5-1
「文化祭?」
「そう、文化祭!」
ハムッとコンビニで買ったパンを頬張る隼人さんに、あたしは期待をかけた目で訴える。
6月中旬。
あたしたちの学校では文化祭がある。
「2日間あって、1日目は歌合戦と、クラス展示を少しするの。2日目は主にクラス展示をして、3時くらいからダンスパーティーするんだよ!」
「ふぅん」
「うちの学校ではね、生徒は制服でダンスをするんだけど、いいところがあって…。
一般の人も、参加自由なの!
すごいでしょ!?」
「うん。すごいね」
……あれ?
すっごく反応薄い。
興味ないのかな…。
「波瑠は何すんの?」
「へ?」
「クラス展示」
げ。
聞かれたくないとこを聞かれてしまった。
隼人さんに、文化祭に来てほしいと思いながらも、あたしのクラス展示には来てほしくなかった。
だってうちのクラスは…、メイド喫茶をするから。
「えぇっとぉ……、喫茶…てん…」
「喫茶店?普通の?」
「う、うん!そう!普通の!」
「ふぅん」
「来てもつまんないし、来るなら昼からのほうがいいと思うな!うん」
ちょっとだけ“昼”を強調して言ってみる。
「…何時までクラス展示あんの?」
「えっとね…、クラスは10時から2時までなんだけど、あたしは12時で終わるの。
昼からは自由なんだ!」
お願いだから10時には来ないで…!
「ふぅん。
…どうしよっかな」
………え?




