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歩きながら携帯を開き、ポチ…ポチ…とゆっくりした手つきで電話をかける。
プルルルル…プルルルル……プチ
「もしもし?」
4コールぐらいで、今一番会いたいヒトの声が聞こえた。
あぁ…だめだ…。
また涙が出てきた…。
どうしてあたしってば、涙を我慢できないんだろう。
「……波瑠?」
いつまでたっても出ないあたしに、向こうから話しかけてくる。
「今日のこと、だよな…。
どうしたの?」
優しい言葉に優しい声。
ああ、隼人さん…。
あたしの涙を増幅させないでください…。
「…ズズッ」
あ…、しまった。
泣いているのを悟られまいと思っていたのに、鼻をすすっちゃった。
…気づいたかな?
「………波瑠、今どこ?」
冷たいようで、優しい言い方。
うーん、バレてるなこれ。
「学校の…帰り道…」
うわ。
あたし思いっきり鼻声だ。
もう言い訳しようがない。
「そう。
じゃ、今すぐ公園に来て」
「え…あっ」
ブツ…
……はい、くらい言わせてください。
あたしは軽く目をこすりながら、公園への道を歩いた。




