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「うっ…グズっ…うぅ…」
ここは、家の近くの公園。
そしてあたしがいるのは、公園のベンチ。
「亮……」
そこに座ってグズグズ泣くのは、高校2年になったばかりの松浦波瑠。16歳。
只今、彼氏とうまく行っておりません。
原因は、2人のすれ違い。
1年の半ばから付き合い始めた杉山亮。
スポーツができて、誰にでも優しくて、かなり真面目。
顔もまあまあ。
誰もが羨ましがるような理想のヒトではあるけれど、一つだけ難点がある。
それは、優しくて真面目であるが故、人の頼みを断れないということ。
自身のサッカー部も忙しいくせに、頼まれたら他クラブの助っ人に出たり。
友達の代わりに課題をやったり。
ひどい時には、話したこともないクラスメイトの委員を代わってあげたり。
優しいといえば、それはそれで良いのかもしれないけれど、亮はあまりにも自分を犠牲にしすぎる。
といっても、亮が嫌でないならば、止めないでおこうと思ってた。