母さん。
「母さん!!
波瑠が!!
俺の大事な波瑠がぁ!!」
お母さんにすがるお兄ちゃん。
「まぁ。
ついに隼人くんとくっついたの?」
空気の読めないお母さん。
そして、
「ぎゃあああ!!
俺の波瑠がぁあああ!!」
嘆くお兄ちゃんは
「隼人なんかに波瑠は渡さんッ!!」
隼人さんにつっかかる。
「……ぅ…うるさああああい!!」
珍しく大声を出したあたしを見てみんな固まった。
あぁ…、あたしのこれからの生活、とっても賑やかになりそうです…。
あたしはこれからのことを考えながら、顔が引きつるのを感じた。
そして、みんなで色々な話をして、あっという間に夜になった。
隼人さんを玄関まで送ると、気になることを言われた。
「そういえば波瑠。
あの留守電、最後まで聞いた?」
留守電?
あ……、すぐ消したやつだ…。
もしかして続きがあったのかな…。
「聞いて…ません…」
「だと思った。
いいよ、大したことじゃないし」
そう言って隼人さんは帰っていった。
隼人さんがいいと言うなら気にする必要もないんだろうけど、留守電に何を残してたんだろ…?
『波瑠……ごめん。
でも…
俺にとって大切なのは、波瑠だけだよ。
だから…待ってて』




