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覚悟と人と驚きと

あ、言い忘れてたけど一話ごとに視点が変わるよ。


今回は6000字超えちまったぜ…

私達は今、魔法の特訓とスキルの習得をしてる。まぁこの先なにがあるか分からないしいい判断だと思う。そのお陰で瑛介は 神速、衝撃軽減 のスキルを覚え、私も 天眼 を習得できた。


「スキルは行動によって変わってくるっぽいな。レベルは…変動なしと。」


「もう空に投げられるのは懲り懲りよ…。」


いつも受け止められるときあんまり痛くないと思ってたらあんたのお陰だったのね…。ま、まぁ?お礼くらいは心の中で言ってあげる。


「んじゃ魔法するぞ。」


「うん!」


「ウォーターボール!」 バシャッ!


「ファイヤーボール!」 シーン…。


ねぇなんで私だけできないの?!「氷槍!」…隣でなに水魔法発展させて氷魔法使ってんのよ!できてるし!


「なにうがうがしてんだよ…これは俺が水属性だから簡単なんだ。」


「どういうことよ。」


「…じゃあ水の化学式はなんだ?」


「H2O」


「火は?」


火?確か火は現象だから化学式ってないわよね…?でもこいつの事だしなにかあるのかも…。


「…CO2?」


「それは二酸化炭素だ、秀才。」


「それは褒めてるの?貶してるの?」


「どっちでもない。因みに火の化学式もない。」


合ってたんかい。


「はい自分にツッコミ入れる暇がありゃ聞いとけよ?俺の水魔法は物質だ。だから、化学式を元に水素原子と酸素原子を魔力で結合、あと原子自体作ったりできた。でもお前の火魔法は現象だ。燃やすものどれだけあってもマッチがないと火は燃えない。」


「簡単に。」


「…俺よりイメージが大切って事だ。」


イメージ…。ヒントはくれた。マッチは摩擦熱で火をつけるけど…魔力量は見えても魔力自体は見えないのよね。瑛介ならできるでしょうけど魔力同士を擦って発火とか私には無理。他になにか…。あっ、眩しい…そういえば小学校の時にレンズで日光を集めて紙に発火させた記憶が…。やってみましょう。


「魔力でレンズを作って…日光を収縮、発火!」


「誰の髪燃やしてんだど畜生!ウォーターボール!」


「黒いのもがそれしかなかったから…。」


「人間を燃料にするんじゃねーよ?それもこれ、どっちかって言えば光属性とかじゃないか?」


…確かに。あ、魔法の欄に 光魔法 が増えてる。


「できるか知らんが、手本を見せてやるよ。そもそもここは異世界だぞ?一々地球と尺度合わせる必要ねーよ。魔力を擦り合わせて…空気に引火させる。」


あっ、火が。


「うぇーい。火魔法習得。」


「それは考えたけど私にはできないわよ!」


「想像力足りてねー。ほらっ。」


ベシャッ


…泥?


「この制服気に入ってたんだけど?!どうしてくれんのよ!」


「知るかアホ!服と命どっちが大切か選べ!」


「そりゃ命だけど!なんで火魔法の習得で泥が必要なのよ!」


「あ、これは別に火魔法習得に直接関係する訳じゃないぞ?」


「じゃあ汚れ損じゃなーい!」


「最後まで聞け!」


これで汚れ損なら張っ倒すわよ…!


「えい、えい。」


「…さっきから白いところばっか狙って投げてんじゃないわよ!私もしてやる!」


「うおっ?!」


私はね…力はないけどエイムはいいのよ!元バスケ部だしね!


「そんなガタイでスリポとレイアップ決めてただけはあるなっ!」


「身長いじりはやめぃ!」


「いでっ!石投げたな今!」


もっと投げてやるわーっ!


「はぁはぁ…やっとスキルゲット…。」


「わ、私もよ…。」


つ、疲れた…!昔はもっとはしゃいでも疲れなかったのに…!


「えっと… ペイント ?」


「色をつけるスキルだな。」


あっ、だから白いところばっかり…。


「ほら、魔力の塊2つ作れ。」


こうやって…こう。


「ペイント 対象は…とりあえず命名、魔力塊」


あ、空中に淡い赤色が浮いてる!


