勇者 の 前 に 恋愛モンスター が 現れた !
こんな恋、してみてぇですなぁ〜w
「人待ち過ぎだろ…」
「大体5組くらいかしら?これくらいで多いって思うほうがおかしいわ」
「待つか?」
「勿論」
思ったより人が少なくてよかったぁ…雑誌にあるくらいだからもっと混んでると思ってたしラッキーだわ。
「椅子座っとけ」
「1つしか空いてないんだし瑛介が座れば?」
「連れの女待たせて座れるわけないだろ…?倫理的に大丈夫か?」
「最後の言葉がなければ満点だったのに」
「赤点じゃなきゃいーんだよ別に。」
この性格がなかったらもっといい高校行けてたんだろうな…もう関係ないけど。
「そういえば恋の部活ってこの前IHまで進んでたな。どこまで勝ったんだ?」
「確か…3回戦目で負けたわ」
「そか」
「…なんか慰めとかないの?!」
「変に慰めたところで日本への未練が深くなるだけだろ?だったら、なにも言わないほうがいい。というか普通にいい結果だろそれ…」
なんなのよこいつ…むっかつく。
「次の方どうぞー!」
「はーい。思ったより早かったなっと。」
「…なによ」
「いんや?ちょっと下がった首を上げようかと」
なによそれ。私はなんで泣きそうなの?なにも分からない…怖いっ…。
「はぁ…よっと。」
「降ろしなさいよ…バカ」
「迫力がないぞ迫力が。…バカは2倍にして返品するからあとで聞かせろよ?」
「…やだ」
「拒否権ねーよ」
「…意地悪」
「なんとでも言え。そして歩けるなら歩け」
「勝手に背負ったのはあんたでしょ…不器用」
「さーせん」
自己中に振る舞うならもっと分かりにくくしてよ…
「ご注文はお決まりですかぁ〜?」
「瑛介と同じものでいいわ」
「ならサンドウィッチのホットコーヒーセットで」
「分かりましたぁ。ごゆっくりどーぞぉ!」
「はーい…」
「…。」
「だってよ?」
「…知らない」
顔すら見れないのにこんなの話せるはずない。こっちに来てからずっと私を元気づけようとした瑛介にこんな事、言いたくない…。
「…そっちがその気なら考えがある」
「…なに」
「クイズだよ。問題は俺が作る。いいな?」
「…好きにして」
どうして急にそんな事…
「第一問。恋の気持ちはどれでしょう?」
「そんなの、分かる訳」
「1、不安」
「!」
「2、恐怖」
なんで…
「3、罪悪感」
どうしてそこまで…私が分かるの…?もう、全部吐き出したい。でも、吐き出したら止まらない気がする。だから、ダメ…。
「なにを言ってるの?全部不正解よ」
「ファイナルアンサー?」
「当たり前じゃない」
よく考えればこんなの、当てずっぽうに決まってる。
「正解は全部だ」
っ。
「…理由は?」
「1、不安は…未来…いや、今現在へのだな?全てが分からないこの状況を楽しむ勇気がない」
「…2は?」
「恐怖は未来か?いつ死ぬかも分からないこの世界でなにをするのか、なにをされるのか…。想像できないから」
なんでよ…
「3、罪悪感に関してはオオカミだと思ってたが…今見て分かった。俺への罪悪感ってとこだな。こっちに来てから俺はずっとお前を励ましてた。だから、暗い気持ちを吐くのが嫌なんだろ?というか、暗い事を思う事にすら罪悪感が湧く」
「自意識過剰ね。」
「…じゃあ、なんで泣いてるんだ」
なんで全部分かるのよ…私の恋心は知らないくせに。それ以外全部見透かされてる安心感。全部、分かってるって言われても気持ち悪いだけなのに、なんでこんなに安心できるの…?私が瑛介を好きだからなの?それとも、他のなにか?…分からないよ。
「人ってのは、1人じゃ生きられないらしい。」
「…?」
「1人じゃ生きられないってことは、誰かの助けがあって初めて人生を歩めるんだ。」
「…当たり前じゃない。」
「でもな。…目の前で立ち止まってる誰かに対して、なにかできるのに見てる事しか許されないのは…辛い。助ける方もキツいんだ。だから、無理に殻を作る必要も破る必要もない。考えて、行動して…少しでもしんどいなら誰かに頼れ。きっと、その誰かがいつかその殻を外から作ったり、壊したりしてくれる。無理に自惚れるのは心を壊すだけだ。そして、周りもお前が思うより…強い奴が多いから。」
…無理に自惚れる。この言葉が全て私の腑に落ちた。きっと、見せたくなかったんだ。好きな人に、弱ってる私を見せたくなかったんだ。自分は全然平気だと言い聞かせるならまだしも、本気でそう思った。…無意識に自惚れてた。そして心は自壊していった。
「…なんで」
「?」
「なんで、あんたの言葉は心の奥にこんな鋭い刃を突き立てるのに…なんでこんなに心地いいの?」
疑問だった。昔からそう。何度か瑛介に怒られたことはあるけど一語一句鮮明に覚えてる。だって、記憶が薄くなるたびに心臓が、心がかかった埃を吹き飛ばすから。ねぇ、どうして?瑛介の言葉にはなにがあるの?
