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「あの人は……かの、じょ?」
「は…る…」
「あたしっ…び、びっくりしちゃって…」
「波瑠…」
「ごめんなさっ……。
あたしには…関係、ないのに…」
「波瑠…!」
「………っ、ごめんなさい!!」
あたしは一目散に走った。
遠くで「波瑠!!」と隼人さんの呼ぶ声が聞こえたけど、無視して家に駆け込んだ。
バタンッ
「う…うあああん!!」
あたしはドアの前で座り込んで泣いた。
言いたいことは、半分言えた。
思いきって全部言っちゃおうかとも思った。
でも、隼人さんは否定しなかった。
その事実が悲しくて、悔しくて、わけわからないことを口走って逃げてしまった。
『波瑠が越えなきゃいけない壁なの』
ごめん、沙柚…。
あたしには……もう無理…。
それから、お母さんが帰ってくる直前までずっと泣いていた。
次の日から、毎日鳴っていた電話は止み、事情を知った沙柚は、隼人さんのことを聞かなくなった。
最後に入っていた留守電。
「波瑠……ごめん」
あたしは、その留守電を削除した。