「ほら、あとは操作して動かせ。将来的には0.1秒以内に発火できるようにしてもらうからな。」


「スパルタ。…できた!」


あれ…さっきの瑛介より大きい。あ、あの時の瑛介は魔法を持ってなかったから。


「ふぃー…やっと先に進める。」


「そうだな。…なぜ俺に抱きつく?」


「ほら、私って筋力3だから…。」


「婆さん、筋力と体力は別だよ。さっさとお歩き?」


「やれやれ、爺さんはいたいけな少女すら背負えないのかい?」


「…誰が筋力3以下の老害だと?」


「…誰が体力バカの老害ですって?」


「俺はそこまで言って…勝手に登るなよ。俺は木じゃない。」


突っ立ってる方が悪いのよ。ざまあみなさい。


「いや、逆に登れるくらい身長差あるんだな」


「そんな事ないですー、今年で149.8cmですー!」


「知ってるか?身長の小数点以下を言う奴は大体身長気にしてる奴だぞ?ちな俺は178cm」


聞いてないわよ!…えっ?私と30は差あるの?いつか追い越したいのに…!


「やっぱりお前は老人じゃなくてロリだな」


「うっわロリコンきっもぉ…」


…ほんと、気持ち悪い。無理していつものテンションで付き合ってくれて。私のメンタル気にする余裕ないでしょうに…これだから、サドでも好きになっちゃうのよね。あー憎たらしい。


「おっ、あれなんだ?」


「んー… 天眼 !」


ふむふむ…オオカミと馬車?


「オオカミと馬車!」


「おー、ベッタベタのコッテコテだな」


「助ける?助けたら大体、この後の展開楽になるよ?」


「んな気持ちで助けるとかゆーな。そもそも、襲われてる人(仮)がいい奴か知らないしまだ満足に戦えるとも言えないんだぞ、俺達。」


全部正論だ…。でも助けたい…。


「…仕方がない娘だ。ちょっと魔力借りるぞ。」


「えっ、…あっあっぅ?!」


「ごちそうさま。よし、集中想像。」


え、なに今の!クセになる…。


「アイスフィールド!」


「わっ!この辺全部凍ってる!オオカミの足も!」


「魔力きちー。ほら。」


「ありがちべっ?!」


…氷の短剣?


「護身用だ。お前は長いのより短い方がいいだろ。俺は剣道部だったから長い方が扱いやすい」


「ほらお行き?」


「誰が肩車を人力車にしろと?」


「た、助けっ!」


あ、声が…。中年男性の声?


「…殺すのとか初めてだな。」


言われてみれば…私達にできるの?いや、しないとダメなんだ。じゃなきゃ生きていけない。


「うぇ…不快。そもそも剣道は相手殺すための剣術じゃねぇっての。オリジナルにしないとダメだな。」


「やっ、やっぱ無理ぃ!」


「おいこら。…はぁ。トドメ刺せ」


わ、ワザと死なない様に…?


「瑛介最低!」


「はぁ?弱い方が悪いんだ。ここは自然界と同じだ。そして人間食い殺す様な生物がいることも分かった。これからお前が敵に会う時、必ず俺がいると思うか?」


た、しかにそうだけど…可哀想だわ…。


「ほら、殺せ。生きるためだ」


「…ごめんなさいっ!」


「グルァガァ!」


こ、殺し…た?


「血…がっ。…っぁ」


「恋!…まぁ、辛いだろうな。一歩前進及第点だ。」


まだまだって言われると思ったのに…。私も、もっと頑張らなきゃ。


「おい、大丈夫か…?」


「平気…じゃないけど、生きる為…だから。」


「…そか。じゃあ右は頼む」


「うん」


本当はもう、殺したくなんて…


「…一緒に作ろう。墓。これから毎回作れるわけじゃないけど、まだマシだろ。」


「…うんっ!」


やっぱり、瑛介は優しい。


「これで全部か。じゃあ埋めるぞ。」


「分かった…あ、スキルの欄に土魔法がある」


「さっきの泥の投げ合いか。丁度いいな。2人で行くぞ」


「うん。」


これは…示し合わせないでも分かる。だって、弔いの初級土魔法だから。


「「安らかに眠れ。アースシェイク」」


これで…少しは弔えたかな…。


「きっと出来た」


「…心読むなバカ。おぶれ。」


「はいはい。服は濡らすなよ?」


「汚れてるから分からないでしょ」


「んで、あなたは…大丈夫そうですね。」


「あ、あぁ!助けていただき感謝します!私、奴隷商のイブでございます。以後、お見知り置きを。」


「…奴隷商か。」


「やはり、いい印象はお持ちではなさそうですね…」


「俺の印象は獣人やエルフを捕らえて奴隷にし、奴隷達をモノの様に扱って叩き上げたりする感じですかね。」


「昔はその様な者も多かったと存じ上げますが…今ではエルフは保護対象で奴隷にする事は犯罪ですし、獣人も国ができたので干渉できません。モノ扱いは否めませんが手を出す事はございませんよ。なんせ、大切な商品であると同時に一つの命なのですから。」


