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プロローグ
まだ少し、桜の残る季節──。
あたしは、懐かしいヒトと再会する。
────…………
記憶を辿ると、確かにそこにいた。
あたしには、血の繋がった兄がいるけれど、もう一人、お兄ちゃんがいた。
隣に住んでいた、優しいお兄ちゃん。
あたしの家の近くは、あたしと同い年の女の子がいなくて、遊ぶ時はいつもこの3人だった。
困った時は、助けてくれた。
嬉しい時は、一緒に笑ってくれた。
大好きなお兄ちゃん。
このまま、ずっと3人でいるんだって、
小さい頃は信じてた──。