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XRX-03:灰色の咆哮  作者: 装機伊織
第2期
10/14

影からの依頼

第2期はエコーを中心をしていきます。

よろしくお願いします٩(。˃ ᵕ ˂ )و

宴会の喧騒がようやく収まった朝。


ナイトメアの地下ハンガーは、昨夜の酒瓶と串焼きの残骸が散らばり、

赤と青のネオンがまだ薄暗く点滅している。

整備士たちの掃除音と、ガイルのいびきが混じり合う中、

エコーは一人、ハンガーの隅にある簡易ベンチに座っていた。


データパッドの画面には、ゼロ・グラビティの解体ログが映っている。

クロノス・コアは無事に回収され、奥の保管庫で静かに眠っている。

だが、完成にはあと一つ

「クロノス・スタビライザー」

が足りない。

重力制御を安定させる試作パーツ。

旧ニールコーポレーションの廃棄施設に残されている可能性が高いが、

現在は独立傭兵団が占拠しているという情報が入っていた。


(……俺のために、動いてくれるのか)


エコーはパッドを閉じ、空を見上げた。

天井の換気口から、灰色の光がわずかに差し込む。

ブラッド・クロウでは、こんな朝はいつも「次の計算」で終わっていた。

仲間は道具で、勝利は次の敗北を防ぐためのデータでしかなかった。


だがここでは違う


昨夜、カイが酔った勢いで肩を組んできたこと。

ガイルが「智将の機体、派手に仕上げてやるぜ!」と笑ったこと。

セラが静かにグラスを合わせてくれたこと。

そして、レオンが最後に言った言葉。


「これからは、お前の頭脳があれば、俺たちはもっと大きな悪夢になれる」


エコーは小さく息を吐いた。

悪夢。

ブラッド・クロウでは「敗北の言い訳」だった言葉が、

ここでは誇りのように響く。


足音が近づいてきた。


レオンだった。

まだ少し青白い顔で、左腕を軽く押さえながら歩いてくる。

虚空の痛みは、昨夜の酒で少し和らいだようだ。


「早いな、エコー」


エコーは立ち上がり、軽く頭を下げる。

「レオン。……少し、考え事を」


レオンはベンチの隣に腰を下ろし、合成コーヒーのカップを差し出した。

「飲め。

リナが淹れたやつだ。

……苦いぞ」


エコーは受け取り、一口飲む。

確かに苦い。

だが、それが妙に心地よかった。


「パーツのことか?」


エコーは頷いた。

「クロノス・スタビライザー。

旧ニール施設の地下倉庫に残されている可能性が高い。

だが、現在は『スカベンジャー連合』という独立傭兵団が占拠している」


レオンは静かに聞いた。

「報酬は?」


エコーが答える

「交渉次第だが……パーツを譲渡すれば、施設の権利の一部を渡すと言っている。

俺の機体完成のためなら、価値はある」


レオンはカップを置いた。

「なら、奪い取るぞ。

今日中に準備しろ。

出撃は明朝だ」


エコーは一瞬、言葉に詰まった。

「レオン……俺のために、そこまで」


レオンは小さく笑った。

「俺のために、じゃない。

ナイトメアのためにだ。

お前の頭脳と機体があれば、俺たちはもっと強くなる。

それが、悪夢の形だろ」


エコーは静かに頷いた。

胸の奥で、何かがゆっくりと溶けていく感覚があった。

ブラッド・クロウでは感じたことのない、温かい疼き。


「了解。

……ありがとうな」


レオンは立ち上がり、XRX-03の方へ歩き出した。

背中を見送りながら、エコーは呟いた。


「悪夢の影として…」


ハンガーの照明が、赤と青に揺れる。

遠くで、カイが「エコーさーん! 朝飯っすよ!」と叫ぶ声が聞こえた。


エコーはパッドを再び開き、廃棄施設の地図を拡大した。

画面に映る灰色の廃墟が、

これから始まる新たな戦いの舞台だった

クロノス・スタビライザー

正式名称:クロノス安定化ユニット(Chronos Stabilizer Unit)

開発元:ニールコーポレーション

目的:クロノス・リアクターの重力制御を安定化させるための専用補助装置

→ クロノスは「時間軸を微細に歪めて重力制御」する革新的なリアクターだが、出力が不安定で長時間使用すると暴走・過熱のリスクが高い。

スタビライザーはその「歪み」を補正し、飛行持続時間と制御精度を大幅に向上させる。


形状

- 円筒形の金属ケース(高さ約1.5m、直径0.8m程度)

- 青白い冷却ランプが点滅し、内部に微細な粒子が渦巻く様子が見える

- 取り付けは機体背部または胸部リアクター直結部

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