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「……確かに俺、全然構ってあげられなかったね」
…なんだ。
ちゃんとわかってんじゃん。
「だったら…!」
「でも、別れないよ」
「え…?」
聞こえてきた言葉に、我が耳を疑った。
今、『別れない』って言った…?
「波瑠と話さなかったり、一緒にいられなかったりしたのは悪かったって思ってる。
俺は…波瑠がいてくれるだけで十分だと思ってたから…。
だから、努力する。
…すぐには別れたくないんだ」
努力するって…どういうことよ…。
努力しなきゃ…構ってもらえないの…?
そんなの、おかしい…。
好きだったら…、理由がなくても会いたいと、話したいと思うでしょ、普通…。
わけわかんない…。
「あ…、あたしはもうっ…亮のこと…」
言わなきゃ。
嘘が混じってたって言わなきゃ。
もうきっと…亮とは上手くやっていけない。
言って…終わらさなきゃ…!
「あたしはっ、亮のことが…、もう嫌いっ」
亮ごめんなさい。
でも…。
「…嫌だ」
…え…。
そう言う亮は俯いている。
「別れない」
待って…!
そう言って止める前に、亮は図書室から出て行った。
う…嘘でしょ…?




