2-6
「話したくなければいい。
ただ…、泣きたくなったらお兄さんがいつでも胸を貸してあげるから」
……!!
「な…泣かないもん!泣いてないし!」
「そう?
さっき『なんで泣いてたの?』って聞いた時には否定しなかったくせに」
…!?
…しまった。
驚きとか恥ずかしさで、何も考えてなかった。
「…何があったのか知らないけど、無理しないようにね」
あ…。
今たぶん…、気を使ってくれた…。
なんでだろう…。
この人といると、すごく安心する。
「あの…隼人さん…」
「何ですか?」
「また…お話ししてもいいですか?」
気がつけば、そんな言葉が口からこぼれでていた。
「あっ…、ごめんなさい…。
あたし、隼人さんの都合も考えずに…」
「いいよ」
「え?」
思っても見なかった言葉に、こっちが聞き返してしまった。
「いつも時間を作ってあげられるわけじゃないけど、ここを通った時ぐらいは話を聞いてあげる」
「あ…ありがとうございます…」
「ははっ。お礼なんていらないよ。
さ、もう暗くなるから帰りな」
あっ…。
隼人さんに言われてパッと顔を上げると、あたりはもうすっかり夕日に包まれていた。
「じゃあ…」
「またね、波瑠」
隼人さんに手を振って、あたしは家に帰った。
こうして、幼なじみ(?)とのちょっぴり不思議な再会は、幕を閉じたのでした。