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7月の初め頃、亮からメールがきた。
水族館に、デートに行かないかって…。
あたしは、断る理由が見つからなくて、了承した。
あまり乗り気ではなかったが、デートをすることで、ひょっとしたら亮のことを見直せるかもしれない。
そう思った。
頑張れ…!
頑張れ…!
あたしは、自分自身を励ましてデートに行った。
────…………
「ごめん。
待った?波瑠」
「ううん。
さっき来たとこ」
久しぶりすぎるデート。
何だか、変に緊張してしまう。
でも、ちゃんとわかっていた。
この緊張が、初デートの時の緊張とは違うことを。
「じゃ、行こう…?」
「…うん」
差し出された手を、あたしは控えめに握った。
「波瑠、見ろよ。
すっげぇ魚の大群」
「うん…」
「うお、エイきた!
パクパクしてんぞ」
「うん…」
「波瑠、イルカ見に行こう!
イルカショー!」
それからもずっと、亮に引っ張られてあちこち回ったけど、ちっとも楽しめなかった。
もうダメなんだ…。
亮への気持ちが、完全に冷めてしまったことを悟った。
そして、そのことに薄々気づいてるはずなのに、それでもなおあたしに話しかけている亮を見ていると、胸が苦しくなった。