すごい、いい人そうだなぁ…。きっと奴隷さん達も大切にされて嬉しいでしょうね。


「嘘じゃないっぽいな。信じる。」


「根拠は?」


「ちょっとスキルを使用したので」


「まさか、鑑定をお持ちなのですか?」


「はい。珍しいんですか?」


「それはもう!鑑定を持った証人など一握り程度ですよ!もしそこに収納でも付け加えれば繁盛間違いなしです!」


「「へ、へぇ…」」


「その様子じゃ収納までお持ちで?!あぁなんという事だ、お2人とも、是非うちの商会で働きませんか?」


ありがたい話だけど…せっかく私、無理してまでオオカミ殺したのに…。


「俺は冒険者になりたいので。恋に関しては自分で判断させます。俺的には…まだイメージが払拭しきれないので反対なんですけどね。なんせ、絶対人気になるでしょう?」


「そうですね。職員を買いたいとおっしゃるゴ…お客様もいらっしゃいますが、勿論お断りさせていただいています。私の商会は後ろ盾に公爵様がいますのでそこらの貴族では太刀打ちできませんよ」


今さらっとゴミって言いかけたなこの人…。


「だってさ、どうだ?」


「そうね…ありがたいお話だけど断るわ。」


「理由は?」


「私はもう殺しちゃったから。…だったら、最後まで冒険者として生きないとダメな様な気がするの。」


「だそうです。…あ、少し融通を利かせてくれれば手伝いくらいならしますよ?」


「本当ですか!」


「な?」


「そうね。手伝いならいいわよ」


「…落ち着いたみたいでなにより」


「一丁前に心配してんじゃないわよ、バカ」


「お2人とも顔が良いので、できれば職員になっていただきたかったのですが…彼女に悪い虫が集るのは嫌ですよね。分かりました。それで融通と言うのは?」


「かのっ?!」


「イブさん。俺達付き合ってないです…」


「…おやおや。私とした事が、見誤ってしまった様です。申し訳ございません。」


「別にいいですよ。…恋、話すか?」


「いいんじゃない?悪い人でもなさそうだしなにより、商人として信用できる。でしょ?」


「というと?」


「真の商人は道具を壊さず命ある者を尊ぶ。俺の母親の口癖でして」


「それは良い心がけですね」


…いい様に聞こえるけど、ちゃんとした人のパソコンはエラー吐かないし過重労働ダメ絶対って意味だからなぁ…瑛ちゃんママ、社長だから仕方ないけど。


「じゃあ本題です。実は俺達、異世界から来まして…身分証とか持ってないんですよね…」


「…異世界、ですか?」


「そうよ。こいつにタックルかましたら飛ばされた」


「ほ、ほう…?」


「なので、公爵様の後ろ盾があるイブさんに俺達が街に入るまで面倒を見て欲しくて」


「それくらいならお安い御用です。今は帰りで奴隷達も乗っていませんし、馬車も無事でしたから。どうぞこちらに」


「護衛とかは付けてないんですか?」


「傭兵を雇ったのですが…勝てないと分かるや否や逃げ出しまして」


「あのオオカミ、そんなに強いんですか?」


「はい。ブラックウルフはウルフ種の中でも狡猾で素早いのでランク…危険度が高い。大体C〜B程度です。それに対して雇った傭兵はDランク。ケチった事と冒険者に依頼をしなかったことが裏目に出ました…」


