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「何でって…一緒にいたからに決まってるじゃないですか、オニイサマ」
「うわあああ!!
お兄さま言うな!!
お前にお兄さまとか言われると虫唾が走る!!」
あり?
何か…フレンドリー?
「だいたいお前な、波瑠は記憶が…!」
「あ、それ思い出したって」
「え!?
そうなのか波瑠!?」
隼人さんに言われたお兄ちゃんは、くわっとすごい形相でこっちを見た。
「う、うん…」
「え、だ…大丈夫なのか…?」
「大丈夫って、何が?」
いや、大丈夫ならいいんだけど…と、ブツブツ言うお兄ちゃんの心情が読めない。
「あのな、波瑠」
まだブツブツ言ってるお兄ちゃんの横で、隼人さんがあたしに聞こえるくらいの声で話しかけてきた。
「俺と爽太な、実は同じ大学なんだ」
「え!そうなの?」
「そう。
再会してから結構話してたんだけど、お互い波瑠のことには触れなかったから、爽太は俺らが会ってるって知らなかったんだ」
あぁ、それであんなに驚いて…。
「爽太!ついでに言っとくけどさ」
隼人さんが急にお兄ちゃんを呼んで、あたしの肩を抱きよせた。




