Another Story6
6月20日──。
誰か……助けてください…。
「ねぇ、波瑠。
どういうこと?」
沙柚に…見つかってしまいました…。
「なんで竜二とあの店にいたの?」
「………」
数分前、あたしが学校にくると、いつも元気な沙柚が今日は落ち込んでいた。
どうしたのかなと思いつつ、とりあえず鞄を置こうと席に座った途端、沙柚が詰め寄ってきた。
『あたし…見たの』
『…?なにを?』
『……波瑠、昨日…。
竜二と一緒に買い物してたでしょ』
『……げ』
とまぁ…。
何に対しても率直な沙柚は、何のためらいもなく言ってきた。
…うん。
勘違いしたまま無視されるよりはいいんだけど……。
あたしは、正直に言おうかどうか迷っていた。
………ダメだっ。
話してしまったら、何の為に竜二くんとプレゼント選びをしたのか…!
「…ごめん。
今は言えない……」
「今って…。
いつか話してくれるの?」
「うん……。
いつか、ちゃんと話すから…」
沙柚は、顔を伏せた。
ごめん…ごめんね沙柚…。
「…わかった。
あたしは…波瑠を信じてる…」
元気のなくなった背中を見送りながら、あたしはこっそりメールを打った。
【沙柚が気づいてるから、悪いけど一人で選んで…。
明後日、頑張れ!】
どうか、2人が上手くいきますように…。




