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XRX-03:灰色の咆哮  作者: 装機伊織
第2期
13/14

影の代償

倉庫の奥は、埃と油の匂いが濃く立ち込めていた。

薄暗い非常灯の下、クロノス・スタビライザーが埃をかぶって静かに置かれている。

円筒形の金属ケースに、青白い冷却ランプが微かに点滅していた。


エコーはゼロ・グラビティを降り、ケースに手を伸ばした。

指先がケースに触れた瞬間――


ピーッピーッピーッ!


施設全体に赤い警報音が響き渡った。

壁のスピーカーから、無機質な合成音声が流れる。


「警告、警告、最終自爆シーケンス起動。

残り時間:180秒。

全人員は即時退避せよ」


レオンが即座に通信で叫んだ。

「自爆装置だ!

エコー、スタビライザー取ってすぐ撤退しろ!」


カイがストーム・ランナーで駆け寄り、

「エコーさん! 早く!」


エコーはケースを掴み、機体に戻った。

重力制御で浮上し、倉庫の出口へ急ぐ。

だが、天井がすでに崩れ始めていた。

コンクリートの破片が落ち、床に穴が開く。


「くそ……!」


エコーは機体を加速させた。

残り時間:120秒。


レオンがXRX-03で先導し、カイが後ろからカバーする。

通路はすでに瓦礫で埋まり始め、

3機はスラスターとブースターを全開にして抜け道を探す。


残り時間:60秒。


天井が大きく崩落した。

巨大なコンクリート塊が、エコーの機体に直撃しそうになる。


「エコーさん!」


カイが叫び、ストーム・ランナーを急加速させた。

ツイン・プラズマガンを捨て、機体を盾のように構えてエコーの上に覆いかぶさる。


ドゴォォン!


瓦礫がストーム・ランナーを直撃。

機体が悲鳴のような金属音を上げ、

脚部と背部スラスターが完全に潰れた。

カイのコックピットが火花を散らし、通信が途切れる。


「カイ!」


レオンが吼え、XRX-03で瓦礫をヴォイド・リーパーで切り裂きながら駆け寄った。

エコーはスタビライザーを抱えたまま、崩落した瓦礫の山を見つめた。


「……カイ……」


残り時間:30秒。


レオンがエコーを掴み、強引に引きずり上げる。

「エコー、行くぞ!

カイは……生きてるはずだ!」


エコーは抵抗しなかった。

ただ、瓦礫の山を一瞬見つめ、

静かに呟いた。


「……俺のせいだ」


レオンは強く言った。

「違う。

お前は仲間を信じた。

カイも……お前を信じて動いたんだ」


施設が激しく揺れ、爆発音が響き始める。

レオンはエコーを抱え、XRX-03で全力疾走。

エコーの機体もブースターを限界まで回し、出口へ向かう。


残り時間:10秒。


出口のゲートが見えた瞬間、

背後で大爆発が起きた。

炎と煙が施設を飲み込み、

衝撃波が3機を外へ吹き飛ばす。


輸送機が急接近し、回収ポッドが降りてきた。

レオンとエコーはポッドに収容される。


爆発の光が灰色の空を赤く染めた。


ポッド内で、エコーはスタビライザーを握りしめたまま、

膝を抱えて座っていた。

顔に血が流れ、瞳が揺れている。


レオンが静かに言った。

「カイは……生きてる。

ストーム・ランナーのコックピットは頑丈だ。

捜索チームを出す」


エコーは小さく頷いた。

声が震えていた。


「……俺は……また、仲間を危険に晒した」


レオンはエコーの肩に手を置いた。

「違う。

お前は、初めて……仲間を信じて戦った。

カイはそれを知ってたから、動いたんだ」


エコーは目を閉じた。

涙は出なかった。

ただ、胸の奥で、何かが熱く疼いていた。


輸送機が上昇し、廃墟を後にする。

灰色の空の下、

炎の残光がゆっくりと消えていく。


エコーはスタビライザーを胸に押し当て、呟いた。


「……カイ。

待ってろ。

俺の機体が完成したら……必ず、迎えに行く」

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