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「うー…」
「うーうー言わない。
自分がしたことでしょ?」
「だって…堪えられなかったんだもん!」
あの現場を見て、約3週間。
あの日から、あたしは隼人さんと会ってない。
会ったら絶対泣いてしまうから。
「うじうじしないで、告っちゃえばいいじゃん。
その方がスッキリするでしょ?」
「無理だよ…。
傷つくのわかってんのに…。
だいたい沙柚が言うから…!」
「まーたあたしのせいにし出した。
あたしは悪くないからね。
いずれは通る道なんだから」
「……わかってる。
ごめんなさい…」
ただの八つ当たりだということを知っている沙柚は、何も言わずに頭を撫でてくれる。
「…でも、ハマキじゃダメなんでしょ?
だったら、砕けるとわかっていても当たってみるしかないよ」
そう。
濱野くんではダメだった。
隼人さんのことを諦めるため、濱野くんと出来るだけ関わろうとした。
知る努力をした。
でも、濱野くんのことを知れば知るほど、『何ていい友達なんだろう』としか思えなくなった。
そして先日、濱野くんから告白されたので、正式にお断りした。
「でもあたし…怖い…」