「そんなの簡単だ」
一体なにが…
「お前の、幼馴染だから。」
「!…っ。」
…意味不明な言葉より、口に突然突っ込まれた角砂糖への怒りより…感じた。こんなの、私が色ボケ過ぎるだけかもだけど…。私は今、初めて恋を知った。今までのはきっと、ただ一緒にいたかっただけでその理由のための恋だった。
でも、今は…
「お待たせいたしました〜!こちら、サンドウィッチとホットコーヒーセット2つでございます。砂糖は机の上にある箱からお取りください!」
「ありがとう」
「どういたしましてぇ…って、なんで泣いてるんですかぁ?!…彼氏さん?」
「彼氏じゃないですし泣かせたのは俺じゃ…いや、俺なのか?え、あ、ごめっ?!」
「違うよ。」
…あったかい、手。きっと焦ってるんだろうなぁ。優しいから。意味が分からなくても謝るクセは直ってないしオロオロするところも昔と同じ。…ねぇ、瑛ちゃん。いつか、また「瑛ちゃん」って呼べる様に頑張るね。…もし呼べたら、その時は…あなたに愛を伝えたい。
「ちょっと、貰いすぎちゃったの。泣いてるけど…今、とっても幸せなのっ!」
大好きじゃ足りない。…愛してるって。
「で?話してくれるのか?」
「なにをよ」
「…忘れちまった」
「じゃあいいじゃない。早く食べてパフェ頼みましょ?」
「…お前のバカは2倍じゃなくて2乗だな」
「知らないわよ、バカ」
今はただ、この手の温もりを離したくない。ずっと、この指に触れていたい。今みたいに片手だけでもいいから。
「相変わらず、食べるの早いな…」
「ほら、さっさと食べなさい。パフェ頼めないじゃない」
「んぐっ?!ふひひふっほふは!」
「汚いわねぇ…フフッ」
「…笑ってんじゃねぇよ。すみませーん!クッキー&チョコのパフェ1つ!」
「分かりましたぁ!」
「…なんで1つ?」
「多すぎたら困るから」
「…確かにそうね」
だって、今の私は…
「甘過ぎるから」
「お待たせしましたー!」
「おー。…でけぇ。やっぱり異世界コ○ダだったな…」
「見て、チョコ棒菓子とクッキーすごい量ね。写真撮りましょ!」
「好きに撮れ。でも溶けるから早めにな」
「分かってるわよ」
ハートクッキーある!可愛いー!チョコ棒菓子は持ち手とか完全ポ○キーだわ。私は持ち手から食べる派だからチャコが最後まで楽しめる!おいしー!
「ちょっと貰うぞ」
「ん?」
「ん。恋は持ち手から食うから美味いわ」
「あんたのためじゃないわよ。残ってる方食べなさい?」
「持ち手あるから要らん」
偏食すぎるわ…。
「や、やっぱりお2人ってカップルなんですか…?」
「「なぜ?」」
完全私の片思いよ?
「だって、棒菓子を両端から…キャーッ!」
「黄色い悲鳴だなー。そろそろ春か?」
「もう始まってるわよ」
「まじか」
「恋人ならカップル割り引きがありますので!是非!」
「制限時間何分だった?」
「10分」
「じゃあ5分ね」
「2人なら3分ありゃ大丈夫だろ。美味いし」
「へ?」
さてさて…食べますか!
「美味しかった…!」
「そうだな」
「え、3分…?え、んぁ〜?こんなに細いのに…?」
「俺はすぐ燃えるしこいつは貯まるからな」
「死ね変態クズ」
「罵倒あざーっす!」
「一回殺したほうがいいかしら…?」
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさま。逃さないわよ」
「この世に悔いは…まぁまぁあり…」
「えいっ、マジックボム☆」
「ちょっ?!」
外れた…次は当てる…!
「ここ店だから止めろー!」
「うがーっ!」
なんでこんな男好きになっちゃったのー!
あ、そうそう。筆が乗ってるので次回予告!
冒険者登録と宿(健全)とお絵描き大会の回です!
題名は多分変わるよ