4-11
家に入ると、時刻はすでに8時。
…うん。
帰宅部にしては遅いな。
泣き疲れたし、今日は早く寝よう。
そう思ってお風呂に行こうとするあたしに、母さんはまさかの発言をしてきた。
『もう波瑠ったら!
隼人くんが帰ってきてること何で言わないのよ!
母さんホッとしたわ…。
隼人くんなら、母さんも父さんも反対しないからね』
聞かなかったことにして、その後お風呂に入ってすぐに寝た。
そして次の日の夜、あたしは隼人さんに電話した。
彼氏に…亮に、言いたいことをすべて伝えられたこと。
亮も、自分の否を認めていること。
そして、あたしは嫌いだと言ったのに、別れないと断言されたこと。
どうすればいいかわからない、と呟いたあたしに、隼人さんは優しい声で、
『開き直ればいいんじゃないかな』
と言った。
あたしは嫌いだと言った。
それはつまり、亮に対して恋心がないということを示している。
すがってきているのは向こうなんだから、あたしがそれを気にする必要はない。
むしろ、冷たくあたって嫌われればちょうどいい。
そう、隼人さんは言った。
なるほど、と思った。
そして、さすが隼人さん!と思った。
もちろん、アドバイスもそうなんだけど…、きっと、隼人さんに言われているから、素直に受け入れられるんだと思う。
同じ言葉を沙柚に言われていたら、『いや』とか『でも』とか言って、ぐずっていたかもしれない。
あたしは改めて隼人さんに感謝し、お礼を言って電話を切った。




