ギルドバトルーポイントBー
続きです
地下採掘施設・第2層 ポイントB手前 崩落坑道
残り時間 1時間28分
確保ポイント 1/3
XRX-03が先頭を切って狭い坑道を疾走していた。
ネメシアの青白い排気が壁を焦がし、ヴォイド・リーパーの爪がまだ熱を帯びて微かに光っている。
レオンは歯を食いしばり、神経フィードバックの疼きを無視してスロットルを全開にした。
「ポイントBまであと400。敵残存8機、全部固まってるぞ!」
カイのストーム・ランナーが横を並走しながら叫ぶ。
「隊長、俺が先に行って陽動します!」
「ダメだ、固まるな!」
レオンが制止した瞬間――
坑道の奥から、異様な低周波が響いた。
ゴォォォン……。
空気が歪むような、重く粘つく振動。
XRX-03のHUDが一瞬で真っ赤に染まった。
**警告**
**高エネルギー・ジャマー波形検知**
**粒子合成ブースター「ネメシア」 強制干渉開始**
**リアクター出力 急落中**
**神経接続 切断シーケンス 起動**
「――なッ!?」
レオンの視界が激しくブレた。
コックピット全体が赤い警告灯に包まれ、操縦桿が重くなる。
ネメシアが悲鳴のような甲高い音を上げ、粒子合成が強制停止。
背部のブースターが火を噴きながらも、みるみる出力がゼロへ落ちていく。
「隊長!? 機体が止まってる!」
ガイルのアイアン・フォートレスが慌てて前に出る。
巨大なシールドを構え、XRX-03の前に壁を作った瞬間
敵の残存アイアン・ヴァルキリー6機が一斉に姿を現した。
その中央に、黒い箱型の大型装置を背負った特殊機が鎮座している。
本体に赤く光るアンテナが何本も伸び、ジャマーのコアが低く唸っている。
ブラッド・クロウの通信が、嘲るように流れてきた。
「ようこそ、ナイトメアの犬ども。
我々が用意したのは『ハイエナ・ジャマーMk-Ⅱ』。
お前の試作粒子ブースター専用にチューニングしてやった。
ヤツはもう動けねえ。 お前らも一緒に墓場行きだ」
レオンはコックピット内で歯を食いしばった。
全身に冷たい痛みが走る。
神経接続が強制的に切断されていく感覚――まるで自分の手足が一本ずつ引き抜かれるような、虚空に落ちる痛み。
「くそ……まだ……!」
彼は手動リブートスイッチを叩いた。
だが、ネメシアの粒子制御回路が完全にロックされ、応答しない。
機体の両脚が固まり、右肩のレクイエムもチャージ不能。
左手ヴォイド・リーパーさえ、プラズマ刃が消えてただの黒い爪に戻っている。
XRX-03は膝をついた。
8.7メートルの巨体が、坑道の壁に寄りかかるように停止。
敵機が一斉に殺到する。
ガトリングが回転し、ミサイルが発射され、6機の重量級がレオンを囲む。
「隊長を狙え! 今のうちに仕留めろ!」
カイが叫びながら突っ込む。
ストーム・ランナーのツイン・プラズマガンがフルバースト。
だが、数で圧倒され、敵の1機に肩を撃ち抜かれ、バランスを崩す。
ガイルが吼えた。
「俺が壁になる! 絶対に通さねえ!」
アイアン・フォートレスが両シールドを展開し、XRX-03の前に立ち塞がる。
ガトリングが咆哮し、敵弾を跳ね返す。
しかし、敵の集中砲火がシールドを削り、火花と金属片が飛び散る。
ガイルの機体が後退を余儀なくされる。
セラのシャドウ・ストライカーは鉄骨から狙う。
「レクイエムを……ジャマーを狙う!」
レールライフルが火を噴く。
しかし、ハイエナ・ジャマーのバリアフィールドが弾を弾き、命中しない。
敵の反撃ミサイルが彼女のステルスフィールドを破り、機体が爆風に煽られる。
通信回線が荒れる。
リナの声が切迫している。
「隊長! 神経接続強制切断まであと90秒! そのままじゃコックピットごと潰される!
脱出装置起動して! 今ならまだ――」
「――断る」
レオンは低く、しかし燃えるような声で言った。
コックピット内で、彼の瞳が赤く光った。
神経接続深度を限界まで引き上げる。
警告音が耳をつんざくが、無視。
「ネメシア……お前はまだ、俺のものだろ?」
停止したXRX-03の胸部コアが、わずかに――ほんのわずかに――青白い粒子を漏らし始めた。
ジャマーの波形に抗うように、粒子が逆流する。
敵が嘲笑う。
「もう終わりだ! 潰せ!」
6機のヴァルキリーが同時に跳躍し、XRX-03に群がる。
ガイルのシールドが悲鳴を上げ、カイが血を吐くような叫びを上げる。
レオンは操縦桿を両手で握り、歯を剥いた。
「ナイトメアの……悪夢は……ここからだッ!」
XRX-03の目が、強制シャットダウンの中で一瞬だけ、深紅に輝いた。
ハイエナ・ジャマーMk-Ⅱ
開発元:ブラッド・クロウ(支援企業との共同)。
目的:試作粒子合成ブースター「ネメシア」(XRX-03搭載)のような高出力粒子系リアクターを特化して無力化するための電子戦/妨害装置。
形態:大型の黒い箱型装置を背負った特殊機(中型機体)が運搬・展開。
アンテナが複数伸び、低周波の重い振動を発生させる。
主な性能・効果
対象特化型ジャミング
通常のEMP(電磁パルス)ではなく、粒子合成炉の粒子生成・制御回路に直接干渉する波形。
ネメシアのような「粒子合成ブースター」を搭載した機体に対して極めて有効。
→ リアクター出力が急落(例: 62% → ほぼゼロ)。
→ オーバーブーストや粒子推進が強制停止。
→ 神経接続深度が強制切断され、パイロットの感覚が「手足が抜かれる」ような痛みに変わる。
範囲・持続
坑道内のような閉鎖空間で効果最大。
半径数百メートル規模で波形を展開可能
持続時間は長く、出力最大時はジャマー機体自体が過熱するほど。
まだ機能はあるんですが次回にしますね。




