73/84
9-6
「隼人さんって、お母さんと2人になるんだよね?
なのにあんなマンション…」
母子家庭で、あんなにも高そうなマンションに住めるの?
「あー…、えっと…、その話もしないとだな…。
実はお袋、1年前に再婚したんだよね」
え!?
「再婚相手が俺嫌いでさぁ、何か気にくわないんだよね」
「はぁ…」
「でも、その相手が結構な金持ちでさ、金だけふんだくってやろうと思って」
ふんだくるって…そんな乱暴な…。
「どうせ大学入ったら一人暮らしするつもりだったし、どうせなら地元帰ろうって、こっちの大学に入って今は一人。
お袋はアイツとラブラブ生活」
ら…ラブラブ生活…。
「あ、ちなみに名字は変わってないからね。
そっちの方がいいってお袋も変えてないし」
そっか、それで携帯の登録も『神崎隼人』のままなんだ…。
あぁ、でも…、つかえていたものがストンと落ちた気がする。
何か…スッキリした…。
「…どうした波瑠?」
急に座り込んだあたしに、隼人さんは聞く。
「足…痛い…」
やってしまった。
海まで歩くには1時間かかるって知っていたはずなのに、焦っていたせいでヒールの高い靴履いてきたのが失敗だった。
さっきまでは我慢出来てたけど、もう無理だ。
「波瑠」




