5-2
…なに。
来てくれそうな雰囲気だったのに…、違うの?
「来て…くれない、の…?」
明らかにテンションが下がったあたしを、隼人さんはお見通しだというような顔をして見る。
「来てほしい?」
「へ…?」
「波瑠がどうしても来てほしいっていうなら、行ってあげてもいいけど。
っていっても、俺用事あるから2日目しか行けないけどな」
どうする?と目で笑う隼人さん。
わ…わかってて言ってるんだこの人!
「…い、いじわる」
半泣き状態になったあたしを見て、今度は声を出して笑う。
「言わないと行かないよ」
うぅ…。
隼人さんのばかぁ…。
「………て……さい」
「なに?」
「きて……くだ、さい…」
「聞こえなーい」
「〜!!
来てください!」
仕舞いには逆ギレみたいになってしまったあたしの頭を、隼人さんは優しく撫でる。
「よくできました」
優しく微笑む隼人さんを直視できなくて、あたしは俯いた。
「15日だっけ?」
「…うん」
「波瑠、何組?」
「…3組」
「怒るなよ」
「…怒ってない」
隣から溜め息が聞こえた。
「じゃあ、昼に波瑠の教室行くから。
待ってろよ?」
「…うん」
「俺もう帰るけど…波瑠は?」
「……もうちょっといる」
「あっそ。
気ぃつけて帰れよ」
結局、あたしは最後まで顔を上げなかった。
怒ってないよ。
ずっと俯いてたのは、怒ってるからじゃなくて……
ニヤついていたのを隠してただけなんだよ。
なんて、恥ずかしくて死んでも言えない。