「じゃあ俺達は大体Cランクってとこだな」


「いや、自慢の速さを封じちゃったからDでしょ」


「街に着きましたら教えますのでゆっくりしていてください」


「ありがとうございます。魔物とか出てきたら言ってください。対処するので」


「ほっほっほ。あの傭兵達より信頼できますな」


「そりゃありがたい」


「うっ…吐きそう…」


「ちょっ、待て!イブさんちょっとこの布外していいですか?」


「どうぞご自由に」


「ほら、外にしろ!外にげーしろ!」


「誰がげーよ…ケポケポケポ…」


「なんつー擬音…」


「馬車は初めてでしたか。ここから先は整った道なのでマシになると思いますよ」


異世界に来て早々にげーするとは思わなかったわ…ケポケポケポ…


「着きましたよ。商業都市、リンドルです。ここには商業施設が沢山あるのでお2人の元いた世界にあった物もあるかと」


「イブさんの商会もこの都市に?」


「そうですね。本店はリンドルです。あ、冒険者ギルドもあるのでご安心を。」


うわぁ…異世界って地味な服のイメージだったけど可愛い服が沢山ある…。


「私は一度商会に戻りますが…お2人はどうしますか?」


「俺は観光がてらギルド探そうかと。恋は?」


「私もついて行くわよ」


「それならここでお別れですね。短い間でしたが楽しかったですよ。」


「ははは。今度はケチらず冒険者に依頼してくださいね?」


「善処いたします。もしかすると、また依頼で会えるかもしれませんしね。あ、そうそう。これを渡しておきます。」


「これは…名刺ですか?」


「はい。改めて紹介させていただきます。私、奴隷商のイブです。裏に書いてある場所に大体いますので暇があれば是非。給金は弾みますよ?」


「働かせる気満々ね…ま、楽しそうだけど」


「じゃあまた今度伺います。それでは!」


「はい。瑛介様、恋様。この度はありがとうございました!それと覚えていればギルド職員にその名刺をお渡し下さい。きっと役に立ちますよ!」


…行っちゃった。


「なんやかんやでお金まで貰ったからいつか返さないとな」


「そうだね。取り敢えず冒険者登録しましょ?」


「の前に…服汚いから買い替えるか。イブさんから多分ものすごい量貰ってるし。」


この袋に入ってるのちらっと見たけど金貨よね?それも10枚そこらじゃないわ…。


「まずは返すために枚数を確認するわよ」


「おけ」


1、2、3…


「50。…50?!」


「え、金貨って2次元じゃ白金貨の一個手前よね?やばいこれ返せるの…?」


「…む、無理ならバニーでもなんでもしてやるよ!」


「男バニーとか需要なさすぎw」


いやそうでもないかも。だって私には需要あるし。…うん、えっちぃ。瑛介の割れた腹筋が初心者マークに薄らと浮き彫りに…


「じゃあ恋がバニーしろよ?俺はなんかの着ぐるみ着るから」


「うぇ?…はぁ?!なんで私が!」


「いやだってぜったい需要あるだろ。特にロリコンと変態。」


「じゃあどっちにも当てはまるあんたにも需要あるのね?」


「どっちにも当てはまらないが…そうだな」


「えっ。」


需要あるんだ…。でも人前は恥ずかしい…。


「2人きりのときに考えてあげるわ」


「はいはい。取り敢えずこの服屋入るか」


「そうね。うわぁ、これガラス?すごく固い」


「なに叩いてんだやめろ。あ、そもそも筋力3が叩いても割れないか」


「もうそろそろそのいじり飽きてきたわ…」


早く服を着替えないとね。


「いらっしゃ…え、どうされたんですか?」


「汚れたので服を買いたくて」


「あの…なにをされていたのですか?」


「泥かけよ」


「…ふぅ。来い。」


「「はっ!」」


いや誰!急に出てきた?!


「お客様。お召し物が汚れたままだと商品が汚れてしまいますので…」


「入店拒否ですか?まぁ仕方ないけど…」


「そうではなくて。この2人にあの魔法を」


「「はっ!クリーン!」」


おぉ…みるみる綺麗に…!


「生活魔法です。さぁ、お客様。好きな服をご試着ください」


「…わざわざ呼ぶ必要あります?」


「カッコいいでしょう?」


「怖いわ…ってそうじゃなくて!ダメよ瑛介!私が選ぶから!」


「はぁ…またか」


「なぜ?」


「こいつ…壊滅的に服のセンスがないのよね。でもちゃんと着こなす辺り顔の良さがあるから…取り敢えず絶対ダメ!」


「えぇ…じゃあ店員さん」


「店長です。」


「…店長さん、俺の服のセンス見てくれませんか?」


「それは喜んで」


「…覚悟した方がいいわよ?物理的に…いや、視覚的に」


「?」


あーやだなんで好きな人兼幼馴染の私服を見ないとダメなの…?中2のデートの時に散々思い知ったわよ…はぁ。

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